feiyong mumei

なんでもない日常を綴っていきます。主に福岡。

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〈はじめに〉思い出を記録してこなかったことへの後悔

 私は若い頃から思い出のものを残すことに興味がなく、写真はほとんど手元に残っていない。スマートフォンで手軽に綺麗な写真を撮れるようになっても、めったに撮ることはなく、飲食店で料理にスマホを向ける友人がいても、なぜ撮るのか理解できなかった。日記なども、書き終わっては未練なく捨ててしまう。  しかし、そんな私も40代後半になり、「写真を撮っておけば良かった」「なぜ、あの町のことをもっと知ろうと思わなかったのだろう」などと後悔するようになった。  特に後悔しているのは、中国に住んで

    • 2024年9月9日(月)青春18きっぷで日田豆田町へ日帰り旅

       8月に使った「青春18きっぷ」が1日ぶん余っていた。正直なところ、もう各駅停車の旅はお腹いっぱい…という気分だったが、売ってしまうのもなんだかもったいなくて、日帰り旅をすることにした。  行き先は大分県日田市。豆田町を目的地に、博多からまずは鳥栖行きの電車に乗った。地元・九州内では、県外へ出たところでワクワク感は乏しい。と思っていたのだが、久留米から日田行きのワンマン電車に乗ると、車窓に流れる田園風景の美しいこと。乗客も少なく、日田で降りてしまうのはもったいないような気持

      • 2024年8月14日~16日 青春18きっぷで山陰ひとり旅

         今年の夏は夫が一人で帰省すると言うので(嬉しいような寂しいような)、その3日間は思いつきで一人旅をすることにした。パジャマ姿で夫を送り出して約1時間。部屋を片付けて身支度を整え、最低限の着替えを用意して、青春18きっぷを握りしめて、とりあえず東へ行く電車に飛び乗った。 「ずっと、こういうことがしたかったんだ」と思った。目的のない旅。  出発地は博多。具体的な目的地はなかったが、なんとなく行き先は山陰側に決めていた。行ったことのない場所をさまよいたかったのだ。15時10分

        • 『ボーイフレンド』熱が全然さめない。

          Netflix『ボーイフレンド』をしっかり見終わって、早3週間? ほんとに早ッ! YouTubeの未公開映像も、プロデューサーが投稿してくれる写真も、出演者一人一人のSNSも追いかけて、まだまだ私のボーイフレンド熱はさめない。 全世界に、勇気をもってアイデンティティを主張できた彼らのこと、一人ひとりが愛おしいし、人は誰しもその権利があるのだと学ばされる。 あらためて、いわゆる「BL」で括ってはいけないと感じる。 人間が自分の幸せを求める姿がそこにあるのだと思う。視聴する誰

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        〈はじめに〉思い出を記録してこなかったことへの後悔

          この作品が生まれてくれてありがとう!『ボーイフレンド』

           Netflixで「ボーイフレンド」を観た。Youtubeで未公開映像も追いかけ、もちろん「ボーイフレンドナイト」も欠かさず見て、コメント欄までしっかり読んでいる。  なんでそんなに惹かれたのかなぁと思うと、まず出演者が素敵だった。そして、作品として仕上がりが素晴らしかった。全編を通して、制作陣の方々の出演者への愛やリスペクトを感じられて、安心して観ていられた。  ショーとして成立させるために、誰と誰のどんなシチュエーションをつくるのか、ディレクターの力を働かせる部分もあ

          この作品が生まれてくれてありがとう!『ボーイフレンド』

          2024年1月10日(水)『PERFECT DAYS』を観た

          先週のことだけど、久しぶりに映画館で映画を観た。 役所広司さんの『PERFECT DAYS』だ。 役所さん演じる平山は、東京の公衆トイレを掃除する男性。 毎朝、日の昇る前から近所の人が道を掃く竹箒の音で目覚め、顔を洗い、髭を整え、アパートの前にある自動販売機で缶コーヒーを買って車に乗り、仕事へ行く。 車中で楽しむカセットテープの音楽。仕事終わりの銭湯。夜は読書をしながら眠りにつく。 週末に出かける小料理屋には、好きなママがいる。 ほとんどセリフはなく、独りの豊かさをずっと

          2024年1月10日(水)『PERFECT DAYS』を観た

          2023年8月4日(金)19時04分の大濠公園

           今夜は夫が会食に出かけているので、夜に散歩に出た。すると、この大濠公園。最近の美しさ、どういうこと!?!?!? トンボがたくさん飛び回っていて、でも人にはぶつからないので不思議だった。  父に報告事があって連絡していたところ、わざわざ言わなくてもいいようなイラっとさせるだけの返信がきた。悪気はないのだろう。傷つけるほどのコメントでもない。でも、散歩中しばらく嫌な気分になってしまった。  私も誰かにこんなことをしないように気をつけよう。帰宅してもビールを美味しく味わえなかった

          2023年8月4日(金)19時04分の大濠公園

          2023年8月3日(木)12時09分の鳥飼

           近所のカフェで仕事の作業をしようと出かけて、カフェのある場所へ階段を上りながら見上げた空が鮮やかだった。この時、気温36度。湿度はそれほど高くなくて、不快でもなかった。  カフェはお客さんも少なくて、作業がはかどった。 自宅にいると、あれやこれやと気になって、仕事も家事も捗らない。理想ばかりに突っ走る自分の焦燥感に駆られたあげく、すべてが面倒になって寝てしまうというのが、いつもの落ちだ。実は、中国に住んでいた時もこんな調子で、ちっとも中国語を勉強しなかった。  自宅をカ

          2023年8月3日(木)12時09分の鳥飼

          2023年8月1日(火)8時47分の大濠公園

           茶道教室の場所の予約をしに行く際、歩きながら見た水面があまりにも綺麗だったので、急いでいたけど、写真を撮った。刻々と水の色は変わっていく。こういう景色に出会えるのは幸運だ。  あまり冴えない日々だけれど、できることからストレッチやトレーニングを始めた。筋肉痛はちょっと嬉しいし、少しずつ柔軟性がアップしているのも嬉しい。

          2023年8月1日(火)8時47分の大濠公園

          2023年6月17日(土)18時02分の大濠公園日本庭園

           この日は茶道の稽古だった。仕事に追われている最中、しかも3週間ぶりの稽古で、お点前の手順も作法も忘れまくっていた。いつもここへ稽古に来ると、日常のあれこれを忘れて過ごせるのに、この日は全然ダメだった。それほど心が乱れていた。  そして、今日ようやく仕事が落ち着いた。やっと心配事のない生活に戻る。  ひとつの仕事は大きな病院のリーフレット制作だった。看護部長に取材をし、原稿を提案し、打合せを重ねた。いつも穏やかで、方針も判断もわかりやすく伝えてくれて、ただでさえ看護師とい

          2023年6月17日(土)18時02分の大濠公園日本庭園

          2023年5月17日(水)16時00分の薬院

           最近、気づいたことがある。自分が感じた印象と現実にギャップがあるようなのだ。取材の仕事で、どうしても話が弾まない(と思った)人がいた。私をよく思っていないのだろうと思い込んだ。取材が終わってからも「ちゃんと話を聞き取れたのだろうか」と落ち込んだ。でも、録音した音声データを聞き直してみると、その人は、とても感じよく話してくれているのだ。何度も笑いながら、一生懸命話そうとしてくれているのが聞き取れた。  私はなぜ、この人の善意や好意を受け取れなかったのだろう。残念だし、失礼だ

          2023年5月17日(水)16時00分の薬院

          2023年4月13日(木)18時3分の近所の猫

           夕食にインドカレーを食べようと外へ出たところ、近所の猫が塀の上にいるのを見つけた。いつも同じお店でごはんをもらっている地域猫。お店の前でごはん待ちをしている姿が近所で有名だ。  なかなかの老猫なので、高い塀の上にいるのは珍しいと思ってカメラを向けた。全然気づかない。スマホのカメラの「カシャ」音でようやく振り向き、私の顔を見て「にゃ」と鳴いた。  この猫に会って7年になる。目が合うたびに鳴くので、彼(彼女?)の口の中をいつも真正面から見ている気がする。一体なんと鳴いている

          2023年4月13日(木)18時3分の近所の猫

          津軽のこと

           2018年12月に母方の祖父が90代で亡くなった。祖父の家は津軽で代々続くりんご農家で、その家業を守り抜いた祖父は、ただただ穏やかで優しい人だった。  その1年ほど前から私は心身の調子を崩し、うっすらと「死んでしまいたい」と思いながら暮らしていた。医師によれば抑うつ状態だということで、占いの類にもたびたび頼ってしまった。  祖父がもう長くないかもしれないと言われていた頃、「津軽に行くといいですよ」と言ったのは、ある霊能者だ。  ゆかりのある土地のものにふれたり、食べた

          津軽のこと

          2023年4月3日(月)18時29分の大濠公園

           夕食の支度をする気力がなくて、仕事から帰ってきた夫と外食に出かけた。「せめてもの運動に」と大濠公園を歩いてから店へ行く。  マジックアワーだ。水面がブルーとグレーに分かれていて、とても綺麗だったのだが、目で見たようにはスマホのカメラには写らない。  例えばプロが撮った写真には、その人の「いいな、と思った瞬間」が写っていると思う。私もその瞬間を残したいのに、なんだか違う。「肉眼に近いレンズがあるんだよ」と夫が教えてくれた。

          2023年4月3日(月)18時29分の大濠公園

          2023年4月1日(土)の熊本市現代美術館「坂口恭平日記」

           4月1日。朝から快晴の土曜日。昼前から夫と一緒に熊本へ行った。目的は、熊本市現代美術館の「坂口恭平日記」。この展覧会に行くのはすでに2度目で、今日は坂口恭平さんと前野健太さんのライブがあるということで再び訪れた。  ちなみに私は、坂口さんも前野さんも、いずれの音楽活動にも詳しくはない。昨年末、ひょんなことから坂口恭平さんご本人のお話を聞く機会に恵まれ、それから猛烈にファンになってしまった者である。    坂口恭平さんのパステル画は、見るたびに「走馬灯に出てくる光景みたいだ」

          2023年4月1日(土)の熊本市現代美術館「坂口恭平日記」

          深圳から香港へ遊びに行った話②

           香港は急な坂道が多く、その街のあちらこちらに魅力的な路面店があった。夫は骨董が好きなので、古い陶磁器を扱う店を見つけると、英語だか中国語だか、とにかく片言の外国語で店主と話しこみ、何枚かの皿を購入した。私は骨董の店が苦手なので、その間、近くをぶらぶらして過ごした。  浮かれた私たち夫婦は、香港の記念にとお揃いのボールペンを買った。たぶん1本100円くらいの。中年夫婦とは思えないささやかさ(笑)。私たちはまだ新婚だった。  ノープランの旅ながら、「せっかくだから特別なこと

          深圳から香港へ遊びに行った話②