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【マインドフルネス入門講座】〜心と身体を調える気づきの科学〜

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健康や幸福感を高めるとして、ビジネスや医療など様々な分野で取り組みがすすむマインドフルネス。今では、ストレス軽減や集中力の向上など、様々な効果が実証されています。 ​このマインド… もっと読む
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#こころとからだ

Week 3-1 感情の探求

まず、 「人生の最も良い時、反対に困難な時の様子を振り返ってみてください」 振り返ってみた時、そこには必ず感情が存在するはずです。 感情経験には深い意味があります。自分自身を「感情的な」人間ではないと思っていたとしても、喜びや悲しみ、愛や怒り、安心と不安などの人生のドラマは等しく胸を打つものです。 例えば人生にこうあって欲しいというような望みを抱く時、ある特定の感情を感じることをゴールとして捉えているといえます。 私たちが何かを望む時、言い換えると、ある特定の「感

Week 3-2 全ての感情を歓迎する

​人間という存在は、みなゲストハウス 毎朝、新しい客がやって来る 喜び、憂鬱、卑しさ、そして一瞬の気づきも 思いがけない訪問者としてやって来る 訪れるものすべてを歓迎し、もてなしなさい たとえ、それが悲しみの一団だとしても できるかぎり立派なもてなしをしなさい たとえ、それが家具のない家を荒々しく駆け抜けたとしても もしかすると訪問者は、あなたの気分を一新し 新しい喜びが入って来られるようにしているのかもしれない 暗い気持ちや、ごまかし、ときには悪意がやって来ても 扉のところ

Week 3-3 ストレス反応

私たちの脳は、進化の過程において生存競争に優位な役割を果たし得るように作られています。 生き延びた祖先、つまり私たちは脅威を察知し即座に反応して外敵から身を守ることができた種といえます。常に周囲に目を凝らし、不安要因に対して警戒心を巡らせていました。 木の中を歩く鹿を見たことがあるでしょうか? 彼らは聞き耳を立て、警戒しながら歩き、脅威を感じた途端に走り出すのです。このように危険にさらされた時の鹿の習性と私たちの行動パターンに共通点を見出すことができます。 これは、「

Week 3-4 扁桃体ハイジャック

人間が、感覚を感じたり、手足を動かしたりするのは、脳の大脳皮質です。 この、大脳皮質を被った、脳の深い部分に、左右に1つずつアーモンドの形をした、「扁桃体(Amygdala)」があります。 扁桃体(Amygdala)は、人間の感情をコントロールするセンターとされています。 この扁桃体の隣には、記憶を司る「海馬」があり、過去の記憶が感情の反応に関わっているとされています。 人間が危険を感じたり、ストレスサーからの刺激を感じると、まず、大脳皮質で視覚や聴覚などの感覚として

Week 3-5 思考と感情

「思考→感情」? 「感情→思考」? 何かについて考える時、その思考に反応して感情が生まれるのか? それとも、感情が先に発生し、それに伴い思考をするのか? 何らかの感情を感じた場合、 その感情が引き金となって、その時の感情に関連するような思考が浮かび上がることがあります。 思考から感情へ、そしてまた感情から思考へと注意が行ったり来たりするように感じられることがあります。 しかも、この思考と感情は、身体にも影響をおよぼします。 人間の営みとして、身体は反応してしま

Week 3-6 感覚と感情のレベルに気づく

感情は私たちを一度に打ちのめすことがあります。 困難な感情は、強風が叩きつけるようなものです。 台風の映像で強風が木を激しく打ち、建物を破壊していく様子を見たことがあるかもしれません。 マインドフルネスで学ぼうとしていることは、たとえ強風が私たちの感情の世界を襲っても、やがて、それは過ぎ去り、何も吹き倒されることはないということです。 例えば怒りという感情は、もし何も術がなければ、心が引き裂かれるように感じられるでしょう。 しかし、感情はあくまで感情で、心を引き裂く

Week 3-7 刺激と反応

強い感情をうまくやり過ごすのは難しいことです。 「怒り」などの強い感情を経験している、まさにその時には、自分に身についた、いつもの反応のパターンに陥りやすいものです。 例えば、「激しく仕返しをする」「引きこもる」「我慢する」などの行動が考えられるでしょう。 このような状況下での反応は、瞬時に、また、無意識のうちに起こるため、後に「後悔」や「心地悪さ」を感じて初めて気づくということが多いのです。 ​ その時々にマインドフルネスを応用することができ始めると、徐々に感情と反応

Week 4-1 書くマインドフルネス(ジャーナリング)

今日は、ペンを持って、ノートに「今ここの観察日記」を書いてみませんか? 書くマインドフルネス、ジャーナリングとも言われます。 例えば、10分のジャーナリングプラクティスを設定する場合、 5つのテーマを上げ、2分ごとにテーマを変えていきます。 例えば、、、 ①今の心配ごと。(2分) ②今の体の状態。(2分) ③家族について。(2分) ④仕事について。(2分) ⑤今やりたいこと。(2分) テーマは何でも構いません。(事前に設定しておきます。) テーマを前にし

Week 4-2 感謝のちから

『人生には、二つの道しかない。一つは、奇跡などまったく存在しないかのように生きること。もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ。』                  〜アルバート・アインシュタイン〜 ちょっと立ち止まって、今に注意を向けて観て下さい。 多くのささやかな贈り物や宝物に気づくことが出来ます。 私たちの意識は、ついネガティブな方向に偏りがちなため、周囲の全ての恵みを忘れてしまいがちです。 今に慣れ、恵みの存在を忘れている、と言えます。 ストレス

Week 4-3 感謝の日記

意識的に感謝の気持ちを醸成する方法として、「感謝の日記」があります。 その日、寝る前に、「感謝することを3つ」日記に記していく。 ただれだけの、シンプルなものです。 「お客さんから、美味しいと言ってもらえた。」 「締め切り直近の仕事が終わった。」 「困っているところ手伝ってもらった。」 というような事柄から、 「長年の懸案だった、商談がまとまった。」 「子供を授かった。」 などという大きな事柄まで、様々だと思います。 しかし、日々の生活で「感謝」を探すことが難しいとい

Week 4-4 ハートフルネス

Opening the heart through inner stillness and silence, we become more human, more loving, compassionate, and kind, to one’s own self and to all other human beings. The practice of heartfulness is gentle, appreciative, and nurturing.      

​Week 4-5 優しい気づきへの5つのステップ

そもそも人間はネガティブなことに敏感になるように作られています。 ですから、ハートフルに自分の中の優しさや、温かい部分を見つけるためには、意図的にプラクティスして養成していかなくてはならないのです。 そのための、5つのステップによるケアを紹介します。 ①観る:マインドフルに今ここに注意を向け、身体や心がどのような感じ方をしているかに気づく(マインドフルネス) ②認識する:自分が今経験していることを知る。例えば:緊張、疲れ、怒り、不快、悲しみ、戸惑い、心配など。ラベリン

Week 4-6 自分をあたたかく見つめる(セルフコンパッション)

優しさや、思いやりを自分自身に向けて自分自身をあたたかく受け入れていくことをセルフコンパッション(自分への思いやり)といいます。 コンパッション(慈しみ、思いやり)の気持ちを「自分に向ける」セルフコンパッションという行いは、人によっては、実は、初めての経験で、新鮮さや、違和感を感じることがあるかもしれません。 セルフコンパッションは、限界や失意、困難に直面した時に、自分に対して優しさや労りに基づいた対応をする能力のことをいいます。 私たちは「○○でなければならない、○○

Week 5-1 人との関わり

次のような機内放送を耳にしたことがある方はいらっしゃいますか? 「緊急時に酸素マスクが下りてまいります。まずご自分のマスクを確保してから隣のお席の方の援助をお願いいたします。」 恐らく皆さん聞き覚えがあるのではないかと思います。 これは「自分のケアを優先する」一例といえますが、この原則はマインドフルネスのプラクティスにもあてはまります。 マインドフルネスを初めて学ぼうとする人は、まず、自分自身にマインドフルになることから始めてみましょう。 まず、自分の考え、感情、習