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写本

パピルスはもろく、100年程度で朽ちてしまうため、書き写し作業は中世を通して行われました。紀元後には羊皮紙という、より丈夫な紙ができたため、相当長持ちしたそうですが、それでも書き写しは継続されました。前半の1000年はパピルス、後半の1000年は羊皮紙で書写され続けたそうです。 印刷技術以前の時代はどれだけ写本してくれる人がいるかが後世に残るためのカギでした。名作ほど残る可能性が高かったのです。文章のお手本として書き写したくなるような作品ほど、写本がたくさんできたわけですか

    • 暦 の 話

      変身物語の最後は、カエサルとアウグスティヌスの話で終わっていました。この二人は、JulyとAugustに名を残しているように、現在世界で使われている暦の元を作った2人です。 なぜ、暦に名前が残ったのか、暦の名前名称の由来が何なのかについてまとめてみました。 1、なぜ、曜日名は月、火、水、木、金、土 なのか 古代ローマ時代では、曜日の概念が決まるよりも前に、1日を24等分して1時間とする決まりが制定されました。 エジプトは、昔から高度な文明を持っていて、宇宙には地球以外

      • 変身物語

        変身といえばカフカの虫の話だし、中島敦の山月記が想起される。変身物語と変身は同じものだとなんとなく思っていたのだけれども、このたび、ギリシア神話の一つであることを認識いたしました。 『変身物語』は、 ギリシアがローマ帝政期だったときに、詩人オウィディウス(紀元前43年 - 紀元17年)によって書かれた作品。動植物や星へ人が変身する物語。物語の最後で、カエサルがほうき星になり、子供のアウグスティヌスが、将来星になるという話で終わるローマ神話である。でてくる神様はローマ神話の名

        • 星座の起源

          古代エジプトの遺跡で、星の並びを人などに見立てた図が発見されている。この星座は総称してデカンと呼ばれ、一年を360日として10日ごとの区画に割る指標として用いられていた。これが記録に残る最古の星座である。 星同士を結んで星座を作る風習がのちにメソポタミア文明に伝わり(バビロニア天文学)、ここで現在の星座の原型ができたと考えられる。ただし、エジプトとは独立して、別個に星座を作ったという可能性もある。 証拠は残っていないが、最初に決められた星座は、黄道十二星座であると考えら

          結局、ユダヤ教にも手を出さないといけなくなっちゃうでしょう。

          ギリシア神話とキリスト教の触れ合い 昨日話したようにキリスト教では神様のことをdzeusっていうようです。ギリシア神話のゼウスとキリスト教の神様は異なるわけですが、同じ名前になっているのはどうしてなんだろう。と思うんですね。 キリスト教は紀元前になかったことは、自明なわけですが、もともとユダヤ教の一派で、神様は同じものなので、人はいつユダヤ教の神様を認識したのか、というところが気になったので、さかのぼってみました。 旧約聖書は、これまでちょっとだけのぞいたことはあり、ただ

          結局、ユダヤ教にも手を出さないといけなくなっちゃうでしょう。

          デウス

          戦国時代に、日本にやってきた宣教師が、キリスト教の神様のことをデウスといっているようだった。これは多分ゼウスのことなのですが、ギリシアの神様とキリスト教の神様は異なっているはずなので、気になって調べてみた。 デウスは、ラテン語(およびポルトガル語・カタルーニャ語)で神を表す言葉。 古典期には男神一般を表す一般名詞 deus だった。 その後、ヨーロッパでキリスト教が広まり、ヨーロッパでは学問の言葉などとしてラテン語が用いられており、ただひとつの神(ヤハウェ)を指すのには、

          デウス

          ギリシアの世界遺産からギリシア神話に迫ってみる。 *

          ギリシア神話と世界遺産 ギリシアの世界遺産は18ありますが、そのうち8か所がギリシア神話にかかわるもののようです。残りの内4つは、同じぐらいの時代ですがマケドニアにあるもので、ギリシア神話とのつながりは強くありません。 のこりの6つキリスト教関係の遺産で、場所によっては、多少切り神話とかかわりのある地域も含まれています。 ギリシア神話と関係の深い8つの遺跡をまとめてみました。 15、ミケーネとティリンスの古代遺跡群 紀元前16世紀   円形墳墓 2、デルフィ(デルポイ)の

          ギリシアの世界遺産からギリシア神話に迫ってみる。 *

          ギリシア神話を作ったギリシア人

          新石器時代はギリシア北部、マケドニア地方の平原で農業がおこなわれていた。青銅器時代に、アカイア人がギリシア南部へ移動。ヘレディック文化を形成。イオニア人、アイオリス人などに分化し、エーゲ海の対岸へひろがった。アカイア人の一部のミケーネ人は、南エーゲ海に進出し、ミノア文明を吸収しながら、ミケーネ文明を発展させた。紀元前1300年ころから、海の民の襲来で衰退をみせはじめたが、紀元前1260年から紀元前1250年ころ総力をあげて小アジアに遠征しトロイアを滅ぼした。 その後、アテネ

          ギリシア神話を作ったギリシア人

          暗黒時代も避けられなくなったね *

          まえがき ギリシア神話の神々について、お勉強しているところです。 ギリシア神話の話は、なぞのトロイ戦争あたりまでのミケーネ時代の話です。ミケーネ文化は暗黒時代の始まりとともに衰退します。ところがギリシア神話が、記録としてあらわれるのは、暗黒時代が終わった紀元前8-9世紀のオデュッセイア、神統記に始まります。 神話のことを考えるには、この暗黒時代がどんなものだったのかを、おさえておかないといけないと思った次第です。 暗黒時代 は古代ギリシアにおける紀元前1200年から紀元

          暗黒時代も避けられなくなったね *

          ついに神統記に手をだしてしまった。*

          ギリシア神話のことをかいつまんでいましたが、いろんなエピソードがどこにあるのか知りたくなって、ついに神統記に手を出すことにしました。 ちょっと読んでみたら(ギリシア語は読めません)細かい描写を読み取ることができておもしいところがあるとともに、使い慣れない文字が多くて、これを読むのに漢字検定が必要なのだなあと思ったりしています。 読めなかった文字や、わからなくて調べたことなどを書き連ねてみることにします。 ムーサ(古希: Μοῦσα, Musa)は、ギリシア神話で文芸(μο

          ついに神統記に手をだしてしまった。*

          一番古い神様は?

          神話上は、ガイア ポントス ウーラノスが古い神様だが、これらは、創成神話の神で、神話のために創作された神である。それに対して、オリュンポス12神は、神話が作られるまえから、もともとギリシアで信仰されていた神々である。外から伝わってきた神や、地元で信仰されていた神が混じっているので、生まれ順がどうなっているのか調べてみた。 アポローン は、「遠矢の神」であり、疫病の矢を放ち男を頓死させる神であるとともに病を払う治療神でもあり、神託を授ける予言の神としての側面も持つなど、付与

          一番古い神様は?

          ブドウとオリーブ

          テル・アブ・フレイラ  古代のレバント東部・メソポタミア西部にあった考古遺跡。今から13,000年以上前に穀物を栽培した跡が見られ、現在のところ人類最古の農業の例となっている。放棄されていた時期を挟んだ2つの異なる時期の住居跡や食物の跡などが発見された。  13,050年前のライムギの耕作・栽培の証拠がこの遺跡から検出された。この時期は、ヤンガードリアスの始まりにあたり、野生のムギ類が減少し、採集に依存していた人々は食糧確保のために農耕を始めたとされている。  終末期旧石器

          ブドウとオリーブ

          メソポタミア神話 *

           ハーデースのこと調べてたら、妻、ペロセポネーの母豊穣の神デーメーテルは、アテネでは、エレウシスの密儀という3大祭りのひとつで祀られている神様であることにたどり着きました。この儀式は紀元前15世紀のミュケナイ期から古代ローマまで約2000年間にわたって伝わり、古代ギリシアの密儀宗教としては最大の尊崇を集めたということです。  もとをたどると古い農耕信仰につながっていて、古代オリエントにその原型を見ることができるということでした。  このころの最も古い神話がメソポタミア神話で、

          メソポタミア神話 *

          ギリシア神話 時系列 と 系統をまとめられるものなのか。

          序 ニュンペー ペルセウス アキレス ヘラクレス アトラスと渡り歩いて、 ギリシア神話の世界観。裏の神の系列。ニュンペーや怪物などの登場神々の様子が少しずつ見えてきました。 次にどこに向かおうかと考えているところですが、一旦、ここまでを振り返って、まとめてみました。 世代 第一世代 カオス 第二世代 ガイア タルタロス、エロース、エレボス、ニュクス 第三世代  ガイア(大地) ポントス(海洋)ウーラノス(天空)ウーレア(山々)   Iーーー→  テュポーン(嵐)  タル

          ギリシア神話 時系列 と 系統をまとめられるものなのか。

          アトラス問題と気づいたこと

          アトラス問題 とは、ペルセウスがアトラスを石にしたのに、孫のヘラクレスが、動くアトラスと会っている問題です。 このシリーズでは、ネーレーイスからギリシア神話にはいってみました。 ペルセウスの話。その孫のヘラクレス アキレスとトロイア戦争 トロイア戦争の発端になった黄金のリンゴとヘスペリデス ヘスペリデスの園はアトラスの山の上にありました。 あちこちの話に少しずつ手を出しているうちに、いくつか気づいたことがありその一つがアトラス問題です。 アトラスはゼウスのいとこですが

          アトラス問題と気づいたこと

          ヘスペリデスの園 と 黄金のリンゴ

          ヘスペリデスの園 は世界の西の果てにある。その近くでは、アトラースが天空を背負って立っている。ペルセウスのメドゥーサ退治の伝説、ヘーラクレースの11番目の功業の物語の舞台となった。 「ヘスペリデスの園」にはヘーラーの果樹園があり、ゼウスとヘーラーの結婚の祝いとしてガイアが贈った黄金のリンゴの木が植えられている。 アトラース山の頂にある果樹園にヘーラーが移し植えたとされる。 ヘスペリデスの園はアトラス山脈の上にあるということですね。 ヘスペリデス は、ヘスペリデスの園

          ヘスペリデスの園 と 黄金のリンゴ