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エミュー肉の特徴とイワオ解体の全て


イワオが死んでもゆっくり悲しんでは居られなかった。朝は他の家畜の世話もある。
血抜きの都合上、イワオを早く解体しないといけなかったから、まだ体が温かいうちに首を飛ばす必要もあった。
エミューの首骨は思い切り斧を振り下ろしても一発では落とせない位に強靭だった。それも、本当に嫌だった。いくら死んでるとはいえ、大切で大好きだったイワオの首に二発も斧を振り下ろすなんて酷だ。
解体した場所の頭上には鷹の集団が集まり、その後カラスの集団も集まってきた。少しでも私がその場を離れたらその隙にイワオの一部を奪うつもりでいた。
通常、鶏をさばく時は羽を毟り易くするために、血抜きが済んだ後に湯に数十秒入れるけど、イワオの死は突然だったから、湯を用意する間もイワオの.体格に見合う湯を沸かす事も出来ずそのまま毟った。
羽は後日落ち着いてから、何か(アクセサリーやちょっとしたクッション作り)に活用しようと思い保管してある。
エミューのモモ肉はデカくて見た感じは羊肉に似ていると感じた。
※内臓(レバー・心臓)の画像がこの後出るから、そういうのはチョット見たくないという人は気を付けてね!



↓これが7ヶ月のエミューのモモ肉。どれくらいの大きさか分かりやすくするために鶏卵(市販のМサイズ卵くらいの大きさ)を置いた。エミューのモモ肉一本は通常の鶏二十羽分くらいの肉量かもっとあるかくらい。
※次にレバーと心臓画像でるよ!気を付けて!

レバーの色味は最高で、レバー状態でその鳥が健康だったかどうだかがわかる。イワオは凄く健康だった。心臓も良い状態で、あんな事が無ければ・・・・・・・と悔しくて号泣した。
私はレバーが食べられない。どうしても味がダメだ。心臓は鶏やカモの場合は生でワサビ醤油で食べるけど、エミューの心臓がどうなのかは知らないから、この写真を撮った後に少し切り取り生で食べてみた。限りなくレバーに近い味がしてダメだった。
ちなみに鶏・カモ・ガチョウ・七面鳥などの心臓は生だとハマチとかブリの刺身のような味がする。

レバーと心臓は、イワオを追って私にイワオの居る場所を教えてくれたテツ(犬)にあげることにした。
砂ぎもは細かくして鶏たちにあげ、足は皮の一部を剥いでイワオが生きた証として何かを作るつもりでいる。足も本当は全部皮を剥げばスープの出汁がとれるけど、皮がなかなか固く剥ぐのが大変だった。
皮からもイワオの匂いがする。匂いというのは本当に残酷だと思った。鮮明な記憶が甦るからだ。
下界で復活させた冷蔵庫はイワオの肉で満タンに.なり、私一人でそれを全部食べるなら来年の春くらいまでは持ちそうな量。
普段は鶏を月に二回食べられればいいほうで、鶏ゆえにその量は少なく、常に肉に対する欲があったけど、イワオの肉で埋め尽くされた冷凍庫をみても全く嬉しくないし「やった!肉がたくさん食べられる!」なんて心境にはならない。冷凍庫に入りきらない分を早く消費してしまわないと・・・という、変な焦りと使命感みたいなものはある。とりあえず入りきらなかった分はから揚げにして食べてはみたものの、いつもならそんな量はペロッといけるし、むしろ不足感さえあるのに食べきれなくて残した。でも無駄には出来ないから明日にでも食べる。
エミュー肉はカモともガチョウとも違う。鶏とは全く違う。
さばいた時に「羊肉みたいだ」と感じたけど、肉質も味も羊に.一番近い感じがした。
なんにせよ、さばきたての鳥というのは人の体を温めるという特徴があり、ほんの少しのイワオの.から揚げは一気に私の体温を上げ、冷えた足をぽかぽかに.してくれた。その温かさは寝汗をかくくらいのもので、どれだけ「食」.というのが人体に.影響を及ぼしているのかが良くわかる。
悲しみは消えない。もう.山奥に戻るのが怖くなってきた。かと言って、この下界の家にもイワオの気配は残っていて何処にいても悲しく辛い。
これを上手く乗り越えなければと思う。とにかく今は自給自足だの山小屋だの全部忘れて気持ちの整理をしたい。寝たい。休みたい。泣きたいだけ泣いていたい。





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