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ゴーストタウンでの2週間 (とサマートリップへ)

学期が終わってからきっかり2週間ほど。ホノルルへ向かう便を待つ空港で今日の記事は書いている。

ちなみに、アイオワ大学の最寄り空港はCID (正式名称はイースタン・アイオワ空港…だが看板などの表示名は"Cedar Rapids") というローカル空港で、アイオワシティから車で20-30分程。大学とリムジン会社が契約をしていて、学期初めと終わりの一定期間はとてもお得になる (Uberの半額ほど)。まぁ2週間も経っているのでその期間は過ぎているのだが、それでもUberとほぼ同額で確実に質の良いサービスが、早朝でも深夜でも保証されているので利用した。
アイオワに来た時は大型Vanだったのだが、今日は黒サングラスをかけパリッとしたスーツを着たおっちゃんがピカピカのリムジンで来たので、今日私だけ?と聞いたら「そうです」と重々しく頷いていた。空港自体はご想像の通りとてもちっちゃい。でも新しいのかこぢんまりしていて小綺麗で、私は結構印象のいい空港だ。(空港というか綺麗な田舎のイオンモールに近い雰囲気かもしれない。)
アメリカの空港セキュリティチェックは怖いことで有名だと勝手に思っているのだが、ここCIDのそれは結構優しい。この間飛んだアトランタでは (全米、というか世界でも最も忙しい空港、と言われているらしいのでわからないでもないが) 取り調べですか?というくらいの強面・がなり声で怒鳴られるようにして潜り抜けたセキュリティチェックだったので、今朝は「あ、姉ちゃん靴も脱いでくれる?ごめんね〜 (ニコッ)」という温和な対応で逆にびっくりした。まぁジンメルも大都会は人間が怖い (意訳) とか言ってたので、そういうことなのかもしれない。

学期が終わったアイオワシティは、完全に人口の流出した過疎地、ゴーストタウンだった。キャンパスを歩いても、まぁダウンタウンに近いPentacrast辺りは大きなバス停もあるのでチラホラ人間はいるが、例えば社会学部の入るNorth Hall辺りは完全に人っ子一人いない状態である。とはいえNHの4階 (社会学部) の院生ラウンジに行くと、自習しに来ている院生仲間をたまに見かけた。確かに、学部生のパーティー騒ぎが無く、TAの仕事も無い夏休みは自分の研究に集中するのに絶好の期間である。数えてみたのだが、夏休みはほぼ一学期分と同期間だった (ほぼ同じweek数、若干1-2週ほど少なかった)。だから、アメリカの院生の1年というのは秋学期、春学期、”夏学期”という3シーズン構成なのだ。それで、いいのか悪いのかわからないが、クセになっているので夏休みのWBS的なものをまた作る訳である。そうすると、長く思えた夏休みも、机に座って研究する時間は取れないであろう旅行weekを外して、やりたいと思っていたことと残期間とを照らし合わせると、あれ案外短い…となるのだ。というか、アカデミックなTo Doに対してリアリスティックな工数見積もりができるようになってきたからこそ生まれた感覚かもしれない。どうせ計画は "ideal type" なのだが、高めの「理念型」を作っておいて最低限の実績を生むというのもtacticsだろうと悟るのが30である。

ルームメートはバカンスに行ってしまい、彼女のイッヌ (茶色の毛むくじゃらのクマちゃんみたいなので”ベア”)も広い庭のある彼女の実家に預けられてしまい、話し相手の相方も先に帰ってしまった。というわけで一人ゴーストタウンに取り残された私は初めせっせとキャンパスに通って学期期間中のリズムを再現しようとしていたのだが、キャンパスでも帰ってきても喋る相手がスマホの向こうのオンマ (とたまにサンチュン)しかいない。という状況が中々ウーン…だったので、始めてみた新しい趣味がクロスステッチ (ここでは普通に刺繍 (embroidery) という言い方の方がポピュラーっぽかった)だった。
きっかけは靴下補修で久しぶりに針を持った瞬間フワッと思い出した、楽しかった昔の記憶である。多分絵を描いたり服をデザインしたり、という親戚たちの影響が多分にあったと思うが、私も絵を描いたり刺繍をしたり、が小さい頃好きだった。それで、確か韓国にいる時に見よう見まねで始めたのがクロスステッチだった。まぁ絵もクロスステッチも似ていたのだ。一見どう全体につながるのかわからないような一本の線や一つのマスを少しずつ積み重ねていくことで、ある時点からフワッと全体像が見えてくる感じが。ちなみに今はこれが研究とも似ていると思うようになった。今日何マス進んだなと思いながら地道に一歩ずつ進めていくと、全体ができてくる感じが。(もはや何事もそう感はある。)

ちなみに冬が長いからなのか、ここのPh.D.生の間ではなぜか編み物が非常にポピュラーな趣味だ。どれくらいポピュラーかというと知っているだけでも4, 5人くらいいる。バスでも編んでいる人を見かけたりする。編み物は…幼稚園の時マフラーとか作ったな、という遠い彼方の記憶があるが、私はクロスステッチの方が性に合うらしかった (マスがセルに見えて好きなのかもしれない)。

カタカタ打っているうちに乗り換えのデンバーに着いた。ここはロッキー山脈の麓らしく、雪を被った山脈の連なりが空港から見える。標高1600メートルとのことなので、結構な高原都市のようだが人口が70万人もいるそうで (悲しいかなトーキョーピーポーとしてのアイデンティティは失われてしまったのでアイオワレジデントの感覚です)、空港はかなり大きくモダンな感じである。近日中にSUSHIレストランができるそうで、工事中の壁に大きく「居酒屋」と書いてあった。

さてそろそろホノルル便搭乗の時間が迫ってきたのでこの辺りで切り上げたい。ハワイについても、気が向いたら記事を書くかもしれない。

ではまた。


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