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ブックレビュー:自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる ラス・ハリス著

自分に揺るぎない自信を持てたらどんなによいでしょうか。
本書は、自信をつけて人生を生きるためのACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)からのラス・ハリス先生からの提案です。

要旨

本書で取り上げられている自信を持つためのルール10を最初に紹介します。

ルール1:まず、自信の行動をせよ。そうすれば自信の感情はあとからついてくる。
ルール2:真の自信とは恐れのない状態ではない。それは恐れとの関係が変化した状態だ。
ルール3:ネガティブ思考を持つのは正常なことだ、それと戦わず脱フュージョンせよ。
ルール4:セルフ・アクセプタンスは、自尊心に勝る。
ルール5:価値を絶対視するな。しかし、積極的に追い求めよ。
ルール6:真の成功とは、自分の価値に沿って生きることだ。
ルール7:成果にとらわれるな。プロセスに情熱を注げ。
ルール8:恐れと戦ってはいけない。それを受け入れ、仲良くなり、役立つ方向に導こう。
ルール9:失敗は苦痛だ。だが私たちが喜んでそこから学なら、それは偉大な教師になる。
ルール10:最高の力を発揮する鍵は、行動に完全集中することだ。

自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる

その中でも、特に印象的だった、ルール1、2、7について取り上げていきます。それぞれのルールが分かりやすくワークなども豊富に載っていますので、興味のある方は是非本書を手に取ってみていただければと思います。


自信がなくても行動すれば、自信はあとからついてくるは、本当?

ルール1:まず、自信の行動をせよ。そうすれば、自信の感情はあとからついてくる。

自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる

「自信はなくても、やりたいことやってみたらいいのかな?」
とにかく、はじめよ、手をつけよ。自信はあとからついてくる。この手のアドバイスは繰り返し書籍で読んだことがあります。いつ頃からだったか、まあそういうものなんだろうな?と思うようにいたりました。

ラス・ハリス先生も場数を踏むことでなんとかなるが、やはり新しい挑戦の前は、恐ろしいと述べていました。自分の体験に照らしてみても、例えば、3年ほど前からマインドフルネスなどの講座をオンラインで提供していますが、最初は自信がなくとにかく(今も?)汗をかいたり、講座前は緊張してピリピリしたりするのですが、なんとかなるもんだ・・・という手応えは得られるようになってきています。

12ステップでも、恐れを手放し、スモールステップを少しずつ登っていくことが推奨されています。このやり方で、ペイパードライバを一旦克服しましたが、またペイパードライバー(汗)に戻っています(笑) 

本書では、自信のサイクルについて以下の方法を提案しています。

自信のサイクル:
ステップ1:スキルを磨く
ステップ2:実際に使ってみる
ステップ3:結果を評価する
ステップ4:必要ならやり方を変える

自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる

準備をし、スキルを磨き、実際にやってみる。結果を真摯に受け止める。そして、必要であれば失敗をみとめ、うまくいっているところはそのままにして、やり方を変えていくということでしょうか。この点については、深く納得します。

趣味のキャンプや登山でも、準備をし、(少しトレーニングをし、)実際に登り、体験し、その後に行程を振り返り、次回のキャンプ・登山にむけてまた準備することの繰り返しです。自然に負けず、自然と共存するためのプロセスです。

怖くないなんてことはない

ルール2:真の自信とは恐れのない状態ではない。それは恐れとの関係が変化した状態だ。

自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる

こちらもその通り!と頷いきっぱなしでした。最近怖かったことといえば、本を出版することでした。

本書に紹介されていた書くことに関する引用を二つ紹介しましょう。

書くことは馬鹿になること、そして失敗することだ。

ピーター・ケアリー

どんな作品でも初稿はゴミだ。

アーネスト・ヘミングウェイ

本を執筆している際、よく「こんなことってもうかなり言い尽くされてるし、何も新しい発見ではないような気がするし、意味ないじゃないか?何言ってるんだろう私?やっぱりバカかな?はずかしいわー。」そんな風な思いに襲われ、初稿は本当にひどいものだなーという感じがしたのですが、何度も書き直し、訂正し、編集者の校正や意見を反映させ、最終的にはなんとか形になったように思います。なので、著名な作家の一言に、思わず共感してしまいました。

要するに、最初から怖くないなんてことはなくて、何かに挑戦するときは、皆怖いもの・・ということを受け入れて、さらに挑戦するとよいのかな?と思います。そして、取り組んでいるうちに、なんとかなるものなのかもしれないです。

価値に沿って生きることが成功

ルール6:真の成功とは、自分の価値に沿って生きることだ。

自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる

ACTの中で一番自分の人生に大きな影響を与えたのが、価値に沿っていきることの幸せです。価値観のワークは、マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)のプログラムにも出てきます。自分の本にもワークとして入れてあります。

本書のp155ページから、一般的な価値のリストが載せてあり、そのリストにそって自分にとってとても重要なものを見極めていくだけでも、かなりの価値観の洗い出しになる。時々取り出して、トップ6の価値を書き出すというワークも推奨されている。 

例え、小さなことでも、今できる価値にそった行動はないか?

自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる

今自分が大事にしている価値は、12ステップのそれとかぶるものも多いのですが、「正直さ」「愛」「安全」「スピリチュアリティー」「ユーモア」「マインドフルネス」「受容」「冒険」などです。6個を超えている(笑)

最後に

「自信」は私にとって、とても身近な話だ。なぜなら、私自身何年も自信のない日々を送ってきたからだ。中略 そのために、飲酒年齢になるずっと前から私はアルコールに頼り、医学部の最初の年は、毎日酒を飲んでいた。状況はさらに悪化し、医学部3年の時には急性アルコール中毒になって救急車で病院に担ぎ込まれた。

自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる


「もしかして仲間?」
ラス・ハリス先生の体験を読んで、その後どう人生の中で自信をつけていったかというストーリー展開は、かなり読み応えがありました。先生はACTを地道に実践することで、自信のない状態から本当に回復したのだな〜というのがひしひしと伝わってきて、生き様そのものにメッセージ性があると強く感じました。正直で、失敗を隠さない姿勢そのものに励まされ、もちろん有用なさまざまなACTの手法や、いろいろな著名人の引用なども参考になるのですが、一番胸打たれたのは、そういった作者のあり方そのものだと思いました。



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