見出し画像

PS4【ゲームレビュー】全て鉛筆で書かれたホラーアドベンチャー!おどろアルプス妖怪紀行「mundaun」

mundaun(ムンドーン)というゲームをクリア。
全て鉛筆で表現されたカナダのムンドーン村へ、おじいちゃんの葬儀のために帰ってくる。
これぞインディーズゲーム!粗削りだけど尖った魅力があった。

珍しい画材で表現されたゲームの系譜がある。
たとえば「大神」は筆のタッチで昔ばなしの世界観を表現している。
「ドローントゥデス」という授業中の子供の落書きがノートの中で戦うゲームがある。
紙の「ペーパーマリオ」とか、毛糸のヨッシーとか。油絵とか、アメコミ風とか。いろいろあるけど、ムンドーンは鉛筆でコツコツゲームを「書いた」姿が想像できるのがいい。
スタッフロールを見ると本当に少なくて、一人の人がずっと書いていたことがわかって、ある意味最後が一番の恐怖だった。

原作は「キッズの素敵な思い出」だったラクガキなのに、日本版で黒歴史ノートと解釈してしまったドローントゥデス。


画像4

墓参りに行ったさきで、主人公は夢か現実かわからない、燃えさかる祖父の家とその様子を描く画家を見る。
気が付いたら、焼け落ちた家とキャンバスだけが残されていた。
自分は幻覚を見たのだろうか。村を歩き回って祖父の家の焼けあとや、たくさんの絵が残されている屋敷を探索すると、終わったはずの戦争の幻を見たり、巨大ワラ人形のような妖怪に襲われたりする。

フル3Dの空間に、本当に鉛筆で書いた絵を貼り付けてゲーム世界を作っている。プレイヤーは鉛筆画の世界を歩いて、謎の画家にまつわる旅をする。プレイヤー自身も絵に閉じ込められたような不気味さ。
アルプスの山あいなのに、見上げても晴れ間がない。
「青」がないから、青空なんだろうけど見上げても常に曇りのようだ。

スクショを撮るだけで面白い。鉛筆画ワールドの中に飾ってある鉛筆画。

画像4

あたりをうろついている巨大ワラ人形みたいな妖怪は、造形がオリジナルと思えなくて、「カナダ 妖怪 民間伝承」とか検索したけどわからなかった。(ステルスで背後からピッチフォークで刺した)

ジャンルが「ホラー」のわりに怖くないし、戦闘が気持ちよくない。行くべき場所をとばしたら最後の最後でバグにあったり(オートセーブ履歴から過去に戻れたのでOK)ぶっちゃけ完成度を求めるならバイオハザード買ったほうがいい。
ゲームの面白さよりも、鉛筆画の世界を歩けるアート作品として評価してほしい。

画像2

「おじいちゃんの葬儀のために村に帰るゲーム」
小さなスケールの話は、最後までそのまま、巨悪と戦うこともなく、現地調達した武器は、ちゃんと元あった場所に戻して帰る。まるでお盆だ。
お盆のお墓参りのときには、墓石に水をかけるデカいひしゃくを元の場所に返すでしょ?
このゲームも軍人の幻影を撃ち殺すのに使ったショットガンを元あった場所に戻して帰る。
お盆ゲーだ。墓参りゲー。

画像3

スキー場のあるアルプスの山村なのに、水木しげる作品を連想するような、じめっとした土着の世界を味わう。

こういう変なゲームをやりたい人もいる。完成度の高いものより、他にない経験がしたいからゲームを買う、自分のような人間もいる。
サバイバルホラーでスリルを味わいたい人を満足させられるかは知らないけど、知らないじいさんを弔うへんなゲームをやりたいと思っている人なら他に選択肢はない。

この記事が参加している募集

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。