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🇩🇰 調査レポート07【私たちは北欧社会から何を学べるのか】

先日、同じ研究室の友人と電話で話しました。彼女はスウェーデンにて、若者の社会参画に関する調査を実施しています。

私たちはよく、北欧に住んでみて感じていること・学び・発見。そして、その背景にある日本との地理・歴史・文化の違いについて話し合います。特にこの後半部分を考えるのが、私は好きであり、同時に苦しくもあります。

前半部分だけで議論するとどうしても「北欧社会は〜だ。だから日本より良い」となりがち。一方その背景まで考えると「北欧社会が〜なのは…という歴史があるから。逆に日本は…という歴史があって、だから違うんだ」という風に、より客観的にみることができます。だから、背景にまで目を向けることはとても大切。

一方で、北欧と日本ではこれだけ地理も歴史も文化も違うから、学びを日本に活かすのは無理なのでは…そんな気持ちになることも。

例えば、デンマークの人口は581万人、兵庫県とほぼ同じ人口です。それに比べて日本は1億2550万2千人。桁が違います。

デンマークでは人数が少ないからそのシステムが成り立っているんでしょ。

そう考えられる点もないとは言い切れません。

また当たり前ですが、"今"を考える上でその国が辿ってきた歴史の違いは大きいです。

友達がスウェーデンの中学校で、日本についてのプレゼンテーションをした際、東京タワーの写真を見せたそうです。

日本のエッフェル塔はどうして建てられたの?

という生徒からの質問に、友達が

総合電波塔として建てられて、戦後復興のシンボルでもあるよ。

と答えると、生徒らはあまりピンときていない様子であったそう。その時友達は「そうか。スウェーデンでは戦争という経験が日本ほど大きなものではないのか」と、はっとしたそう。

日本が戦後の復興に総力を挙げている頃、北欧は福祉国家を発展させてきた歴史があり、復興にかけた労力と時間、敗戦経験の有無は、それぞれの国の"今"に決定的とも言える違いをもたらしていると思います。

北欧は、地理も歴史も、それによって生まれてきた文化も、何もかもが日本とは違う。でも、それでもやっぱり。私は今回再びデンマークを訪れて、この国おもしろい!!!と日々感じています。この国から学べることはまだまだたくさんある。その確かなる実感があります。

じゃあ何をどのように?

これは日本においてデンマーク社会を研究していく上で、これからもずっと問われ続けることだと思います。

私たちは北欧社会から何を学べるのか?

まだまだ答えは出ないけれど、今思うのは、表面的に見えているもの、例えば社会のシステムや教育・福祉の実践を、そのまま日本社会に当てはめるのは、まず難しいということ。なぜなら、その背景にあるものがあまりにも違うから。

でもそこで諦めるのではなくて、表面的に見えていないもの、例えば社会・教育・福祉の根底にある考え方や理念。そういうところを、研究を通して言葉にして伝えること。それが北欧社会を研究する私たちのすべきことなのかなと感じています。

それによって、日本の考え方や理念を否定するのではなく、根底にあるものの違いを理解した上で、必要であれば取り入れて選択肢を増やしたり、日本に合った方法で新しく創ったりと、次のステップに繋げることができるのではないか…今はぼんやりと、そんな風に思います。

まずは今回の調査で得た学びを形にするため、帰国後は修論の執筆に励みます。最後まで読んで下さりありがとうございました☺︎

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