ひと色展【短文】*夢がほんとうに*
夢がほんとうになった。
夢の中のピアノの発表会で、何も弾けないと泣いていた私が
ピアノの前に座ったとたん
聴いたこともない風のような曲を弾くことが出来たという幸せな夢。
夢から覚めても余韻が続き、音楽がかすかに体に残っている。
目覚めた朝は日曜日。
暑くもなく寒くもない、静かな曇り空の優しい日曜日。
私は買い物に出かけた
大切なデートのためのワンピースが買いたい
そう思ったのに目についたのは片隅に置かれた箱型のオルゴール。
木彫りの真四角な箱。
蓋に彫られた細かな花々、それは菫。
わたしはふるえる指でそっと蓋を開く
流れでる曲はやっぱり。あの曲。
バイオレット
すみれの風
バイオレット
すみれの風
もう忘れることはない
わたしはそっと蓋を閉じ
自分のものにするためにオルゴールを手に取った
そうだ、ワンピースはすみれ色がいい
きっとそんなワンピースが買えるだろう
バイオレット
すみれの風が吹いている
いつもわたしの髪を揺らし
ワンピースのすそを揺らす
すみれ色の風
わたしにもきっと弾けるはず
いつかこの曲が弾けるはず
*オルゴールの曲はこちら
*Special thanks to さちとピースさん
私が書いた「ひと色展」コラボの短文中に出てきた夢の中の曲を、さちとピースさんが作曲してくださいました。
夢が現実に。。なんて素敵なことでしょうか。
さちとピースさん、ありがとうございました。
そしてすべてのきっかけのはじまりの、イシノアサミさん、ありがとうございました。
*さらに、りん🍀さんによる編曲です。こちらもお楽しみください♫
*こちら私の元記事です↓
**イシノアサミさんのひと色展コラボに参加させていただきました。イシノアサミさん、ありがとうございます。
*ミネラルバイオレットから広がった小品です。