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アトラス問題と気づいたこと

アトラス問題

とは、ペルセウスがアトラスを石にしたのに、孫のヘラクレスが、動くアトラスと会っている問題です。

このシリーズでは、ネーレーイスからギリシア神話にはいってみました。
ペルセウスの話。その孫のヘラクレス
アキレスとトロイア戦争
トロイア戦争の発端になった黄金のリンゴとヘスペリデス
ヘスペリデスの園はアトラスの山の上にありました。

あちこちの話に少しずつ手を出しているうちに、いくつか気づいたことがありその一つがアトラス問題です。

アトラスはゼウスのいとこですが、オリュンポスの神々がティターン族に勝った時、ティターン族の末裔として、罰せられ天空を支えていました。

結婚する前のペルセウスは、西の旅の帰りに、アトラスを石にしてしまいました。途中で、ネーレーイス問題でとらえられていたアンドロメダを救って、妻にしてミケーネ王家を始めました。

ヘラクレスはペルセウス子孫で、同じくペルセウスの孫であるミケーネおよびティーリュンス王であるエウリュステウスの命にしたがって12の功業を成し遂げました。

ヘスペリデスってどこ

功業のひとつは、ヘスペリデスの園にある、黄金のリンゴをとってくることでしたが、ヘラクレスがヘスペリデスの場所を聞き出すのに二つの話があります。

ひとつは、ネーレイデスの父、水神ネーレウスから力ずくで聞きだし、その後、黄金の林檎を守っていたラードーンを倒して林檎を手に入れた。
という話

もう一つはアポロドーロスの伝説で、ヘラクレスは、人間に火の使い方を教えたためにゼウスに罰せられてカウカーソス山に縛り付けられていたプロメーテウス(アトラスの兄弟)を救い出して、聞きだしたという話。プロメーテウスは、「ヘスペリデスはアトラースの娘たちだから、アトラースに取りに行かせるべきである」とおしえてくれました。ヘラ売れ巣はアトラースに会いに行きますが、そのとき、アトラースは神々との戦いに敗れ、天空を担ぎ続けていました。
という話。

ペルセウスの逸話と別の系列の話と考えないとおかしなことになります。
一方、ネーレーイスとの確執から、捉えられていたアンドロメダと結婚したペルセウスの孫が、ネーレウスを捉えたというのは一連の話として成り立っています。

トロイア戦争のミケーネ王家

アキレスは、トロイア戦争で活躍した人物ですが、トロイア戦争はミューケナイを中心とするギリシアとトロイアの戦争で、ギリシアの大将は、ミケーネ王アガメムノーンです。アガメノムーンの父アトレウスもミケーネ王ですが、アトレウスの祖父はリューディア王です。リューディアは現在トルコがあるアナトリア半島にあり、トロイアもアナトリア半島にあります。
ミケーネ王が出てきますが、ペルセウスとの関係はやや薄く、先祖はアナトリア半島からやってきているところから、ペルセウスの直系ではないのかもしれません。
 ヘラクレスは、トロイアで戦っていますがこれは、トロイア戦争よりずいぶん前の話です。トロイア戦争にはヘーラクレスの孫が参戦しています。

このたび気づいたこと

トロイア戦争を描く最も古い作品は「イーリアス」ですが、これは戦争10年目から、戦争の途中までしか描かれていません。トロイの木馬など終戦の話は、別の作品に描かれていたり、戦争のきっかけの話は、イーリアスよりだいぶん後にかかれたということで、あとづけで付け加えられたはなしも含めて、トロイア戦争の物語になっています。
その他の神話もこんな形で、いろんな時期にいろんな話がつくられたのだと思います。

ギリシア神話は、この世と神の始まりからトロイア戦争までのことを描いた話だととらえていましたが、必ずしもそうではないものの、ミケーネ王家は重要な要素になっている感じがします。
世の中の始まりからあるところまで描いてあると思ったのは、日本の神話、古事記、日本書紀の感覚でとらえていたからみたいです。

PS
ゼウスは3回戦って、支配者になったことがわかりました。
神話とか伝説って、どこまでが事実を下敷きにしたものでどこからがフィクションなんでしょう。
下敷きにした話は作者の思いや、読者の意向によって曲げられるので、どのような考えで実行され、どんな要因がかかわってそうなったのかはわかりませんが、しっかりとした記録があれば起きた事実は残ることになるんでしょうね。

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