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2023年11月の記事一覧

「いつか君が恋をして」(ちいさなお話)

「いつか君が恋をして」(ちいさなお話)

 君が好きになったものは、全部覚えているんだ。

それは菫色の雲の棚引く時間。君が好きになった背の高い男の子は、眼鏡が似合っていて、焦げ茶色のベストをよく着ていた。あの公園のベンチは座る部分が木製で、雨が降るたびに弱くなっていくような時期があった。そんなベンチに座って、男の子は文庫本を広げていた。革のブックカバーは使い込まれていて、小さな金色のアルファベットが二つ、くっつけられていた。傾いた日がそ

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「私が綴ったというくらいで」(詩)

「私が綴ったというくらいで」(詩)

私が孤独だったとか
私が苦労を呑んできたとか
私が憐れな日々を抱いていたとか
たとえ私が綴った日記にだって
言われたくはない
私を呼ばわれるものは
私を総じることができるものは
生きても死んでも私だけだ

「骨と羽」(詩)

「骨と羽」(詩)

孤独は 骨
その枝々に繁る
いつまでも若葉のままの自由
余り気味の羽は
肩を凝らせる