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多摩デザイン大学 「カルチャーデザイン」 石川 俊祐さん

昨年通った多摩美術大学が、期間限定「多摩デザイン大学 / Tama Design University」を開校しているので、受講しています。

この問いを頭に置きつつ、学んでいこうと思います。

「我々は新しい世界をどうデザインできるのか?」

我々は今、環境をはじめとした様々な課題や、テクノロジーによる急減な変化と向き合っています。その状況の中でどうデザインするかの前に、何をデザインしていくべきなのかを問い直していくことが重要ではと考えました。

▼講義詳細
多摩美術大学が、誰もが参加できる“デザインの大学”を期間限定開校。50の新たなデザイン領域を知る、講義プログラム公開
東京ミッドタウン・デザインハブ第94回企画展「Tama Design University」12月1日(水)〜12月26日(日) 会期中は講義プログラムを毎日開催。聴講無料。

▼講義一覧HP

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■テーマ
カルチャーデザイン「愛される会社のデザインとは?」

昨年TCL でDay3以降たくさんお世話になって、いまはお仕事でもご一緒させてもらっている石川さんの講義です。とてもCharmingなお人柄です。

まず、石川さんの経歴や課題感、問い、いまどういう方向性で動いているのかのご紹介から。

様々な場所で働く中で違和感を感じ、社員が創造力を発揮しHappyに働けたり、会社のカルチャーを組織から変えていったりする、両方の側面からデザインが活用できるのではないか、と考えていまの会社をたちあげたそうです。

▼石川さんが立ち上げた会社 KESIKI

今の会社では、30年ぐらい先を見据えて、新たな会社の在り方を再定義をしようとしたり、「やさしさがめぐる経済」という新しい資本主義のありかたを目指しているとのことです。

世の中の課題

次に世の中の課題感のお話へ。

1.VUCA の時代 
今まで通りに仕事をこなしていてもつまらない
似たようなものになる 新しいものがでてこない
=働き方も線形思考から抜けないといけない

2.クリエイティビティの自覚の低さ(日本特有)
自分がクリエイティブな人間だと感じているか?
という割合が日本は非常に低い。(ex US 52%に対し、日本人は19%)

一方、世界では最もクリエイティブな国として36%の人が日本を一番にあげている=日本人自身が過小評価している 

上記の課題がある中、今なぜデザインが必要とされているかというと、

デザイン=見えない道を作り出すこと

デザインとは、違和感や問いをもとに形にしてみて、誰かが使っている状態までやってみること

とのことです。

答えが見えないからこそ、自分で切り開いていく、という思考が大切で、そのためのツールとしてデザインという思考を使う、ということなのかと思います。そのなかでやはり大事なのは、自分なりの「違和感」と「問い」。

違和感は、3日連続講義で出てきているキーワードですね!

やはり、日常のなかにあるちょっとした気づきを大切にして、それを自分なりに解釈して世の中に問うていく、実践していくプロセスが必要なのかと、今日も認識。

石川さんは下記、パワフルで大きめな問いを持っているそうです。

どのようにすれば、多くの人々がより主体的に思いやりと創造力を
発揮できる環境を提供することで、
多様な豊かさと生き方に溢れる社会を実現できるのだろう?

これを実現するには、非常に時間がかかる&忍耐力が必要で、イノベーションファーム、コンサルティングファームなどでは実現が難しいと思ったので、自身の会社をつくり実験中だとのこと。

実際に、KESIKIのパーパス(信じること)は、機能より思想。成長より循環。競争より共創、と掲げていらっしゃいます。

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愛される会社とは?

そして、愛される会社に必要な3つのポイントのご紹介。3つの円があって、その円をすべて満たす部分が、愛される会社、との定義です。

1. 社員に愛される=文化性
会社の思想と社員の思想が一致し、社員がイキイキ働いている状態

2. 顧客やパートナーに愛される=経済性
会社の思想にステークホルダーが共感し、共創できる状態

3. 地球に愛される=社会性
地球環境に配慮したサステイナブルなビジネスを展開できる状態

これらを置き換えると、文化性、経済性、社会性となる。

その中で文化性に着目している 経済性と社会性は持たねばならないので、
文化性でしか大きな差異がなくなってくるのではないかと思っている。

よって、カルチャーデザインをどうしていけばいいのかというところが、
愛される会社の肝になると思っている。

パタゴニアや無印は、社員が消費者以上に会社を愛している=文化性が軸になるとの話もありました。

KESIKIによる実験と実践

その後、KESIKIの事例紹介。詳細は、KESIKI Projects  

主に、事業継承と大企業教育プログラムへの落とし込み、社会人向けの授業を行っているとのこと。

1. CREATE  
デザインと経営の関係性を新たにし、愛される会社を創造する
ex)WOOD YOU LIKE COMPANY

2. TRANSFORM
個人と集団がパーパスに共感し、創造的であり続ける組織文化を育成する
ex)KOEL,NTT Communication
デザイン組織を立ち上げ。人間中心にインフラをデザインする

3. INFLUENCE
既存の資本主義経済をアップデートし、やさしさが巡る経済を探求し続ける
ex)特許庁 デザイン経営の推進,TCL

この、無垢の家具のお店、表参道にあるので見に行ったことがあるのですが、お値段はとっても高いですが、質感も細かなディテールもとっても素敵です。壁面収納とかも、美しくてずっと見ていたいぐらいです。

一度購入したら長年使いたい!と思う家具なので、いつかほしい・・!と思っています。

この会社の今後については、複数のブランドを有し、幅広い顧客層に「愛着がめぐる暮らし」を届けられる会社にして、事業継承に悩んでいる会社へメソッドの継承をしたいのだとか。

職人文化、日本文化の継承、とっても素敵です・・!

どのようにしたら愛される会社をデザインできるのか?

1. Powerful Questions
自分自身が放置していた違和感を明確にし、主観に変え、問いを立てる
パワフルな問いになりうる 

2.Mission,Vision&Beacon
愛される会社の特徴としてパーパス(主観・美意識・こだわり)やビジョン、ミッションが明確なことがあげられるが、その中でビーコンプロジェクトを明確にするということが大事。

3.Build to think
探求の旅に出ないといけない。そういった環境を作ってあげることが大事。

デザイン思考のアプローチ Interactive&Organic
有機的・繰返し・非連続的・ノンリニア

もやもや。拡散と収束をきちんと設計してあげることが大切。
もやもやがある環境を楽しいと思う環境をつくってあげることで、
やりがいのある愛される会社が作れるんじゃないかと思う。

次に、具体的な手法のお話を、順にご紹介いただきました。

ここでもKESIKIの事例が出て来て分かりやすかったです。先ほどの事業継承はビーコンプロジェクトの一つで、最終的には「やさしさ」がめぐる経済をつくりたい、と。そのためにいろいろ頑張っていると。
なので、いきなり経済性に振る!みたいなことは起こらないらしいです。

もやもやが通常にならないと苦しい時代になるとおっしゃっていましたが、TCL受講中、やっていることのゴールがどこに向かうのかわからず、ずっともやもやしていたのを思い出しました(笑)

曖昧さを抱きしめる、が受講仲間みんなのキーワードでした。

愛される会社とは、自分たちらしさをもってつくることができているとのことなので、わたしも自社のカルチャーを愛し、仲間を信じて、頑張っていけるところで働いていきたい、と思います。

最後に 

1. 経済性
持続性、企業利益、株主

2. 文化性
オリジナリティ、驚きや喜びの提供、美や質の提供、
ブレない軸(ストーリー)

3. 社会性
社会的価値(パーパス/三方よし)、倫理性(自律的判断)、
働く喜びのある組織、透明性

今日お話いただいたことを、違う経済性・文化性・社会性の円(切り口)でご紹介いただきました。

そして、仕事というものを、業務・作業といったものではなくて、意味深くて創造性にあふれるものにしていけたらと思う。との締めくくりでした。


■所感
TCLで学んだ時期からしばらく時間がたち、改めてまとまって体系的にお話を聞くことができ、そうか!と腹落ちすることが多かったです。(やっと消化不良からきちんと理解できる段階になったのかもしれません)

3つの円も様々な切り口、考え方があるので、改めて会社や自分の仕事の立ち位置なども見つめ直してみようと思いました。

また、わたしは今働いている会社が好きで(会社そのものというよりも、一緒に働いている人達とか、会社から出てくるサービスとか商品が好きという意味)、だからこそ働くモチベーションがあると思います。

一時期、会社が経営的にもカルチャー的にもすごく不調な時期があって、周りのいろんな人から転職しないの?と会うたびに言われたことがありました。

そんなときに、なぜ今の会社に残ったかというと、いまは経営状況が悪いけれど、働いている人は性格的にまじめでいい人達が多い。だから、経営層や事業の方向性が変われば、きっとまた好調な時期に戻れると思うから、いまはその時期を信じて、自分ができること・会社に貢献できることをコツコツやろう、と決めたからでした。

そんなことを思い出したカルチャーデザインの講義でした。

石川さん、ありがとうございました~!

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