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文化祭 企画前にて 食べるそば 秋はすぐそこ 準備急げ

 文化祭を今年はどうすべきか、と頭をひねらせているのは男子高校生の藤沢。二学期が始まった早々そんな様子で頭をひねらせた。
「え、秋の文化祭?ちょっと気が早いわ。まだこんなに暑いのに」と同じクラスの女子、別井が不思議そうに話しかけてきた。
「そんなことない。僕の住んでいる河内長野の三日市町ではもう秋祭りのだんじりの準備が始まっているんだ」と、力説する藤沢。

 藤沢の力説に別井は少し引き気味。「藤沢君、そんなに、力んだら余計暑いわ。そうだ、今日から新しくオープンしたお蕎麦屋さんが富田林にあるの。今度の日曜日に行ってみない」と誘われる。
 藤沢にとって別井は、別に付き合っているわけではない友達に過ぎないが、別井の誘いは藤沢にとってはとてもうれしい。すぐに了承した。

 日曜日のお昼、富田林西口駅で待ち合わせたふたり、「郵便局の前にあるの」と、別井に案内される藤沢、今日は天気が良いが9月とはいえ暑い。駅から歩くこと5分ほどで到着した。「ずいぶん高そうな店だな」「うん、そうだけど、地元の友達の知り合いの店だからいいでしょう」

 こうして階段を上がり建物の二階の店に入る。「そばかあ、おお!」藤沢は驚いた。本格的な手打ちそばのお店、普段藤沢がお昼で使う料金とは明らかに違う。「これは!でも。せっかくの別井の誘いだし」藤沢は夏休みのバイトでためたお金で、やりくりすることにした。

 注文してほどなくしてから登場した十割そば、藤沢がさっそくすする。「違う、こんなおいしいそばがあるなんて」料金に見合うだけの味があった。普段スーパーやコンビニで買うようなそばとは全然違う。

「藤沢君が、喜んでくれてよかった。そばを食べてから文化祭のこと、一緒に考えるわ」そういうと、にこやかにそばを食べる別井。髪をかき上げながらそばをすするしぐさが可愛らしい。藤沢はその表情を嬉しそうに眺めながら頭の中で短歌が浮かんだ。

文化祭 企画前にて 食べるそば 秋はすぐそこ 準備急げ
(ぶんかさい きかくまえにて たべるそば あきはすぐそこ じゅんびいそげ)

今日は、こちら小牧幸助さんのシロクマ文芸部という企画に参加しました。

こちらの本日の記事、富田林甲田にて手打ちそばうら田がオープンした話題をモチーフに創作しています。

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