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【覚書】それぞれの音楽の楽しみ方

米津玄師のライブが終わり、母に感想を聞いたところ、
「あれね、会場全体を使ってコンサートするんやね。初めて見た。すごいね〜」
だそう。
照明が会場全体に当たったり、
スポットライトになったり紙吹雪が舞ったり、そういうことが
言いたいらしい。
お母さん、前、コンサート見たの誰よ?
「えっと、井上陽水が最後やったかな〜」
お母さん、井上陽水とか松山千春とかさだまさしと一緒にしたらあかんやろ。
なんか、違う気がする。

会場は、やはり大半が若い子で、
大音量の音楽に合わせて体を揺らしたり、
手を挙げたりしていたが、
意外にも母と同じぐらいの年代の人や、
子どもたちと同じぐらいの子たちもたくさんいて、
米津さんのファン層の厚さを改めて思う。

私はやはり「Lemon」を生で聴くと号泣してしまい、
隣の人には怖かったのではと思うのだが、
後でそれを母に言うと、
「え?なんで泣くん?」と真顔で言われた。
え、だって亡くなった人を想う歌やん、と答えると
「ああ。」とのこと。
お母さん?ああ、て。


母は、野田洋次郎さんと歌ってる「PLACEBO」が好きで
楽しみにしていたとのこと。
「でも、歌わなかったね〜」と母。
いえ、歌いましたよ?お母さん?

父を亡くして、元気のないだろう母を元気づけたい一心で
申し込んだ米津玄師ライブ。
母はもちろん喜んでくれたが、いちいち母の返答がスッとボケている。
思えば、母ってそんな感じ。

我々の座席はファミリー席で、ファミリー席では
立って鑑賞することは禁止されていた。
それを事前に伝えると
「どんな感じかなと思ってYouTube見てたんやけど、
みんな立ってて、2時間ずっと立ってるのしんどいなーと
思ってたから、安心した!」とのこと。

そうね。そうね。ご老体には確かに2時間ずっと立ってるのは
しんどいっすね。

「(息子)くんとか、もう恥ずかしくて手拍子とかせんかなと
思ってたけど、ずっと手拍子してて偉かったね。」と母。
そう、息子は真面目であるため、みんなが手拍子していると
ずっと手拍子をするのだ。恥ずかしいとかそういうのじゃない。
息子曰く
「なんかさ、おこがましいけど、歌が俺らの手拍子によって
完成するって感じがしてさ、
なんか、いいよね。」とのこと。
おお、なんかライブって感じの感想言うてるやん。
なんなら娘は「ピースサイン」に合わせて
手を挙げたかったようであるが、私が恥ずかしくて
そうしないため、不満そうであった。

そう、私は音楽に合わせて体を揺らすとか
苦手なのだ。
なんせ、運動音痴そして音痴なので、揺らしたくても
音楽に合ってない気がする。
なんなら裏拍子になると、微妙に人とずれてしまうので、
あれも出来ない。
そんな私がライブなんぞ行ってすみません、と思っていたのだが、
米津さんが途中こんなことを仰っていた。

「それぞれの楽しみ方でいいんです。」
座ったままでもいいし、声を出さなくても、手を上げなくてもいい。
一体感とか気にしなくていい。それぞれの楽しみ方でいい。
(私なりの解釈)
567で、皆さん声を出さない、というルールのもと楽しまなくちゃ
いけないという中でのお話でしたが、
私にはこの言葉が大変嬉しく、ますます米津さんのファンになった。

アリーナ席の皆さん総立ちで、ノリノリで
楽しんでらっしゃって、私、あの席じゃなくてよかったーと
母じゃなく、私も思っていた。
立つのは別にいいんだけど、
合わせられなくて。
その言葉に、純粋に音楽を楽しめた。
私なりの楽しみ方で。

息子が「なんかFILMREDみたいやったー」と言ったのだが、
それはきっと、ストーリー仕立てになっていた演出のことかな、と。

「また行きたいねー」と言うと、
息子に
「そんなにしょっちゅう全員分、当たるもんじゃないよ」と
諭されてしまったが、
まあ、いいじゃん。チャレンジしようよ。
あなたたちが一生懸命、手拍子したり拍手してる姿が
愛しくて仕方なかったのよ。私は。


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