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タートルズの新しい映画、バキバキ童貞みたいだったな

「ミュータント・タートルズ ミュータントパニック」を観た私の中に熱いなにかがみなぎり、久しぶりに感想を書かずにはいられない!

タートルズはファミコン・スーファミ時代のゲームが妙に出来が良くて、ぼくの周りでは「ちゃんと知らないけど、人生の中でたまにひょこっと顔を出す奴ら」
しかしあの武器持ったカメたちの名前が何で、どういう性格かも知らない。その程度の知識で「ミュータントパニック」を観ました。いい絵だなあ、と思って。テレビではもっと綺麗だった。映画館ならもっと綺麗なはずだった。

全シーンがカラフルで、CGアニメの無機質なイメージなんてない。
超一流のアーティストが色鉛筆で殴り書きしたようなアニメに見とれていた。これが子供のころあったなら。

実験体のタートルズたちは、人から隠れてマンホールの下で生活していた。かつて好奇心から人間に接したとき、はっきり見た目で殺されかけた経験があったからだ。

四匹は、悪者を退治してヒーローになったところをSNSで拡散して、人間に受け入れてもらって高校に通うために活動する。

食料を盗むし、悪者サイドも人を殺してるし、助けてくれる高校生エイプリルも緊張すると緑のゲロを吐くし、「いい子」の感じじゃないのがいい。
戦闘術を教えるネズミの声がジャッキーチェンで、急に実写のカンフー映画が挟み込まれたり、ニンジャつながりか「NARUTO」、そして進撃の巨人が引用されたり、流れるのはヒップホップ。ごちゃまぜ。

そして予告編からわかる通り、ついに現れた悪の親玉もミュータントで、お互いに分かり合えてしまう。

国が違ってもあるあるだと思うけど、悪人だけど手下は可愛がるタイプの奴にちょっと気に入られそうなときって困るよね。
「いっしょに悪いことやろうぜ」
「いやです」
「お前、びびってんの?」
嫌だからやりたくないって答えたのに「びびってんのか」って聞いてくる、そういう恥ずかしい男子社会のやり取り困るよね。

悪者のボスにみんなで「俺ら、あんたと考えが違うからやーめた」って態度を変えられるのは凄くかっこいい。

不良のボスに万引きを命令されて断れなかったり、あいつを無視しろといじめっ子に言われて従った子供は、社会人になって残業やらされても、無理やり戦争に行かされても、上の人に「嫌だ」って言えない。

この映画を観た子供が大きくなるころには、「私それやりません」が言える空気になっててほしい。

アジトに虫と住んでるグループが動画ひとつをきっかけに人生変わる話って、バキバキ童貞みたいだなとも思った。

思ったあとで、このシェアハウスをミュータントの隠れ家に例えるのはあんまりだと思うけど、ぐんぴぃの裸体を観て思っちゃったんだからしょうがない。

タートルズのたった一人の協力者、エイプリルはひとつの失敗を拡散されていじめられている。
芸人の彼らもひとつの街頭インタビュー動画で拡散されてから人生が変わる。
そこで引っ込まず、何が受けるか考えて、どう見られるか考えて発信すれば、「からかう方がダサい」ターンにまで行ける。

でも、容姿が違うだけで余計な悩みができるつらさはしょうがない。
成功したところで殴った奴の謝罪もなく、恵まれたやつと同じスタートラインにやっと立てるだけ。
でも、何かしないと何もおきないまま。
下水道の隠れ家から、人生はたちまち豹変、とはいっても豹変したあとも苦労はついてまわる。仲間もついてまわる。

異例の大ヒット新書、待望の新作です。

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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。