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布団から でれた勇気で 初不動 新たな移動 体ぬくもり

布団から出る。勇気がいる冬の休日。このまま布団にこもれば至福の時が続く。休日なのだからそのまま寝ても良いだろう。二度寝ほど気持ちの良いものはない。だが、できなかった。休日を布団の中で過ごすこととは、その日を溶かすという行為だ。
それをしたら、夕方の国民的なアニメ番組が始まる頃に、強烈な後悔と翌日からの陰湿で重い空気の朝が続く一週間が待っているのだから。

「もったいない、起きて散歩しよう」気合を入れる布団を背中に乗せたまま四つん這いになる。そこでもう一度前かがみに最後の布団のぬくもりをじっくりと味わう。そして、ついに布団からでる。瞬時に悪魔がささやく。
「暖かいのに寒いところに出るのか」と。だが、天使が助け舟を出したのか?急に尿意が襲ってきた。「トイレに行こう!」その瞬間ついに布団から出たのだ。

当然ながら前進に寒さが襲ってきた。だが尿意がそれを上回る。トイレに駆け込み用を済ませると、そのまま服を着た。この休日は布団で溶かすことなく午前中に起きられたのだ。

カレンダーを見ると28日とある。初不動であった。よくわからないが不動明王が好きである。相手を睨みつける不動明王の像を見ると、何かこちらも力が湧く気していた。そういう意味では仁王・金剛力士像も好きなのだ。不動明王の縁日と知れば、もう行くところは決まっている。そう、不動明王を祀っている寺院だ。

不動明王の縁日にはかつて専用のバスがあった。だがそれは昨年で廃止となってしまう。タクシーを使うか別の駅から歩くしかないと思われていた。「いや、このバス停までのバスに乗れば」わかっている。不動明王が大好きなものにとっては、一般的な方法以外にも効率よく寺院に行く方法くらい。

こうして不動明王を祀る寺院に到着した。いつもなら入口までくるバスが無くなったが、手前のバス停で降りること徒歩15分程度。それでも一般的な駅から行く方法よりも早いし、上り坂を歩く必要もない。
むしろ15分歩いた分、体が温まった気がした。思わず自分の足を見る。あの時の尿意に感謝した。あの尿意があったから布団に出られて有意義な休日、不動明王の前に来れたのだから。

不動明王を参拝後、縁日に出ている屋台を眺める。ちょうど赤飯が蒸しあがったようで、冬の寒さに反応するように周りに湯気を拡散せていた。そのときふと朝の布団での格闘を思い出す。思い出しながら短歌が頭に浮かんだ。

布団から でれた勇気で 初不動 新たな移動 体ぬくもり
(ふとんから でれたゆうきで はつふどう あらたないどう からだぬくもり)

今日は、こちら小牧幸助さんのシロクマ文芸部という企画に参加しました。

こちらの本日の記事、「滝畑不動の縁日で新しい移動方法」という内容を参考にしました。

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