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短編小説作品集1

52
初期の短編小説集。物語の中の日常を伝えられますように。
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2020年11月の記事一覧

『ベッドを抜け出して。』

『ベッドを抜け出して。』

動の世界が寝静まって、
白い月と遠慮がちに輝く街空の星が、
ゆったりと世界を見守る。

暖かいベッドから抜け出し、
毛糸で編まれたカーディガンを羽織る。

素足で触れるフローリングは、
まるで他人のように冷たい。

コンビニで買った、冷やし忘れた赤ワインを
ただの透明なグラスに注ぎ、
台所に立ったまま、一口飲み込んだ。

ワインが喉元を通ると、
そこだけが熱くなった。

静かな真夜中。
全てが眠っ

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『モノクローム』

『モノクローム』

他人(ひと)に振り回されるとき、心の内はざわざわと音を立てる。
自分が他人を振り回してしまうときも、何だか落ち着かない。
どちらのときも、わたしの気持ちは波立ってしまう。

言葉の波が一気に押し寄せると、わたしの心は迷い、流されそうになる。
波に揉まれ、手足をばたつかせながら、何とかせねばと懸命に判断を急いでも、
答えはすぐには見つからず、波は一層激しくなるばかり。
少しで良いから、考える時間がほ

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