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ラブ・サイコケデリコショー彼岸花~サイコパスに恋をしたら前編~

解説

※前半は、サイコパスとの出会いまでを描いています。続編の後半からは、気分を概する描写になるかもしれません。暴力的描写や不愉快な描写が苦手な方は読むのをお避け下さい。

1序章

 もし、あの脳梗塞の後遺症のある老人と出会わなければ、私は今も洗脳は解かれていないかもしれない。骨の髄まで空っぽになっていただろう。

ショーのはじまり。さあ踊れ!!観客がただ一人の舞台で鉄の熱せられた靴を履いて!

 彼らは、常に獲物を狙っている!彼らが愛してるのは、そう自分だけ!

2遭遇


~曼珠沙華~

 店内は和室を基調に赤と金を施した、居酒屋の名前だ。寿司も振る舞う和食中心のメニューが好評。手鞠唄をモチーフに古き懐かしい日本をコンセプトとする。私はこの居酒屋で簡単な調理補助と接客、平日ランチの時間帯と土曜日働いている、38才の小学生の娘をもつ母だ。
 ごく平凡で、年のわりに童顔なこと意外はごく普通。学生の頃から付き合ってる主人と結婚12年目になる。やんちゃな娘が小学生になるまでは、育児に必死で髪を振り乱すような日々だったが、徐々に娘が落ち着いて大人になっていくにつれ、自分の生活も落ち着き平和だが退屈な日々を過ごしている。そして、この曼珠沙華での、美しい和食と料理を作る職人さんとの会話は、退屈な日常に彩りを与えるなくてはならないものになっている。50代の職人さん(やすさん)との会話も、他愛ないささいな日常や下ネタを交わしながら時に笑いあい、少しづつだがや煮物の下ごしらえ、野菜や、肉や魚をさばいたり、寿司の巻物や軍艦を作るのを手伝わせてもらったり、だんだんと楽しくなっている。キラキラと輝くような、職人さんが作る和食(特にお寿司)に日々の雑多たる日常を忘れ生き甲斐をみいだしている。ただ入った当初は、ベテラン主婦に、食材の場所の入れ間違いをしただけで目をつけられ、どなりつけられていたこともあったが。今はようやくそつなく、こなせるようになり回りも認めてくれるようになっている。

ただ今日は、社員が交代になるとの事で、別店舗から新しい社員が研修後にくることになっている。明るい同じ主婦パートのまきさんと、ふざけあいながら10分前になってもこない社員を待ちわびている。自動ドアが空き、ふとみると、スーツの真面目そうな眼鏡のサラリーマン風の男性が入ってくる。

「いらっしゃいませ」

私とまきさんは、声を同時に出す。

「・・・あの!社員の小野です!はじめまして!」

真面目そうな雰囲気に真面目な口調。あまりにもびっくりしてしまう。営業の人かと勘違いするくらいだ。まさか店の社員とは。

店長が声がけをし、皆が集められ、朝礼とともに自己紹介がはじめられる。

「小野誠二39才です。3人兄弟の末っ子です。父が亡くなった事で意をけっして新潟から埼玉の地元にもどりました。よろしくお願いいたします。年も近い方が多いと伺いました。よろしくお願いいたします!」

何だか珍しいくらい、きちっとした口調で声もハキハキとしていて、真面目な雰囲気で、私は失礼だけど吹き出すのをこらえながらきいている。

まきさんと、アイコンタクトをしてあいあつを聞きながら。彼女は新しい人にもどんどん絡んでいくので、小さな声で、「ゆうさん徐々にね」「まきさんも」と笑いあい。従業員の着物をモチーフとした赤い制服の帯をつつきあう。

スーツ姿の彼は、店長に促され新しい制服を渡され更衣室に向かう。

眼鏡をとり、白い厨房用の制服姿の彼が現れる。

軽く皆がどよめいく。黒ぶち眼鏡をとった彼が、若返って目鼻ダチがくっきりとした好青年である。年より若くみえ、目は、優しそうな光を放っていた。

もし神の声を聞く能力が私にあれば、危険は回避できたであろう、その能力が私にあれば・・・人間の顔をした人間では、ないものが人間の皮をかぶって日常生活に潜んでいる!

彼らは、いつつも何日も食べていないハイエナのように獲物を狙っている。

警告!ああその優しそうな眼球は、金色に光っていませんか?

悪魔と契約した光をはなっていませんか?

さあ用意はいいかな?素晴らしいショーの幕開け。

 さあ踊れ!観客がただ一人の舞台で鉄の熱せられた靴を履いて。おまえは永遠に!死ぬまで踊りつづけよ!!


 中編に続く

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