掌編小説 | routine.
「水、飲むか?」
「・・・んーん、へいき。」
それは、日付が変わった頃。
ふたりのいつもの会話、彼だけがシャワーに向かう足音、馴染んでしまった一連の流れ。
あたしはいつも決まって要らないと応えるのに、筒井は毎回必ず律儀に訊いてくれる。それはやさしさなのだろうか、それとも、あたしの返答なんて記憶に無いのだろうか。後者だと思う。そんなのはもうとっくに気づいている。だけど、それじゃあんまり哀しいから前者だと思うことにした。他人の感情なんてどうせ分かりっこないのだし、どう解釈しよ