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「きょういく」と「きょうよう」

「高齢者が健康で長生きするのに必要なことって何かわかるか?」
「なんやろう?」
『きょういく』と『きょうよう』や。」
「教育と教養?」
「『きょういく』は今日も行くところがある。
『きょうよう』は今日も用事があること。」
高齢者の居場所づくりに携わり始めたころ、そう70代の男性が教えてくれた。

あれから10年。
認知症グループホームでの実現は、未に厳しい…

今日行くところ

「今日もどっこも行かなかった。」
「買い物行きたいわぁ。」
「ここにいたら出られへん。」

仰るとおり。
「今日行くところ」は、リビングかトイレがメイン。
あとは…お風呂場とキッチンとベランダかなぁ。
職員の手がある時に施設内のガレージに出たりするくらいやもんなぁ。

今日の用事

「ここにいても、ぼ~っとここで過ごすだけ。」
「何にもない。」
「あぁ、また1日が終わってしまった。」

認知症グループホームでの用事は、主に医療関連。
月に2回の往診、週1回の訪問看護。
人によっては歯科医の往診や通院、たまに理学療法士とかマッサージ師の方が来るくらい。
それ以外では、お花見とか花火などの施設の行事が月に1回ある程度。

毎日「食う、(薬を)飲む、寝る」が今日の用事。

「お風呂いつ?」と聞かれることはあっても、「今日、何があるの?」とは聞かれない。
施設の予定に合わせるだけの生活。
だから、家族が面会に来てくれる人は、やっぱりいいなっ、て。

施設の外の生活

一方、介護を受けながらも施設の外で暮らす80代の高齢者の生活は…

【活動的な人】
朝5時くらいには起きてしまうから、天気のいい日は公園へ散歩。
平日は登下校する子どもの見守り。
朝食を済ませたら、近所のコミュニティ・カフェでコーヒーを飲んで情報交換。
自宅で昼食をとり、午後からは、講習会やサークル、ボランティア活動などに参加。
夕方、ちょっと一杯好きなお店でお酒を飲んで家に帰る。

【まったりな人】
朝起きて植木の水やりをしてから、朝食。
新聞やチラシを見たりして、情報収集と買い物に行くところを決める。
お天気だと午前中に洗濯する。
お昼ご飯を済ませたら、散歩がてら買い物へ出かける。
道で出会った近所の人とおしゃべりしたり。
夕方、植木の水やりをしつつ近所の人とおしゃべり。
夕食を作りすぎた時は、ご近所さんに電話しておすそ分け。

で、彼らも認知症やったり、介護サービス受けてる。
なんで、施設に入るとできなくなるんやろうなぁ。

#未来のためにできること