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鳥の卵を温めた経験がある人におすすめする映画『ハッチング~孵化~』

突然ですが、「卵を温めたことありますか?」
食べるためではなく、孵化させるために、です。

実は、小学生の頃、孵化させるために鳥の卵を温めました。
近所の女の子の家に遊びにいったら、彼女の部屋でインコだと記憶していますが、鳥を飼っていました。
インコって喋るじゃないですか。
実際に喋るところを初めて見たので、それが面白くて。

喋るインコを飼っていることが羨ましくて、「いいなぁ」「すごいなぁ」って褒めたんですよね。

そうしたら、褒められて嬉しかったのか、その子が、「ちょうど卵を2つ生んだから、ひとつあげるよ。大事に温めてね」といって、インコの卵をひとつくれたんです。

正直、「いらないな、卵は……」
と思ったのですが、その子があまりにもニコニコしながら嬉しそうに言うもので、断りきれずに、
「うん、ありがとう」ともらって、家に帰りました。

そこから、もう、どうしたらいいんだろう………。
という感じです。
卵の親のインコをわたしはこの目で見ているわけで、その卵が今私の手元にある。
インコの代わりに「この卵を孵化させなければいけない」という、責任が突然降り掛かってきました。

どうやって温めていいのかも分からず、とりあえず、くまのぬいぐるみのアゴの下に挟んでみたりしたのですが、結局、小さめのふかふかのタオルで卵をくるんで、肌身離さず持っていようと決心しました。

でも、不安で不安で。
インコの卵は小さくて、殻は、いますぐにでも割れてしまいそうな厚さしかないので、一応、家の人にも報告しておこうと、おばあちゃんに「友達から卵をもらったから、温めてる」と伝えました。
そうしたら、結構驚いたリアクションを取られて、
「え?まあ無理だとは思うんだけどね、やってみたら」と言われ、何となく自分でも「だめかもしれない……。」と思いつつも、もらってしまった手前、頑張って温めてみることにしました。

で、どうなったかというと、数時間大事にお腹に抱えていたのですが、夕方になりタオルを開いてみると、潰れてしまっていました。
白身と黄身がでていました。

わたしは、親鳥の顔が頭に思い浮かんで、「どうしよう、いのち殺しちゃった」と焦り、母親に「友だちからもらった鳥の卵を温めていたけど、潰してしまった」と報告しました。
そうしたら、母親は、「明日、正直に潰れたことを説明して、あやまりなさい」と私に言いました。

おばあちゃんは、「まあ、人間が鳥の卵を育てるのは無理だから、そんなに気にするな」と言ってくれました。

次の日、近所の女の子に「大事に温めてたんだけど、夕方見たら潰れてた。ごめんね」と謝りました。
その子は、とても悲しそうな顔をしていました。

それ以来、その子に対して「悪いことしちゃったな」という気持ちがあって、その子のこと好きだったのですが、なんとなく遊びに行くのを控えるようになってしまい、今に至ります。

前置きが長過ぎましたが、何が言いたいかというと、『ハッチング~孵化~』という映画の中でも、少女が森で卵を見つけてきて、自分の部屋で温めるという描写があります。

少女がクマのぬいぐるみのおなかを切り裂いて、そこに卵をいれて温めるという描写を見て、過去の卵の出来事が鮮明に頭に浮かんできました。

私は失敗しましたが、映画の少女は、卵を孵化させることに成功します。
その卵から出てきた生き物が、なかなか独特で、気味が悪く、北欧ホラーとして大満足の映画になっていました。
過去のトラウマを思い起こさせる、心理的に影響するいやがらせのような描写も絶妙で、なかなかイヤーな気分になれます。

パステルカラーの映像で描く、北欧ファンタジーホラーです。
なんともいえない後味の悪いホラー作品を見たいあなたに、おすすめします。
あと、鳥の卵を温めた経験がある人にも。


映画『ハッチング~孵化~』

4月15日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他にて全国順次ロードショー



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