History#2 そらの色くうの匂い
大学時代からのコンセプト
大学時代からしばらくは「そらの色くうの匂い」と題して、身のまわりの風景と自身の大きさとの対比から「わたし 対 外界」を意識した制作に移行します。
じぶんの存在の小ささや儚さをとても内省的に捉え、詩作も多く行いました。空と人工物との境目、境界線。空の色の移り変わり。季節や時間での色の移り変わり。そこに人間としてのじぶんの存在のちっぽけさや儚さ、そして諸行無常に切なさや悲しみを感じていました。
これは子どもの頃から感じていた「時間とともに失われるもの」への感情と同じものであると思っています。そこに自意識が加わり、時間とともに失われるもののなかでの、わたし自身の立ち位置を探していたのかもしれません。
知らない土地や旅先の風景のなかでじぶんの存在を見つめなおす。空と海、そして水平線を眺めながらじぶんをちっぽけな砂粒ほどの存在と再認識する。
わたしは自然の、宇宙の、ほんの小さな一部にすぎない。それを再確認することで、「時間とともに失われる」怖さから解放されようとしていたのかもしれません。
そらの色くうの匂い
“The History of Emerald”
そして新たなステージへ
ニュージーランドへの旅がきっかけで、作品のモチーフとして水平線が頻繁に登場するようになりました。「わたし 対 外界」を表現するものとして、わたしは必然的にこの平行線「horizon」をえらび、英国留学へと向かいます。
無意識的にでも選択してきた道が、集約されてひとつのゴールを目指している。そんな気がしています。
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