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2023年4月1日(土)の熊本市現代美術館「坂口恭平日記」

 4月1日。朝から快晴の土曜日。昼前から夫と一緒に熊本へ行った。目的は、熊本市現代美術館の「坂口恭平日記」。この展覧会に行くのはすでに2度目で、今日は坂口恭平さんと前野健太さんのライブがあるということで再び訪れた。
 ちなみに私は、坂口さんも前野さんも、いずれの音楽活動にも詳しくはない。昨年末、ひょんなことから坂口恭平さんご本人のお話を聞く機会に恵まれ、それから猛烈にファンになってしまった者である。
 
 坂口恭平さんのパステル画は、見るたびに「走馬灯に出てくる光景みたいだ」と思う。なんでもない景色の一つひとつに「今、生きている歓び」が輝いている。走馬灯に出てくる光景って、必ずしもドラマティックなシーンじゃなくて、こんな何気ない日常なんじゃないかと思うのだ。

 お子さんの絵もよく登場するけれど、愛しさがあふれていて、せつなくてたまらない気持ちになる。

 ライブは特別な体験だった。坂口さんと前野さんの息が合っていく感覚をそこにいる人たちみんなが共有し、ふいに新しい音楽が生まれる瞬間に立ち会った。おふたりの嬉しさが、またみんなに伝わり、会場の空気もどんどんひとつになっていく。
 
 『海底の修羅』という歌は何度か聴いていて、最近ようやく詩の意味が理解できるような気がしていたところだった。でも、今日ライブで聴いたら、自然と涙がこぼれていた。夫も隣で泣いていたらしい。先にあの世へ行ってしまった大切な人たちも、この先の自分も、すべての死が明るく救われるような歌だと思った。 

 前野健太さんの『今の時代がいちばんいいよ』も素晴らしくて、これも自然と涙が出てしまった。まだ聴きこんでいないので、きっとこれから、もっと詩の意味が沁みてくるのだと思う。

 歌は不思議だ。何度も繰り返し聴いていると、突然そのメッセージが心の奥に飛び込んでくることがあるから。

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