オラオラと 叫ぶ手の上 ガチャのもの 高級肉 ちとうらやまし
「オラオラ！」ここは富田林駅近くの交差点。遠くからひとりの男が叫んでいる。ストレスが溜まっているのか大語で出叫んでいるのだ。
僕はやばいやつだと思い、とっさに逃げようとしたが、もう手遅れだ。男は僕のＴシャツを触りながら「オラオラ」と叫んでいる。最初僕は怖かった。殴られたり蹴られたりするのかと。だがオラオラ男はそれ以上何もしない。どうやらこの男は盲目のようでそれで、僕のＴシャツを触ったようだ。
男は今度は「ガチャガチャ」といった。「ガチャがしたいのか、僕が振り返ると、ガチャがあったが、なんと肉のガチャという」「これがしたいのか」僕は男にガチャの前に連れていき、このガチャは2千円で高級な肉が手に入ると説明した。
男は喜ぶとポケットから財布を取り出した。盲目なのにもう体で覚えているようだ。そのまま男は2千円をガチャに入れてガチャを行うと肉が出てきた。「これ」僕が手渡すと男は一礼し、もう一度僕のＴシャツを渡すとまた「オラオラ！」と叫んで立ち去った。
あっけにとられた僕は短歌をつぶやいた。
オラオラと 叫ぶ手の上 ガチャのもの 高級肉 ちとうらやまし
（おらおらと さけぶてのうえ がちゃのもの こうきゅうにく ちとうらやまし）
今回は趣向を変えて、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。（お題：オラオラするＴシャツ手触り）
そしてテーマは本日投稿した記事「和王ガチャ」をモチーフにしています。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/1c40da5230bade66e2c922815b19ce79b956708a
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