実技試験の練習
介護福祉士実務者研修には、実技試験がある。
講師から「実技試験に備えて練習してくださいネ。」と。
「家に帰ったらお子さんや兄弟、犬でもいいし練習相手になってもらってください。」
そう言われても、一人暮らし。
すると、「どうしてもダメな人は枕やクッションに顔描いて。」と。
笑いの枕
ワンルームでぶつぶつ独り言を言いながら枕と練習するのかぁ。
部屋に戻ると一人笑いがこみ上げてくる。
枕を見ては、顔がにやける。
枕に顔描くなんて、と思うだけで笑いがこみ上げてくる。
「あかんわぁ、無理やぁ。」
と、その日は枕を抱きしめて笑いに包まれて眠ってしまった。
翌朝起きて、足元に転がってる枕を見つけては再びウケる。
「このままでは、練習する前に隣の人に変な人と思われてしまう!
やばい。」
ぐちってみると
職場について「あ、そうや!」とひらめいた。
認知症グループホームに入っている人に頼んだらえぇんや、と。
実技試験の課題は左片麻痺が残っている人が椅子から立って、杖を使って玄関まで歩く。
で、歩くのが苦手というか嫌な人。
「○○さん、おはよう。
昨日な、研修行ってきてんかぁ。
でな、実技試験があって練習してきてって先生に言われてん。
でもな、一人暮らしやから練習相手がおらへんねん。
そしたら、先生枕に顔描いてしぃって言うねん。」
「(笑)なんやそれ。」
「やろ。ウケて練習ならへんねん。
で、お願いがあるねんけど、○○さん練習相手なってくれる?」
「うん。」
「やった~!!」
歩くの嫌でテレビ大好きな人が練習相手になってくれることに。
松嶋菜々子がいると思って
「ごめんな、練習に付き合ってな。
『○○さん、トイレに行くので立って歩きませんか?』」と丁寧に話す。
「(笑)」
いつもと違う口調で棒読みになってる私。
『右・左と足を出していきましょう。』
と言うと、もう笑いしかない。
お腹に力も入らない。
歩行が不安定な人は、足元がどうしても気になってしまう。
で、前に姿勢が傾きがち。
『少し視線を前に向けてみましょうか?』と言うも歩くのに精いっぱい。
あ~、疲れてきた。
もういつも通りしよぉ。
「前に松嶋菜々子がおると思って、前みてぇ。」
で、笑いながら姿勢が戻る。
結果
練習の成果もあり、実技試験もなんとか合格。
「○○さんが練習、協力してくれたおかげで合格したでぇ!
ありがとう!」
と言って、その人が大好きな松嶋菜々子のドラマをつける。
これ、感謝の気持ちやでぇ。