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冬至前 スマホ滑らせ 白骨化 ケースに慣れて 元を忘れる

探検が好きな人は、山の上にある住宅地の端のほうに来ていた。手にはスマホを持っていて地図を確認している。
「薄暗いな」地図上ではこの下に昔からの集落があるらしい。集落といっても路線バスが走っているので、そこに行けば駅に帰られる。

だがそこまでの道が本当にあるのか気になった。住宅地から降りる階段はあったが、木に覆われているためか、少し鬱蒼として少し不安になる。冬至が近いこの時期では暗くなるのも早いのだ。

「不気味だなあ」と、ひとりで階段を下りていく。手にはスマホを持ったまま。地図で示す道を確認しながら下に降りる。その時だ、突然大きなカラスの鳴き声がしたかと思えば、近くに大きなカラス数羽が現れて、勢いよく一斉に飛び立っていく。恐怖のあまり全身に鳥肌が立つ。

「あ!」思わず手にしていたスマホを落とした。直後に大きな音が響く。「あ、やったか」スマホの液晶ガラスをやってしまったと後悔がはしる。ところが意外にもスマホのガラス面が空に向いたまま落ちたので液晶は助かっていたのだ。

「き、奇跡だ」と思って拾い上げると?また鳥肌が立つ。黒いはずのスマホが白くなっているではないか。白いスマホに「白骨化?」と一瞬感じた。だがすぐに思い出す。
実はスマホに黒いケースをつけていて、落下でケースが破損したのだ。そして本来の色であった白いボディのスマホを「白骨化」したと思っただけであった。

「そういうことか」落下して破損したケースを拾い上げながらふと短歌をつぶやいた。

 冬至前 スマホ滑らせ 白骨化 ケースに慣れて 元を忘れる
(とうじまえ すまほすべらせ はっこつか けーすになれて もとをわすれる)

今回は趣向を変えて、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。(お題:白骨化スマホ

今日はこちらの記事「北青葉台から加賀田へ降りる道」をモチーフにしています。

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