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バングラデシュ ~シュンドルボン 世界最大のマングローブ林~ | ミュージック・ジャーニーvol.84

皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。

今回は、ベンガル湾を望むインド半島の東に位置するバングラデシュ人民共和国へ、駐日バングラデシュ人民共和国大使館の皆様とともにご案内いたします。

バングラデシュの旅のしおり
・シュンドルボンでチャーター船クルーズを楽しもう
・活気あふれるダッカの街を「ダッカメトロ」で回ろう
・現代に生きる民族音楽「バウル」のメロディを聴いてみよう

バングラデシュはインド亜大陸のベンガル地方に位置し、ガンジス川下流の肥沃な土地に恵まれ、古くからインド文明圏の一部として発展してきました。「ベンガル人の国」を意味する国名の通り、バングラデシュはベンガル地方の文化が色濃く残る地域です。

インド洋に面したベンガル湾と無数の河川が交差する国土を持つバングラデシュは、自然豊かな水と緑の国です。まずは、バングラデシュが誇る雄大な自然風景に触れてみましょう。

世界最大の天然マングローブとビーチリゾート

世界最大の天然マングローブ シュンドルボン

「シュンドルボン」は世界最大のマングローブ林で、その並外れた植生と多様な生態系バランスによって世界遺産に登録されています。シュンドルボン内にはシュンドルボン国立公園、シュンドルボン西・南・東野生生物保護区という4つの保護区があり、いずれも世界遺産に登録されています。総面積は約1万平方kmに及び、そのうちバングラデシュのクルナ県には6,017 平方km以上、インドの西ベンガル州には4,260平方kmの森林が広がっています。

力強く根を張る木々が広大な森林を作り出し、240種類以上の多様な生物を包み込む様子は、まさに“生命のゆりかご”と表現できます。森を縫うように進むチャーター船クルーズは、そんな大自然の生命力を存分に味わえる人気のアクティビティです。

世界最長のビーチ コックスバザール

南部の海沿いにある「コックスバザール」は、全長125kmにわたって天然の砂浜が続く世界最長のビーチです。ベンガル湾を西に望む砂浜からは、沈みゆく夕陽を真正面で見られるのが魅力であり、国民にとって特別な地となっています。

人々の暮らしと国民性

バングラデシュには、およそ1億7,000万人もの人々が暮らしており、世界的にも人口密度の高い国として知られています。なかでも若い世代の人口がとても多く、就労人口の増加が経済成長への大きなエネルギーを生み出しています。

バングラデシュの経済状況

ベンガル湾に面し、南アジアと東南アジアの間に位置するバングラデシュは、地政学的に見ても重要な拠点です。インド太平洋地域がめざましい経済発展を遂げている現状を踏まえると、バングラデシュは貿易、投資、観光において、各国・地域を結ぶ貴重な機会に恵まれているといえます。

国立博物館「アーシャンモンジール(ピンクパレス)」

現在、日本はこうしたバングラデシュのポテンシャルに着目し、大規模な国際協力の軸として「ベンガル湾産業成長ベルト(BIG-B)構想」を打ち出しています。これは、バングラデシュが国境を越えて地域経済と物流の中心軸となり、南アジア・東南アジアの地域統合を促す窓口としての役割を果たすことを目指した取り組みです。

具体的には、高度なインフラの整備、投資環境と経済活動の強化、交通アクセスの改善によるダッカ、チッタゴン、コックスバザール地域とその周辺における産業の促進を目指します。日本の優れた技術と経験の活用によって、やがてはBIG-Bが日本とバングラデシュの両国に利益と繁栄をもたらすと期待されています。

ガンジス川にかかるバングラデシュ最長の橋「パドマ橋」

2023年9月1日には、ビーマン・バングラデシュ航空によるダッカと東京の直行便が復活しました。さらに、ビーマン航空の日本直行便とダッカのシャージャラル国際空港の第3ターミナルも完成し、コックスバザール空港も国際空港としての開発が進んでいます。こうした空路の進化は、両国の貿易、観光、文化交流に新たな好機を生み出すことになるでしょう。

活気あふれる首都 ダッカ

首都ダッカを中心に、人々が営む暮らしの様子にも触れてみましょう。現在のバングラデシュは急速な経済成長期にあり、発展する都市部の恩恵が地方まで行き渡るのには、もう少し時間を要すると考えられます。こうした背景もあり、バングラデシュの人々は、「働いて家族を養う」という気持ちが強い傾向にあります。

ダッカは世界でもっとも人口密度が高い都市の一つで、政治経済・文化・教育の中心地として栄えています。日本の人力車からヒントを得た「リキシャ」に乗り、広場やマーケットを巡れば、活気に満ちた人々の姿に前向きなエネルギーをもらえます。

一方、多くの人口を抱える都市でありながら、公共交通機関が発展せず、日常的に発生する渋滞が深刻な課題でもありました。そうした問題を解消する取り組みとして、日本の資金・技術協力によって完成したのが、2022年に開業したバングラデシュ初の都市高速鉄道「ダッカメトロ」です。

2030年までにさらに多くの路線建設が計画されており、日本の鉄道技術をベースにした交通網は、急速な経済発展を支える重要なインフラとして期待されています。

“幻の布”ダッカ・モスリンとジャムダニ織り

「ダッカ・モスリン」は、世界トップクラスの品質と繊細さ、職人技を誇る手紡ぎの布です。職人が生み出す超極細糸は、機械化した現代でも再現不可能な技術とされていますが、産業革命によって20世紀には途絶えてしまいました。

そんなダッカ・モスリンの品質を追求し、現在でも守り続けられているのが「ジャムダニ織り」です。極薄の綿織物に花模様を表すのが特徴であり、薄さのあまりに花が空中に散っているように見えるほどの繊細な質感を保ちます。

これらの技術は「ジャムダニ織りの伝統美術」として、2013年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。また、2016年には、ジャムダニ織りの地理的表示(GI)も取得しました。

急速に進化する音楽文化

バングラデシュではスマートフォンの普及により、現在進行形で音楽文化が発展しています。若者層では幅広い音楽ジャンルが好まれる一方で、「現代的なベンガル音楽」(伝統的なベンガルの音楽要素に近代文化を融合させたもの)も全世代で愛されています。若い音楽家たちは、伝統楽器と現代の楽器・技術を用いて、ベンガルの伝統的な歌と現代音楽を見事に融合させています。

このように、現代にも伝統音楽が息づいているのが、バングラデシュの音楽文化の特徴です。代表的な音楽としては、吟遊詩人によって古来より歌われてきた「バウル」があげられます。

現在でもプロの歌い手によって披露されることもあるなど、フォークソングとして親しまれています。バウルでは伝統的に一弦琴の「エクタラ」が用いられ、メロディを支える基底音を奏でます。

また、「ラロン」や「バティアリ」などの伝統音楽も、数百年にわたってバングラデシュの音楽文化を醸成させてきた要素です。

バングラデシュにはほかにもさまざまな弦楽器が存在しており、民音音楽博物館には以下の楽器が所蔵されています。

ギンブリ : 小さな素焼きの陶器でできた胴を持つ1弦の弓奏楽器
サリンダ : 木をくり抜いた胴に皮を張った3弦の弓奏楽器

また、民音では1981年にバングラデシュの著名な舞踊家や音楽家で構成された「バングラデシュ国立歌舞団」を招聘しています。インド亜大陸の古典舞踊「マニプリ」や“川の国”バングラデシュで生きる漁師たちの希望や悲しみを描写した「漁師の踊り」、活気と情熱的な歓喜を表現した「ジャンカール」などの舞踊が披露されました。

最後に、駐日バングラデシュ人民共和国大使館が推薦する音楽家の演奏をお楽しみください。

1.Milon hobe koto dine-Farida Parveen

2.Aage ki shundor din kataitam

歌手:Kuddus Boiaty
作詞作曲:Baul Shah Abdul Karim

3.Naya Daman-Muza

4.Dhono Dhanno Pushpe vora

作詞作曲:Dwijendralal Roy
歌唱: Chorus

5.Purbo Digonte Shurjo Utheche

作詞:Govinda Halder
作曲:Samar Das
歌手:Kishor, Liza, Muhin, Apu, Shorolipi, Nandita

皆さん、バングラデシュへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供:駐日バングラデシュ人民共和国大使館

Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-

ご案内

この記事は英文での提供もしています。
https://www.min-on.org/15904/min-on-music-journey-no-84-bangladesh/

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