【短編】もし波打ち際に人魚が打ち上げられていたら3(春弦サビ小説?)
私はいつの間にこのような寒そうな場所に迷い込んでしまったのだろう?確か初夏の海岸を歩いていたのだ。80代後半になる私の身体はもう昔のように軽やかに歩けたりしない。いかにも老人といった、よろめくような、ぎこちない動きで歩を進めるしかないのだ。
商店街などを歩いていると「おじいさん、大丈夫?」などと声をかけられ、口では礼を言うが腹の中では(ふん!老人扱いしやがって!)と毒づく。かといって年寄りとして労わられなければそれも腹が立つ。何にしても面倒な老人だと自分でも分かっている。老害