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雪化粧 降りた下界で ハンバーグ 昭和名残 アーケード見て

「雪化粧、やっぱり頂上はすごいな」下界に降りてきて今登った山を見つめて一言つぶやいた。朝早くからの冬山登山。この地域では最も高い山だが、標高は1200メートルにも満たない。それに毎日に登山を試みる人が多い場所で、登山道も驚くほど整備されているような山だ。だから少し舐めていた。本来なら足元にはアイゼンのようなすべり止めを用意するべきだったのに、そんなものなしで山を登ったのだから。

「あんなに滑るとは、下界と山頂では別世界だ」雪が舞う山の中で、何度滑りかけたのだろう。それでもトレッキングポールを両手に持っていたことが幸いしたのか、どうにかだましだましの登山となった。山頂付近は雪国のように雪が積もる中を歩く。そしてどうにか怪我もなく下山した。

登山口付近もそうだったが、バスに乗って戻ってきた鉄道駅の駅前に来るとそんな雪景色がうそのように雪の「ゆ」の字もない。もちろん1月の冬空なので風が吹けば寒いのだが、空を見上げても晴れ間があり、多少雲が見えかけれしているだけだ。それでも今登って来た山を見ると頂上付近に、雪化粧の名にふさわしい、白いものが見える。

「予定より2時間もかかってしまったな」午前中の登山と思っていたからお昼前には戻る予定であった。だがそんなことで時計を見ると、もう午後2時前になっている。

無事に下界に降りてきたので安心したのか、胃のあたりから音が鳴り出した。「何も食べてないもんな」というわけで、鉄道に乗る前に遅いランチを食べてから帰ることにした。

「懐かしい雰囲気だなぁ」駅前には昭和の香りがするアーケードの商店街がある。歩いていると、開店記念の花が並んでいるところを見つけた。

「ここは3時までランチがあるのか、入ってみよう」こうして入ったお店の名物はハンバーグのようである。既にお昼のピークタイムが終わったからだろう。お客さんの姿はあったが、みんなドリンクやケーキを食べている人が中心のようだ。

「ここはハンバーグだな」と思ったので、ハンバーグの定食を注文した。そして登場した定食のハンバーグは、まるでデミグラスソースのプールに入っているかのような、たっぷりとソースがかかったもの。ソースとの相性も見事で確かにおいしい。あっという間に箸が進む。このとき朝から登った雪山の苦闘がうそのように至福の時を迎えた。

そんな温かい食事をしている最中に、短歌が頭に浮かんでくる。心の中で呟いてみた。

雪化粧 降りた下界で ハンバーグ 昭和名残 アーケード見て
(ゆきげしょう おりたげかいで はんばーぐ しょうわなごり あーけーどみて)

今日は、こちら小牧幸助さんのシロクマ文芸部という企画に参加しました。

こちらの本日の記事、「河内長野長野商店街で新しくプレオープンしたカフェのハンバーグ」という内容を参考にしました。

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