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【読書きろく03】リカバリー・カバヒコを読んで、わたしがリカバリーしたいこと

こんにちは、みきてぃーです。
久しぶりにずっと気になっていた本を手に取り、一気読みしてしまいました。
本屋大賞にもノミネートをされており、書店でも目立つ位置にいつも置いてあったので気になっていました。

▼読んだ本がこちら▼

内容としては、とにかくもう泣くしかなかったです。
人間のうちに秘めているものを何だか見透かされるような、みられたくないものを覗いてしまっているような物語の数々。各章、人の悩みの部分から展開が始まり、この物語に幾度と登場する公園のアニマルライドのカバが、そんな悩んでいる人たちの味方になり、光を照らしていく物語です。※ネタバレになりそうだったらごめんなさい。

人間が隠している苦しみや痛みは、小説となって現れたときに、どうしても共感してしまうもの。自分もそうだな、ああわかるな、とどんどん登場人物と自分を重ねてしまうような感覚に陥ります。
その痛み、に対してこの小説は温かく寄り添い、まるで氷を溶かして行くように、照らしてくれるのです。

わたしは、どうも短編小説のようなものが苦手で(何だかこれからというときに終わってしまうような寂しさや、登場人物がコロコロ変わってしまうことで没入感が少ないこと)、あまりそういった小説を積極的に読んだことはなかったのですが、この物語は登場人物が変わっているように見えて繋がりがあり、メッセージも一貫しているようでかなり没頭して読みました。

この記事では、私が感じ取ったメッセージと、印象に残った話、そこから私が感じたことを簡単に書きたいと思います。

リカバリーできるのは結局自分の行動次第

文字に起こすと何だか冷たい表現になるのですが、一貫して伝えられたメッセージはこれだと思っています。
リカバリー・カバヒコ(登場するアニマルライドのカバ)は、自分の治したい部位を触るとその箇所が治ると言われているのですが、それは登場人物に①痛みを意識するきっかけを与えるのと、同時に②味方がいる安心感を与えるという2つの効果があると整理しています。
つまり自分の課題・治したいことに目を向け、味方がいることを実感しながらも変えるのは自分次第。結局、ご利益などの言葉で片付けるのではなく、自分の傷に向き合った自分が、明日から何を変えるのかが重要だ。
そういったメッセージが込められている物語だと感じました。

他責思考にするのではなく、(自分だけが辛い、周りの人間はどうにもならないといった)自分の思い込みの枠を取っ払い行動する思考が大切になるのだと学びました。

リカバリーとは傷を治すことではない。傷を負って、痛みの記憶や経験を積んだ自分が、新たな自分へ変化することだ。

リカバリー・カバヒコの物語の中で、足が遅いことに悩んでいる小学生の話があるのですが、その話で印象に残ったのがこの話。

例えば、自分が仕事でミスを繰り返してしまい、うまくいっていた頃の自分に戻りたいと願うとする。でも、もうミスをしなかった自分すなわちミスを知らない自分には戻れないということが言わんとすることかと思います。
だからどうするか。ミスをしなかった自分と、ミスを繰り返すようになった自分と両方の経験を受け止め、じゃあどうするかという進化する思考を大切にするのです。

昔に戻りたい、といった思考は誰も叶えることはできません。
今、ここ に焦点を当てて何をするかを考える。そんな大切なことを教えてもらった気がしました。

自分がリカバリーしたいことは?

この小説を通じて、さまざまな人の痛みを知り、自然と「自分は何をリカバリーしたいだろう」と考えてしまいました。

一番に思いついたことは、「心」
私は、人より繊細なタイプで、仕事で受けるダメージや、プレッシャーなどが人一倍精神に響いてしまうタイプです。
ここ最近は、そういった自分と闘いながら、仕事の葛藤と向き合っている(一人で考え続けていたということの方が正しい)日々だったのですが。
治そうとするのではなく、そういった自分の個性もちゃんと愛し、その上でどうするか?を考えようと思いました。
誰かに話すことや、自分でキャリア相談を上司にしに行くなど、少しずつ行動に移しているところです。

私も、自分のリカバリーを自分の力でやっていこうと思います。


心が温まり、そして今のままの自分を認めた上で背中を押してくれるような、素敵な小説に出会えました。




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