てるやま/ミモザブックス

2023年春、東京・西荻窪で小さな出版社をスタート。以前は新潮社で小説の編集をしていま…

てるやま/ミモザブックス

2023年春、東京・西荻窪で小さな出版社をスタート。以前は新潮社で小説の編集をしていました。 ◆HP→https://mimosabooks.co.jp ◆書籍販売サイト→https://mimosabooks.square.site/

最近の記事

Maruちゃんがくれたもの。

Maruちゃんが旅立って明日で一年。 祥子さんからの電話で、Maruちゃんとはもう二度と会えないことを知った春の晩。 あの日のことを思い出すと、今でも突風が吹くように心が乱れる。 ✴︎ Maruちゃんは私にとって特別な、人生を変えてくれた存在だった。 Maruちゃんを初めて知ったのは、飼い主のジョンソン祥子さんのブログ「Maru in Michigan」だった。もう10年以上前のことだ。 いつも読んでいたsakiさんのブログで、あまりに可愛い写真が紹介されていて、

    • 憧れの出版社に入って憧れの編集者になった私が会社を辞めるまで。②

      一昨日は芥川直木の贈呈式だった。受賞者の万城目学さんにお祝いを伝えたくて私もお邪魔することにしたのだが、コロナ禍も挟み、パーティへの参加は久しぶり。長年働いていた会社を辞めてから初めて行くこともあり、やや緊張して向かった。 余談だが、文芸の世界は各社の編集者が顔を合わせる機会も多いので横の繋がりが強く、数年いるとみんな何となく顔見知りになる。私が知る限り、ライバルだからとピリピリした雰囲気はないし、みんなで作家さんを盛り立てていきたいと考えている人が多いように思う。そして私

      • 憧れの出版社に入って憧れの編集者になった私が会社を辞めるまで。

        16年間働いていた出版社を2022年の春に辞めた。 いつも何でもギリギリまで引っ張る悪癖は会社員生活の最終日まで変わらず、最後の仕事とデスクの片付けを終えて帰宅したのはもう明け方だった。 その日の昼間、社内のお世話になった人の元を回って挨拶した。みんな仕事中だし、さっと挨拶して失礼するつもりだったのだが、全く予想もしていなかったことにお花やギフトを用意して待ってくれている人たちが沢山いた。涙を流して惜しんでくれる人までいて、「何で私なんかにそんな……?」と呆然とした。有難

        • お節介がしたいんだ。

          感情が忙しい一週間だった。今もそのことが頭から離れないし、きっとずっと考え続けると思う。思考をまとめきれないので、ここでは(少なくとも今は)書かないけれど。 編集者として自分が何をしたいのか、できるのか。とても考えさせられている。 小説家、漫画家、それに編集者も含めて。私は、創作に関わる仕事をしている人たちの役に立ちたい。目の前の仕事の件に留まらず、(何なら直接的に一緒に仕事をしていなかったとしても)困った時に思い出してもらえる人になりたい。問題があるなら一緒に考えたい。

        Maruちゃんがくれたもの。

          有栖川有栖さんと吉川トリコさんの優しさに包まれた夜。②

          吉川トリコさんの『小説家のトリ説 初級編』(以下『トリ説』)刊行を記念して開催された有栖川有栖さんとの公開対談の様子をご紹介(前段はこちら)。トークの本編が始まり、いよいよ小説の書き方、新人賞応募の話題に。お二人の本音が炸裂する貴重な機会となった。 『トリ説』に掲載された「小説家になるには、やはり小説教室に通った方がいいのでしょうか? そういうところでアドバイスをもらうためには自分と同じワナビの作品を沢山読まなければいけないと思うと気が進みません」という何とも正直な質問。

          有栖川有栖さんと吉川トリコさんの優しさに包まれた夜。②

          有栖川有栖さんと吉川トリコさんの優しさに包まれた夜。①

          気がつけば早くも一週間が経ってしまったが、有栖川有栖さんと吉川トリコさんをお迎えしてスペースで公開対談を開催した。が、大変申し訳ないことに大波乱のスタートとなってしまい、パニックで幽体離脱しそうになったのでその様子もお届けしたい。 吉川トリコさんの『小説家のトリ説 初級編』(以下トリ説)刊行を記念したスペースを開催したいと考えた時に、すぐに頭に浮かんだのが有栖川さんだった。一線を走り続ける大人気のミステリの書き手なのはみなさんご存知だと思うけれど、同時に「有栖川有栖創作塾」

          有栖川有栖さんと吉川トリコさんの優しさに包まれた夜。①

          出版社を立ち上げたばかりの私が占い師に勧められてnoteを始めた話。

          noteを始めれば道が開ける、とその人は言った。 2023年も残す所わずかとなった年末、横浜のマンションの一室でのことだった。初めて会った占い師さん、いや恐らくスピリチュアルカウンセラーさん(?)と呼ぶのがいいのか、彼女は少し困ったように繰り返した。 「noteをやることであなたの会社は発展していく、と言っています」 年に一度くらい、気が向いた時にふらりと占いを利用する程度の私はいわゆる「スピリチュアルな人」ではない。目に見えない世界があると信じる方が人生が楽しくなると

          出版社を立ち上げたばかりの私が占い師に勧められてnoteを始めた話。