History#0 わたしの制作の原点
弱冠7歳で自覚した「絵描き」というもの
わたしの制作の原点には、時間とともに失われるものの儚さとそれに対するある種の怖さというものがあったように思います。「おとうとの可愛らしさが失われるのがこわい。どうしよう。そうだ絵に描いておこう」と思ったのは弱冠7歳のときでした。6歳半下に生まれた弟は、それはそれは可愛くて、パンをちぎりながらもぐもぐと口へ運ぶさまは今でも思い出せます。この可愛らしい瞬間はこの時しかなく、歳をとるにつれて失われていくものだという恐怖にも似た切実な想いがあ