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「Hi-Fi RUSH」と「スペースチャンネル5」の共通点は、敵が人を操ろうとしてくるところ

Wi-Fiと何度も書き間違えた。Xboxで突然配信されたアクションゲーム、Hi-FI RUSHをクリアしました。

そのままCGアニメとして放送できそうなクオリティの世界で、医療ミスにより体内にiPodみたいなのを埋め込まれた主人公がリズムにあわせて敵を殴る!壁も壊す!

絵がにぎやか。全ステージ全場面がこの密度!全ての会話に意味のないものがない!
音ゲーの要素はあるけど、音楽に合わせることを強制されず、自分のペースで動きながらテンポ良くボタンを押せばコンボが繋がる。音楽に従わされるゲームじゃなくて音が戦いをサポートしてくれる感じ。
幅広い難易度設定に9ヵ国語対応。性的な会話などは脱臭していて多くの人に遊びやすくなっている。

男に媚びた甘ったるい相棒が嫌いでも大丈夫!

近年の死にゲー(特にSEKIRO)では、敵の攻撃にあわせてガードでしのいで、隙を見せたところで逆転みたいなパターンがある。
このゲームでは、敵が大技を打つ前に「たん、たんたたん」と、これからこういうリズムで攻撃しますよ、とガードのタイミングを警告してくれる。
SEKIROのレビューで、これはある意味リズムゲーだって言葉を見たけど、Hi-Fiラッシュでヨロイ武者ロボットの攻撃をしのぎながら、僕もカートゥーン調アニメの中からSEKIROの風を感じた。

操作で良かったのが、主人公はギターでぶん殴るかジャンプするぐらいで、遠距離攻撃ができないところ。
射撃やしかけを発動するときはRトリガーを押せば、仲間がシュタッとかけつけてセミオートで行動してくれる。

巨漢のマカロン。ふたりで、せーの!せーの!でタイミングをあわせて壁をぶち破る仲の良さ

自分で遠距離攻撃もするゲームにくらべ、操作の忙しさはさほど変わらないのに、できることが整理されて分かりやすい。次々と仲間が現れていっしょに戦う感じもいい。

終盤になると、音ゲーにありがちな「気持ち良さより、難解な譜面をかろうじて処理している感じ」にはなるものの、ゲーム全体がポジティブなバイヴスに包まれているので、こちらもゲームに対する礼儀として?難易度はそのままに、意地でクリアしてやろうかい、と最後はムキになってクリアした。
退屈させる「間」が最後までなかった。止まらない接待。全ての瞬間がスクショとして映える。オススメです。

ここからゲーム雑談👇

リズムにあわせてボタンを押す「音ゲー」はいっぱいあるけど、ただ譜面が出て、タイミングの正確さを競うものが多い。
見た目の可愛い「リズム天国」だって実はアドリブを許さないストイックなゲームだ。
「既存のジャンル×音ゲー」
のヒット作は、ありそうで意外とないんじゃない?
SEGAがかつて「リズム怪盗」とか「スペースチャンネル5」という超名作を手掛けてはいたんだけど10年は前だし。「マザー3」が音楽にあわせてボタンを押すと追加ダメージだったり、龍が如くのカラオケに力が入ってたり、ちょっとした音楽要素はあっても、
「主人公の腕がギター」ぐらい音楽がゲームテーマのど真ん中にいる、なのに完全に音ゲーじゃないゲームは珍しい気がする。

腕がギター! で、そうそう、書き忘れたけど主人公のチャイって腕がサイボーグ化してるのに深刻さがゼロ。
パートナーは義足のハッカー。絵的には重い障害をかかえたコンビだけど、そこで悩まない。カラッとしてる。

敵である会社は、従業員に休みを与えないうえに、サイボーグ化技術を利用して人をコントロールしようとしている。

譜面をなくした音ゲーといえば名作「スペースチャンネル5」をどうしたって連想した(プレイ動画貼ったからそれだけでも見て)のだけど、あれは人を無理やり踊らせる宇宙人とダンスで戦うゲーム。

HiFiRUSHの悪役企業は人を洗脳してコントロールしようとしている。
両方とも、敵のやる悪事が「人の動きをコントロールすること」なのがおもしろい。
なぜ敵の行動が似ているんだろう?偶然にしてはなんか重なる、この二作。

考えてみたんだけど、きっと、ダンスやロックの敵は「束縛」だからだ。
ダンスやロックで戦う人を主人公にした場合、相手がしてくることは世界征服とか大げさなものじゃなくて行動を強制すること。そういうのに反抗する武器がギター。

ギターを武器にしてぶん殴るキャラクターは他にもいるけれど、逆らえない場所から動きを強制してくるヤツに対抗手段と考えると、「武器がギター」である必然性がある気がした。破壊向けのハンマーや銃ではなく、ギターで戦うほうが筋が通って美しい気がした。


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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。