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History#5 世界とつながること
答えのはやい時代
なんでも答えのはやい時代になりました。スマホひとつであっという間に求めている答えが見つかります。便利で手軽な世の中だというプラスの側面もあるのですが、わたしは手元のスクリーンばかりを見ている人々に(わたし自身も含め)、ある種の怖さを感じています。わたしたちにはまわりの世界がほんとうに、リアルに、見えているのか?と。
もともと人というのは見たいものだけ見る性質があります。最近は
History#4 英国留学|2|
ある種の真理への到達を予感
水平線も地平線も英語では「horizon」と表現します。平行線という意味の言葉です。日本語の「平行線」には「交わることができない」という若干の負のニュアンスも含まれますが、horizonには物理的に平行であるという意味があるだけです。むしろ「“視野”を拡げる」という慣用句にも使われるような、世界の広さや意識の広さ、物事のあたらしい地平を思わせる広がりがあります。
英
History#3 英国留学|1|
チューター(担当教授)との初顔合わせ
2011年に英国の大学院に入学したとき、チューターに
「Why do you paint (the landscapes) ?」
どうして(その風景画を)描くんだい?
と、衝撃的な質問をされました。これまで描いてきた作品がすべて否定されたような、そんな気になってしまった午後でした。英語で言葉が出ないのではありません(英語力もいっぱいいっぱいではあったんで
History#2 そらの色くうの匂い
大学時代からのコンセプト
大学時代からしばらくは「そらの色くうの匂い」と題して、身のまわりの風景と自身の大きさとの対比から「わたし 対 外界」を意識した制作に移行します。
じぶんの存在の小ささや儚さをとても内省的に捉え、詩作も多く行いました。空と人工物との境目、境界線。空の色の移り変わり。季節や時間での色の移り変わり。そこに人間としてのじぶんの存在のちっぽけさや儚さ、そして諸行無常に切なさや悲
History#1 英国からの帰国子女
わにぶちみきは英国からの帰国子女です
わたしが初めて渡英したのは14歳のころでした。父の仕事の都合で家族いっしょに3年という期間限定で英国に滞在します。進学の都合もあり2年と少しで単身帰国しますが、この英国滞在期間でわたしは日本の美術教育では得られなかった、わたしの芯をかたち作る大切な経験をします。
現地校での「ART」の授業
厳密には、選択していた「Textiles」(織物)の授業でのお話
History#0 わたしの制作の原点
弱冠7歳で自覚した「絵描き」というもの
わたしの制作の原点には、時間とともに失われるものの儚さとそれに対するある種の怖さというものがあったように思います。「おとうとの可愛らしさが失われるのがこわい。どうしよう。そうだ絵に描いておこう」と思ったのは弱冠7歳のときでした。6歳半下に生まれた弟は、それはそれは可愛くて、パンをちぎりながらもぐもぐと口へ運ぶさまは今でも思い出せます。この可愛らしい瞬間はこ