甲状腺乳頭癌の話21 ナースコールを押せなくて
甲状腺切除手術が無事に終わり、
病室に戻ってきたのが、午後6時くらいでした。
その後3時間は寝たきりで、動くことができません。
首も少しも傾けることができない状態です。
まだ、麻酔が残っていて、朦朧としていたので、うとうとしてしまえば、きっと、あっという間に3時間が経つだろうと思っていました。
ただ、少し頭痛がありました。
麻酔の副作用だそうです。
点滴に入れる痛み止めは手術中に行っていて、4時間位あけてからでないと使えません。
この3時間の間、もし痛み止めが必要になったら、 座薬 しかないという話でした。
座薬 はあまり経験がなく、わからないから怖く、動けないから自分でできません。
それは、ちょっと、遠慮しておこう。
ところが、痛みが強くなってきました。
これが続くならだいぶ辛い…。困りました。
痛み、恐怖、恥ずかしさ、屈辱感、そして看護師さんに申し訳ない…。
それに、こういう時に限って見回りに来ない。
ボタン一つで看護師さんを呼ぶって、なんだか偉そうで、押しにくいのです。
もう少し我慢してみるか…。
いや、ちょっと待て、私は手術を受けたばかり。
しっかりしよう。
患者らしくしよう。
15分ほど葛藤した後…、お願いしたのでした。
恥ずかしながら…、看護師さんに…、入れていただきました…。
でも、残念ながら…、
この痛み止めはあまり効きませんでした。
そうきたか、全身麻酔…。
まだ痛みはあるものの、
朦朧として、うとうとして、1時間半ほど経過した頃、
今度はトイレに行きたくなってしまいました。
あと1時間半我慢すれば、起き上がることができます。
それまで持ち堪えようとしました。
なぜなら、女性の場合、尿道カテーテルを挿入される方式だからです。
19歳で入院した時、一度経験がありましたが、痛くて、怖いのです。
さすがに、それだけは、遠慮しておこう。
ところが、我慢が難しくなってきました。
これが続くならだいぶ辛い…。困りました。
痛み、恐怖、恥ずかしさ、屈辱感、そして看護師さんに申し訳ない…。
それに、こういう時に限って見回りに来ない。
ボタン一つで看護師さんを呼ぶって、なんだか偉そうで、押しにくいのです。
もう少し我慢してみるか…。
いや、ちょっと待て、私は手術を受けたばかり。
しっかりしよう。
患者らしくしよう。
30分ほど葛藤した後…、お願いしたのでした。
でも驚いたことに、30年前とはスタイルが変わっていました。
動けなかったため見ることができませんでしたが、桶のようなものを下に敷くだけの方式だったのです。
痛く、怖い思いだけはしないで済みました。
看護師さんは「終わったら知らせてください」と言って、出ていってくれました。
少し、気持ちが楽になったものの、今度は別の問題が発生しました。
仰向けで寝ている姿勢では、できないのです。
方法がわからない。
意識を集中でもダメ。リラックスでもダメ。
コツがわからない。
むずかしいのです。
結局、30分ほどかかってしまいました。
羞恥心を2回も脱ぎ捨てて、だいぶ身が軽くなりました。
でも頭痛はあまり改善しませんでした。
残り時間はあと30分です。
起き上がれる時が待ち遠しいです。
もうすぐだ、あと20分。
もうすぐだ、あと10分。
すると、看護師さんたちがざわつき始めました。
見知らぬ先生まで登場しました。
そして告げられました。
「血圧が200なので、出血の恐れがあるから、まだ起き上がるのはダメです」
→ 続く
お読みいただき、ありがとうございました。
追記:見出し画像は、「みんなのフォトギャラリー」から選択し、
yumenotamago さんからお借りしました。ありがとうございます!
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