わにぶちみき|MIKI WANIBUCHI

境界をあるく美術家。現代美術家。風景画という絵画のいち形態を端緒として「風景のなかにみ…

わにぶちみき|MIKI WANIBUCHI

境界をあるく美術家。現代美術家。風景画という絵画のいち形態を端緒として「風景のなかにみた色を再現する」というひとつの行為を選択し、現代における風景画の意味について考えつづけている。2012年 英国ボーンマス芸術大学大学院美術修士課程 修了。第27回ホルベイン・スカラシップ奨学生。

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最近の記事

《報告》 わにぶちみき個展 F U K E I [風景]

大阪市北区西天満にある現代美術ギャラリー[gekilin.]にて開催した個展「FUKEI」は、たくさんの方にお立ち寄りいただき無事終了しました。作品や冊子をご購入いただき、わたしのやっていることをお手元に置いていただけることをとても嬉しく思っています。 足をお運びいただき応援してくださった方やメッセージをくれた方、また、いつも新しい試みに挑戦させてくださるgekilin.のオーナーに感謝します。 FUKEI [風景] 今回は、昨年末の学園前アートフェスタで制作した作品や

    • 《告知》 わにぶちみき個展 F U K E I [風景]

      gekilin.での3度めの個展です 大阪市北区西天満にある現代美術ギャラリー[gekilin.]にて1年数ヶ月ぶり3度めの個展をさせていただきます。ギャラリーでは今年はじめての展示となるようです。あたらしい風を吹かせられるようにがんばりますのでぜひお立ち寄りくださいませ。 留学から帰国後10年を機に、冊子を作ったりnoteを書いたり、いろいろと振り返るなかで、わたしがずっとあるいてきた道は[風景(画)]であることを再確認しています。 それをやっぱりこれからも大切にして

      • History#5 世界とつながること

        答えのはやい時代 なんでも答えのはやい時代になりました。スマホひとつであっという間に求めている答えが見つかります。便利で手軽な世の中だというプラスの側面もあるのですが、わたしは手元のスクリーンばかりを見ている人々に(わたし自身も含め)、ある種の怖さを感じています。わたしたちにはまわりの世界がほんとうに、リアルに、見えているのか?と。 もともと人というのは見たいものだけ見る性質があります。最近はAIなどの学習によって選別され、それがさらに強化されているように感じます。興味の

        • わにぶちみき|境界をあるく美術家 略歴

          わにぶちみき略歴 境界をあるく美術家。現代美術家。 風景画という絵画のいち形態を端緒として「風景のなかにみた色を再現する」というひとつの行為を選択し、現代における風景画の意味について考えつづけている。 2012年 英国ボーンマス芸術大学大学院美術修士課程 修了 2004年 近畿大学文芸学部芸術学科造形美術専攻 卒業 第27回ホルベイン・スカラシップ奨学生 SOLO EXHIBITIONs 2023 FUKEI(gekilin./大阪) 2021 REVIVE ii(ge

        《報告》 わにぶちみき個展 F U K E I [風景]

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        • HISTORY|わにぶちみきのヒストリー
          6本

        記事

          History#2 そらの色くうの匂い

          大学時代からのコンセプト 大学時代からしばらくは「そらの色くうの匂い」と題して、身のまわりの風景と自身の大きさとの対比から「わたし 対 外界」を意識した制作に移行します。 じぶんの存在の小ささや儚さをとても内省的に捉え、詩作も多く行いました。空と人工物との境目、境界線。空の色の移り変わり。季節や時間での色の移り変わり。そこに人間としてのじぶんの存在のちっぽけさや儚さ、そして諸行無常に切なさや悲しみを感じていました。 これは子どもの頃から感じていた「時間とともに失われるも

          History#2 そらの色くうの匂い

          History#0 わたしの制作の原点

          弱冠7歳で自覚した「絵描き」というもの わたしの制作の原点には、時間とともに失われるものの儚さとそれに対するある種の怖さというものがあったように思います。「おとうとの可愛らしさが失われるのがこわい。どうしよう。そうだ絵に描いておこう」と思ったのは弱冠7歳のときでした。6歳半下に生まれた弟は、それはそれは可愛くて、パンをちぎりながらもぐもぐと口へ運ぶさまは今でも思い出せます。この可愛らしい瞬間はこの時しかなく、歳をとるにつれて失われていくものだという恐怖にも似た切実な想いがあ

          History#0 わたしの制作の原点

          History#1 英国からの帰国子女

          わにぶちみきは英国からの帰国子女です わたしが初めて渡英したのは14歳のころでした。父の仕事の都合で家族いっしょに3年という期間限定で英国に滞在します。進学の都合もあり2年と少しで単身帰国しますが、この英国滞在期間でわたしは日本の美術教育では得られなかった、わたしの芯をかたち作る大切な経験をします。 現地校での「ART」の授業 厳密には、選択していた「Textiles」(織物)の授業でのお話です。 ※中学生でしたが、必須教科以外の授業のコマは大学生のように選択制でした。

          History#1 英国からの帰国子女

          作品がお洒落なノートの表紙になります|100人のARTノート

          100人のアーティストによる100種類のアートノート企画 先日、投稿した記事でお知らせしていました「100人のアーティストによる100種類のアートノート」。2022年12月26日13時からmakuake(クラファン)にて先行販売されることになりました。 100通りの表紙のお洒落なマシカクのノート、〈神戸派計画〉さんとおなじところの製作のようです。わたしお洒落な文房具大好きなので、実物が手元に来るのが楽しみでしかたありません。 「アート作品を買う」のにはまだハードルがある

          作品がお洒落なノートの表紙になります|100人のARTノート

          History#4 英国留学|2|

          ある種の真理への到達を予感 水平線も地平線も英語では「horizon」と表現します。平行線という意味の言葉です。日本語の「平行線」には「交わることができない」という若干の負のニュアンスも含まれますが、horizonには物理的に平行であるという意味があるだけです。むしろ「“視野”を拡げる」という慣用句にも使われるような、世界の広さや意識の広さ、物事のあたらしい地平を思わせる広がりがあります。 英語を使いながら生活しているなかで、眼のまえに広がるこの水平線と英単語の奥に潜む意

          History#4 英国留学|2|

          History#3 英国留学|1|

          チューター(担当教授)との初顔合わせ 2011年に英国の大学院に入学したとき、チューターに 「Why do you paint (the landscapes) ?」 どうして(その風景画を)描くんだい? と、衝撃的な質問をされました。これまで描いてきた作品がすべて否定されたような、そんな気になってしまった午後でした。英語で言葉が出ないのではありません(英語力もいっぱいいっぱいではあったんですけどね)頭のなかが真っ白で、その問いについての答えをじぶんの中には見つけられな

          History#3 英国留学|1|

          「風景から色のみを抜き出す」広い意味での風景画

          風景画という絵画のいち形態 わたしは、子どもの頃から身の回りにある自然や植物、風景を描くことが好きでした。大学で油絵を専攻し、大学院で抽象画に転向してからも、風景を軸にした作品制作をつづけ、今日に至ります。 2014年頃からは、その“風景画”という絵画のいち形態を端緒として、風景のなかから色だけを抽出し「風景のなかにみた色を再現する」という風景画を描く際のひとつの行為を選択した作品制作をするようになりました。現代における風景画とは何なのかその意味について考える、広義の風景

          「風景から色のみを抜き出す」広い意味での風景画

          ドラマ[First Love 初恋]劇中に作品が使用されました

          佐藤健さん演じる主人公・並木晴道の部屋に飾られています。 2022.11.24スタートのNetflixドラマ「First Love 初恋」の劇中で、Casieさんに預けているわたしの作品を飾っていただきました。佐藤健さん演じる主人公・並木晴道の部屋の、ソファの横の棚の上に立て掛けてある大きな作品です。 同じくCasieさん所属の他の作家さんの作品もお部屋のあちらこちらにディスプレイされていて、“仲間”といっしょにあの佐藤健さんと共演できたんだなぁと感慨深くもあるし、とても

          ドラマ[First Love 初恋]劇中に作品が使用されました