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公園を 助手席見 異世界と 確かめ行って 転生カッパ

「ここには異世界があるかも」ついつい私が口走ったのを運転している後輩が、一瞬私に軽蔑の目を差し向けた。これは数日前に取引先の工場からの帰り道のこと。

後輩が運転する車の助手席から見えた墓地と公園がとても気になった。「場所は、うん」私は異世界などオカルト的な話が大好きである。だから後日その場所に行きたくなったので場所をチェックした。

そしてある休みの日、歩いてその場所に来てみる。墓の後ろに緑に覆われた公園があった。そこはもしかしたら昔、寺か神社があったような気がするのだ。
「異世界の手がかりになるものがあれば」と公園内に行くが、歩けばどこにでもある公園であった。車窓で異世界の入り口のように見えただけであったのだ。

とその時、墓の近くに何か影が見える。「青い体?」私はもしかして異世界から転生した存在ではと思った。「近づいていいかな」私は本当に異世界の存在だったらどうしようと思いつつ近づく。

「異世界から来たなら戸惑っているに違いない。救いの手を差し伸べなければ」と私は勇気を絞って近づいていった。大きな体と小さな体ということは親子かと思ってさらに近づく。「か、カッパ!」私はカッパが異世界から転生したのかと一瞬驚きの鳥肌が立ったが、すぐにそれは公園の設備だと知る。

「な、わけないわね」私は異世界から転生した存在とファーストコンタクトという幻想に自分で笑った。「な、何?」私は突然近くで何か不思議な奇声のようなものが聞こえて少し慌てる。それは目の前の河童ではなく、この前運転していた後輩だ。「やっぱり、先輩がここにきていると思いました。ハッハハハ!」と笑っている。

私は少しむかついたが、ふと短歌が頭に浮かんだので怒りはすぐに収まった。

公園を 助手席見 異世界と 確かめ行って 転生カッパ
(こうえんを じょしゅせきみ いせかいと たしかめいって てんせいかっぱ)

今回は趣向を変えて、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。(お題:助手席の異世界転生)

今日はこちらの記事「若松町1号児童公園に隣接する寺の名残のような墓地」をモチーフにしています。

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