パリ逍遥遊 ダンテ神曲
ダンテの神曲に出てくる「地獄編」と言えば、ミケランジェロの「最後の審判」。ローマバチカン市国にローマ教皇の公邸バチカン宮殿にあるシスティーナ礼拝堂の主祭壇の背面を飾る「最後の審判」の地獄の箇所は、ミケランジェロがダンテの「地獄篇」からインスピレーションを得て、描いたと言われている。
「最後の審判」見たさに、パリ・オルリー空港から機上の人となった。アメリカの4つの州の境界線が集まった点をフォー・コーナーズと呼ぶが、パリ・オルリー空港のフォー・コーナーズの4店舗、日本でもかなりおなじみの4店舗「ラデュレ(Laduree)」「ラ・メゾン・デュ・ショコラ(La Maison du Chocolat)」「マリアージュフレール(Mariage Freres)」「ネスプレッソ(Nespresso)」、最後を除いてすべてフランス製。マカロン、チョコレート、紅茶、コーヒー、嗜好品の最高峰たちだ。「ラ・メゾン・ヂュ・ショコラ」でもらった試供品のチョコレートの口どけを楽しみ、ローマへ。
ミケランジェロが、5年の歳月をかけて完成させた「最後の審判」、向かって右側に、地獄へと落ちていく人たちが描かれる。ダンテが「ここに冥宮ミノス、憤怒のすがた恐ろしく、牙をむいて立ち、入り来る者の罪状を調べ、裁定し、身のこなしによって然るべき処へ送る」と書いた如く、地獄へと落ちていく人たちが、三途の川を渡って、渡し守カロンによって船から追い立てられている。背景は煉獄の火だ。
最後の審判は、ミケランジェロの頭脳そのものだ。聖書を咀嚼し、ダンテを取り込むその教養の高さがうかがえる。精魂尽き果てたミケランジェロがイエスの使徒のひとり聖バルトロマイが持つ生皮の皮の部分に登場する。構成に残り、人を魅了してやまない大作を完成させるためには、数年にわたる精神的そして肉体的葛藤が必要だったことを物語っている。
バチカン宮殿を飾るもう一人の巨匠、ラファエロ。フランス議会の「アテナイの学堂」は、バチカン宮殿を飾る最高傑作の一つだ。そこに現れる哲学者、プラトンとアリストテレスを中心に、ユークリッド、ピタゴラス、ゼノン等を見ることが出来る。イデアの世界と形而上の世界。ラファエルはイデアの世界と接触し、イデアの世界に生き、イデアの美しい人を書く天才画家だ。彼曰く「美しい女性を描くとき、(中略)私は心の中のイデアを使って描いている。」
ラファエロは、ローマ・パンテオンに眠っている。