![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/131600019/rectangle_large_type_2_46099f48d168e1b4c9ceb30c098a2330.png?width=800)
学校教育におけるナッジとその作り方①【行動経済学×教育】
もしナッジが作れるとしたら・・・
ナッジに興味をもっていただいた方に
ぜひ届けたい記事です。
何かと言いますと・・・・
学校教育における「ナッジの作り方」
ついにまとめていきたいと思います。
・行動経済学とは
・ナッジ(Nudge)とは
・スラッジ(悪いナッジ)とは
・学校教育におけるナッジの目的
・ナッジを使う教師の心得
・ナッジを作るまでの過程
・ナッジのフレームワーク
・ボトルネック(悪影響)を見つける
・ボトルネックに対するナッジを選ぶ
・シートを使って実際に考える
・おわりに
行動経済学とは
![](https://assets.st-note.com/img/1708822663426-9aF3GkQPgq.png?width=800)
日常の意思決定の背後にある科学
「50%オフで、欲しくもないのに買ってしまう」
「いつもと同じメニューばかりを選んでしまう」
「知らないお店の行列につられて並んでしまう」
私たちは自分の意志で自由に選択している
と思いがちですが、
予想外な心理的要因の影響を受けていると、
50近い理論をもとに明らかにしたものが
行動経済学になります。
従来の経済学が、
かしこく合理的な人間像を前提とし、
行動経済学は
現実の非合理な人間像を前提としています。
この従来の経済学の前提、
教育にも当てはまる部分があるかと思います。
「子供はかくあるべき」
「子供にはこう言うべき」
「私はこう育ってきた」
「俺はこう言ったら過去上手く言った」
教師の望む合理的な子供の姿を前提とした
「かくあるべき」指導は、
教育というジャンルにおいて
切っては切れないないものだと思います。
行動経済学は、そんな教育観に
「人間は予想通りに不合理なんだよ」
と理論で優しく気付かせてくれる。
そんな学問だと、
私は勝手に思っています。
ナッジ(Nudge)とは
![](https://assets.st-note.com/img/1708822635192-79FgZ09bsb.jpg?width=800)
ナッジ(Nudge)は、
人々の行動や選択をゆるやかに変える方法です。
前述した行動経済学を利用して、
人々の行動を予測可能な方法で
正の方向へ導くものです。
そして、
リバタリアン・パターナリズムという思想を
もとに作られた方法でもあります。
リバタリアンパターナリズム
面倒臭いカタカナ横文字ですが、
ナッジを理解する上では外せません。
リバタリアンが自由人主義
パターナリズムが父権主義(こうあるべき)
これを合わせたものが
リバタリアンパターナリズムとなります。
簡単にいうと、
「自由意志を尊重しつつ、良い方向へと導く方法」
という考え方です。
この考え、
まさに今求められる教育の形と、
同じではないでしょうか。
教え込むから、ファシリテートへ。
スキル重視からコンピテンシーとの両立へ。
生徒指導提要でも自己決定の機会の提供、
自己指導能力の向上が示されました。
「ナッジ」はそれらを
自然と体現できる側面も持ち合わせています。
スラッジ(悪いナッジ)とは
![](https://assets.st-note.com/img/1708822677074-rCPunkPbvi.jpg?width=800)
スラッジとは本来、
下水処理や工場廃水処理の際に出る
沈殿物のことを指します。
この沈殿物になぞらえた
スラッジ(悪いナッジ)とは、
ナッジの概念を利用して
人々の行動を
特定の企業や人の利益のために誘導するもの
を指します。
この文脈を教育に当てはめると、
ナッジを
教師にとって都合よく、
子供を支配下に置くために使ってしまうこと
がスラッジになります。
以下はよりスラッジについて詳しくまとめたものになります↓
操作的目的 子どもの自主性や利益よりも、教師や学校の目的を優先する場合。
選択の制限 子どもの自由な選択を制限し、特定の行動を強制する場合。
透明性の欠如 子どもにナッジの目的や方法を隠し、秘密裏に行う場合。
これらを防ぐためにも、
ナッジをする際には大事なポイントがあります。
それは
ナッジする目的を子どもと
きちんと共有することです。
そうすることで、
最終的には子どもも自身で
意思決定をしていることになります。
どんな指導法も、子どもと教師が
「目的」を共有できているかで
成果は大きく異なります。
ナッジを使っていくことで
積極的に「目的」を大切にしていく
意識も育てることができます。
今回はここまでとなります。
次回は続編として
・学校教育におけるナッジの目的
・ナッジを使う教師の心得
をご紹介します。
次の記事↓
参考文献:
大竹文雄(2019)『行動経済学の使い方』岩波新書
Richard H. Thaler & Cass R. Sunstein
Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth and Happiness 及びその邦訳(実践行動経済学、2009)
そうじナッジ↓(これで掃除指導の悩みから救われました)
あいさつナッジ↓(ナッジの中で一番簡単かつ楽しいです)
サポートナッジ↓(課題のある子が自ら変わる、画期的なナッジです)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?