カンボジア日系商社_やってよかったこと

なぜカンボジアは大卒レベルの優秀な人材が豊富な国だと言えるのか

カンボジア日系商社S.E.A.T.S Inc.の峯島です。

前回の記事の続きとして、なぜカンボジアにおいて即戦力となる中途採用ではなく新卒レベルの人材採用に注力するようになったか、について書きます。  

<要点>
・カンボジアは歴史的背景から40代以上の人口が極めて少ない稀な国
・現在の30代以上で自立している人は自分でビジネスをしている
・現在の20代かそれ以下の人材は母集団が豊富で大卒も多く、英語も話せて成長意欲もあり、魅力的

▼前回の記事▼


カンボジアは1970年にカンボジア王国が倒れてから、1993年にカンボジア国民議会選挙で民主政権が誕生するまでの期間、長らく内戦状態にあった国です。

私はこの内戦中に起こった出来事で、現在にも影響を及ぼしている最も致命的なことのひとつとして、知識階級の徹底的な大量殺戮、が挙げられると考えています。

「文字を読もうとした者、時計が読める者など、少しでも学識がありそうな者は片っ端から殺害しており、この政策は歴史的にも反知性主義の最も極端な例とされる」出典元:引用 – Wikipedia

徹底的な知識階級の粛清によって、経済・文化・教育など積み上げられてきた殆どの国としての財産が無かったものとなりました。一説には、このために国の成長が数十年遅れたとも言われています。

その徹底的な粛清の結果、現在のカンボジアの人口動態統計は、以下のようないびつな形をしており、現在40代以上の人口が相対的に極めて少ないという状態にあります。

クメール・ルージュの支配した暗黒時代が終わった1980年に生まれた人で、2020年現在40歳、内戦が終了した1993年に生まれた人で現在27歳です。
知識階級不在の中で戦中・戦後の教育が充実していたとは言いづらいのは想像に固くないと思います。(実際に当社のメンバーからも日本の戦後の青空教室を彷彿とさせるストーリーを聞いたことがあります)  

話を今のカンボジアにおける人材市場に戻すと、こうした歴史的背景に起因して、語弊を恐れず言えば、ビジネスの世界で活躍している30代以上の方に出会えるとすればかなりラッキーだと感じています。  

尚、内戦中に他国へ留学したり、難民として国外で生活したカンボジア人の方々のなかに優秀な人が多くいると感じています。ただ、そうした自立できる人たちはすでに自身で起業するなどして、人材市場に出てくること自体が稀です。

こうした中で、目をつけるべきは20代以下の若い世代です。
カンボジアの平均年齢は25歳。大卒者数のデータは分かりませんが、現在と今後に渡り、教育が更に整備され、より多くの優秀な若い人材が市場に出てきます。  

言語に関しても、肌感でタイやベトナムの主要都市に比べてプノンペンは英語を使って仕事ができる人材の比率が高いです。銀行や不動産、プロフェッショナルファーム系、身近なところではTukTuk(3輪タクシー)のドライバーまで、英語を話して商売ができる人たちが相当数います。  

理由としては、英語が話せると給料(収入)が上がり、就職先としての選択肢が明らかに増えるから、というのが最もらしいと考えています。また、大学のテキストは英語で書かれているものも多く、大卒であれば英語の基礎体力は自然と身につく環境にあると言えます。  

※隣国のバンコクやホーチミンは自国経済が十分大きく、母国語さえあれば就職先とある程度の待遇が見込めるという点でカンボジアとは異なる環境です。日本も同様に、自国で経済が回せる国だと認識しています。

そして実際の給与相場ですが、(学生含む)カンボジアの新卒レベルで月200~400USドル程度(約22,000〜44,000円)です。外資系企業において、良い人材はどんどん給与が上がっていく傾向にある(そうすべき、他国も同じ)ものの、スタート地点ではまだまだ低い水準だと言えると思います。  

------------

上記のことから、当社は自社の採用に関して、最初から中途の即戦力人材を求めるのではなく(出会えたらラッキー)、中長期的視野で、20代以下の豊富な母集団の中から、自社に合った人材を採用し育成することに注力しています。


最後までお読み頂きありがとうございます!カンボジアをはじめアジアで事業をする中での出来事、思考、将来一緒に仕事をする方々へ向けたメッセージなどを書いています。他の記事もご覧頂けたら幸いです。 スキやフォローは励みになります!^^