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『罪と罰』と過ごした日々 #1

ドストエフスキーの『罪と罰』を一ヶ月かけて読んだ。
感想をまとめようと思ったが、気になる要素が多すぎて、一度に文章にするのは容易ではない。よって、日記として書いていたものを掲載することを決めた。
一応、日記の背景として。
2.12に台湾に渡り、2.26の朝まで子どもと防疫ホテルに隔離中。一歩もホテルの部屋から出られない状況下で書いている日記である。


2月22日 火曜日 13:00
ドストエフスキーの『罪と罰』を読み始めた。初めてのロシア文学。名前をきちんと把握できるか不安。
新潮社の工藤訳で、主人公はラスコーリニコフ。
彼が美青年でびっくり。そんなイメージなかった。

彼は黒い目がきれいにすみ、栗色の髪をした、おどろくほどの美青年で、背丈はやや高く、やせ気味で、均斉がとれていた。
P.7、ドストエフスキー、工藤精一郎訳、『罪と罰』、新潮社、1968

ドストエフスキーの人物描写、良い。
細かいけれど、バルザックの変態的な境地まではいかず、さっぱりまとまっている。
ラスコーリニフがドイツの帽子をボロになっても被っているのは、彼のプライドの高さを感じる。そして、帽子も彼も、異質な存在のようだ。

それは山の高い、まるい、ツィンメルマン製の帽子だが、もうすっかりくたびれて、にんじん色に変色し、虫くい穴としみだらけで、つばもとれ、そのうえかどがぶざまにつぶれて横っちょのほうへとびだしていた。
p.8、同


世間で今日は猫の日、らしい。2022.2.22とたくさん2が並ぶから、盛り上がっている様子がネットから見受けられる。世間から切り離されたこの部屋の中では全く関係がないのだけれど。



2.23 Wed 10:45
今日も『罪と罰』を読んでいる。
ラスコーリニフの母親から、妹が結婚する、という手紙が来たところ。
文章に手紙が挿入されている。ラスコリーニフ(の学費)のために、妹が好きでもない40歳すぎの男と結婚し、これでお金も、彼の仕事もすべてうまくいくらしい。
という一方で、結婚相手(ルージン)について「良人は妻に対してすこしの借りもあってはいけないし、妻に恩人と思わせたほうがはるかにいい」なんて宣うモラハラ野郎であると示唆している。

これを読んでブチ切れラスコーリニフ。母親の長い手紙のあと「んな都合のいい話あるかい!」と立ち上がる(※イメージです)

私たち読者は、真偽や状況がわからないまま母親の手紙を読み進めているから、母からの手紙をちょっと怪しいと思いながらも、一度受け入れる。そしてそれを、主人公によって完全否定されることで、矯正され「妹の結婚相手=やべー奴」という共通認識を持つ。
やっぱり文学の中の手紙は面白い。

小さなエピソード?だけれど、酔っ払った少女(15,6歳)を狙っているオジサンから守ってあげるの、格好いい、最後はどうにでもなれ!て感じだけれど、お金ないのに、渡すの素敵。


塗り絵が苦手だったはずの娘が、しきりにやりたがるように。塗り絵をしたい、というよりは弟が寝た後に、私を独占して、ふたりで遊ぶのが楽しいようだ。「寝てるから、音が出ない遊びね」と塗り絵を提案したのが気に入ったらしい。

下の子が寝て、暗い部屋の中、こっそりと長女と遊ぶのは、昔親にバレないように、兄とこそこそ夜に遊んだのを思い出させて、楽しい。

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