シェア
とし総子
2023年11月25日 21:00
君が好きになったものは、全部覚えているんだ。それは菫色の雲の棚引く時間。君が好きになった背の高い男の子は、眼鏡が似合っていて、焦げ茶色のベストをよく着ていた。あの公園のベンチは座る部分が木製で、雨が降るたびに弱くなっていくような時期があった。そんなベンチに座って、男の子は文庫本を広げていた。革のブックカバーは使い込まれていて、小さな金色のアルファベットが二つ、くっつけられていた。傾いた日がそ
2023年11月10日 20:06
私が孤独だったとか私が苦労を呑んできたとか私が憐れな日々を抱いていたとかたとえ私が綴った日記にだって言われたくはない私を呼ばわれるものは私を総じることができるものは生きても死んでも私だけだ
2023年11月8日 19:49
孤独は 骨その枝々に繁るいつまでも若葉のままの自由余り気味の羽は肩を凝らせる