見出し画像

ネオ☆青果店について考えてみる

ある晴れた秋の日の午後に、私はいつものコーヒーショップのテラス席から街のフルーツ屋眺めていた。

画像2

そういえば、フルーツ屋をはじめとした青果店と呼ばれる商売は、人類の文明の中で誕生してからというもの、その営業形態を大幅に変更したことが全世界的に見てもほぼない。

青果店の普遍的な営業形態

・大抵の商品は市場或いは農家から仕入れている

・販売者は商品である野菜や果物を店頭に直接陳列(そして客は陳列されているものをそのまま購入する)

・その商品に対する情報:商品名、値段そして産地(ブランド)の表記

・大抵の場合店頭での売買は現金のみでやりとりがされる

画像3

青果店がこういった営業形態を長い歴史の上で普遍的に行っているのにはもちろん、最もな理由がある。

" ナマモノ "ということは、つまり“ 個体ごとの差のあるもの”である。人々はそれを購入するためには一つ一つを目視し、触感したりして自分の求めている個体を探し当てるわけである。

同じ「山梨県のシャインマスカット」でも、その一つ一つを並べ客に選ばせる必要が不可欠なのだ。

青果店はこの営業形態がベスト・オブ・ベストというわけだ。そんなこと十分承知している。中には、" 昔から変わらない風景 "に安心感を抱き、それが人々の購買意欲に繋がっているという場合もあるだろう。

しかし、ここで私は暇である。

ただコーヒーを飲みながら、フルーツ店を眺めている退屈な市民である。退屈な市民は暇つぶしに、“この時代の青果店 ”なるものに妄想を膨らませることにした。

人々が手元の機械一つで、ほとんど全世界の人々とコミュニケーションが可能であったり、今目の前を通り過ぎた人物の名前や出身校が確認できてしまうようなこの時代の。

画像4

“ この時代の青果店 ”の目的

・暇つぶし。脳の準備運動がてら。

以上である。この記事はクラウドファウンディングへの導入や、起業への思いみたいなものとは一切無関係で、1人の暇な市民の戯言にすぎない。

では“ この時代の青果店 "あらため、

ネオ☆青果店の提案

まず、大前提としてはacureのイノベーション自販機を思い浮かべて欲しい↓

画像2

この提案の中で、青果たちは街中に設置されたイノベーション自販機によって販売されることを大前提とする。以降、イノベーション青果店としての新規事業を立ち上げたという程で話を進めていこう。

電子パネル上に表示された青果たちは、その種類ごとに並んでおり、目的の種類をタップすると、在庫にある個体別データがそれぞれ表示され、消費者は従来通り一つ一つの商品を確認して選択し、購入できるシステムをとる。

例を出すと、

第一段階:「シャインマスカット」「梨」「白桃」といった種類別のボタンの表示されていて、どれか一つ、例として「シャインマスカット」をタップする

第二段階:在庫上の「シャインマスカット」全ての個体一つ一つの重さ・サイズ・熟成度合い等のデータが写真と共に、グラフなどによって表示される

第三段階:めぼしい個体をタップする

第四段階:購入(クレジット、電子マネーでの決済が可能)

以上がネオ☆青果店の全貌だ。

また、この青果店が定着していった暁には、上記の第一段階での表示を、<本日の献立から>や<その時の気分や体調から>といったカテゴリーから検索し、青果のレコメンドを取得できるといったシステムを組めば、青果を購入するということに馴染みが薄めな消費者へもアプローチが可能なはずである。

例えば赤ワインを購入して、そのおつまみが欲しい夜のネオ☆青果店利用方法は

第一段階:「カプレーゼ」「マリネ」「グラタン」などが種類別に表示されている。仮に「カプレーゼ」とする。

第二段階:「カプレーゼ」向きの青果、トマトやバジル、キウイやイチジクなどが表示される。仮にトマトをタップ。

第三段階:在庫のトマト各個体ごとの〜

の流れである。料理初心者にも優しいというわけだ。(しかし、このようなものが導入される世となったら、それはほとんどの人々は自分で料理するという行為そのものを選択しない世の中になっているだろう、ということを意味する。)

或いは、デイバス上で自身の身体的なデータを記録しているタイプの人々は、そのデイバスから健康データをネオ☆青果店に飛ばし、本人の体調や不足している栄養素から青果をレコメンドされても良いわけだ。(プライバシー側面で言うとだいぶ危険)

また、生産者へ直接「おいしかったです」などのメッセージが送信できるシステムがあっても良い(ただし、クレームなどのリスクもある)し、購入した青果を配送したい時はこのイノベーション自販機上で手続き可能にするとファビュラスだ。

一見、これ以上やりようがないかもしれないようなモノも、実は様々な可能性を含んでいると思うと世界はかなり楽しいものである。

提案したようなネオ☆青果店の最終目標としては

・新しい側面を含む青果店の後継者の取得

・農業の活性化、生産者との関係性の良好化

・青果と消費者の親密度向上

そもそも、ネオ☆青果店は、現在まで続いている青果店と全く新しいものを作るのではなく、今ある青果店を含んだ新しい事業モデルを組むべきである。つまるところ、青果店は例えネオになったとしても、従来通り商品の管理と個体の状態把握の徹底といった業務内容が確定されるので、小売店の存続の危険性は極めて低い。

これを踏まえた上で、考えうるデメリットは、

・実物が陳列されている状態に比べて、消費者の手間が増える

・(データ管理やプログラミングなどに)多くの要員が必要

などが考えられる。


と、ここまで書いたところで我にかえる。

テクノロジー面で成長していく一方、現代の人々は自分の生まれる前の文化のものを新鮮がり、求め、肉体的、人為的なものを好む傾向にもある。

その中で最も強力なポジションを確立しているのはもしかしたら青果店なのかもしれない。

現在まで続く青果店の営業形態は、どんな地域であれ変化することなく、人々に安心と栄養を提供しているのではないだろうか。

結局のところ、人類は近年に入って進化するよりもよりも、原始化しているのではないだろうかとさえ感じる。つまるところ、私のネオ☆青果店が支持されるようなことは当面の間、起き得ないであろう。

そんなこんなで私の暇つぶしもこれにて終了である。

画像5


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?