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【読書日記】高橋源一郎「だいたい夫が先に死ぬ」 読みたいものと読んでたものが次々出てくる

高橋源一郎というおいちゃんが、タモリさんや黒柳徹子のように、文学界にずっといてくれるような気がする。

はじめて名前を知ったのは文藝賞の審査員のひとりだったときで、ぼくはまだそれが「選評」とも意識しないで読んでいた。

忘れもしない。
山崎ナオコーラのデビュー作「人のセックスを笑うな」を大賞に選んだときのことで、中身を読む前にペンネームとタイトルだけでその素晴らしさに衝撃を受けて、しばらく読まずに題を眺めていたことを書いていた。

格闘家が、闘う前の見合った瞬間に勝ち負けが決まってしまうみたいなことが一般人の応募小説の世界で起こっていたのか。
その後も、高橋源一郎という人は優しい語り口で不思議な小説と、いろんな作品に感動した話ばかりしている。純文学も漫画もエロゲーもなんでも受け入れて、不倫やギャンブル中毒で破滅しかけながら、このエッセイ内でも滝沢カレンや樹木希林の文才を褒める。イカゲームに涙する。
芥川賞前の九段理恵を紹介する。
ガリベンガーVにも出演していたボディビルダーのバズーカ岡田に、三島由紀夫の肉体の感想を聞く。

高橋源一郎さんはもう70代なのに、高校生の息子が観ていた「異世界おじさん」のあまりの素晴らしさに声を上げて立ち上がって、その日に全巻ネットで注文。渥美清や伊丹十三に続く新しい「おじさん」だと絶賛する。

物語やキャラクターのあらゆるパターンを知っていて、出版界の裏も知り尽くしているはずなのに、いろんな作品を中学生のテンションで浴びれる人。

モブ・ノリオが内田裕也の小説を書いていたことも知った。

ザ・セカンドの感想で「東京ダイナマイトのハチミツ次郎の杖が内田裕也みたい」というのを最近見かけたばかりだった。

これかい!表紙見てもわかんねーよ!
デビュー作で芥川賞獲って沈黙していた作家の二作目が10年以上前に出てたかー。古本だしプレミアがついているけど、しょうがないなあ。

主人公がセガサターン好きだという異世界おじさんも、同じセガサターンマニアとして買わなきゃダメか?
正直設定聞くだけでお腹いっぱいなんだが、待ち構えていたようにkindleはセール中だった。



読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。