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2024年1月10日(水)『PERFECT DAYS』を観た

先週のことだけど、久しぶりに映画館で映画を観た。
役所広司さんの『PERFECT DAYS』だ。

役所さん演じる平山は、東京の公衆トイレを掃除する男性。
毎朝、日の昇る前から近所の人が道を掃く竹箒の音で目覚め、顔を洗い、髭を整え、アパートの前にある自動販売機で缶コーヒーを買って車に乗り、仕事へ行く。
車中で楽しむカセットテープの音楽。仕事終わりの銭湯。夜は読書をしながら眠りにつく。
週末に出かける小料理屋には、好きなママがいる。

ほとんどセリフはなく、独りの豊かさをずっと見せられる。
心がざわつく日も、過去に思いをはせて涙する日も、
それでも一日は終わり、次の日がやってくる。平山はそれを受け容れる。
日日是好日だな、と思う。

最後に流れる曲は、ニーナ・シモンの『Feeling Good』だ。
それを聴く平山の表情がものすごく雄弁で、たまらない気持ちになる。
後日、一体どんな歌詞だったのかと調べてみたら、また泣いた。

若い時に観ても、ちっともわからない映画だっただろう。
そして、私もまた何十年後かに観たならば、もっと感動するのだろう。

数少ないセリフの中に、こんな平山の言葉がある。

この世界は、ほんとはたくさんの世界がある。つながっているようにみえても、つながっていない世界がある。

これは、私にとっては救われる言葉だった。
平山はそんなふうに考えて、彼だけの日日是好日を過ごしているのだ。
誰にも押しつけることなく。

あとは、キユーピーのCMに出てくるコピーを思い出していた。

考えてみれば、人間も自然の一部なのだ。

キユーピーマヨネーズ/1972年/秋山晶さんのコピー

トイレ掃除で出会う公園のホームレスの男性(田中泯さんが演じている)も、平山と同じように、彼の世界を生きて、日日是好日を過ごしているように見えた。
ストーリーはほとんどない。平山の素性も語られない。
でも、すごく心に残っている。
観て良かったなぁ、本当に。
こんな陳腐な感想しか書けなくて情けないけれど、書き残しておきたかったのだ。

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