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多摩デザイン大学「仕組みデザイン」 松島 靖朗さん 福井 良應さん

昨年通った多摩美術大学が、期間限定「多摩デザイン大学 / Tama Design University」を開校しているので、受講しています。

この問いを頭に置きつつ、学んでいこうと思います。

「我々は新しい世界をどうデザインできるのか?」

我々は今、環境をはじめとした様々な課題や、テクノロジーによる急減な変化と向き合っています。その状況の中でどうデザインするかの前に、何をデザインしていくべきなのかを問い直していくことが重要ではと考えました。

▼講義詳細
多摩美術大学が、誰もが参加できる“デザインの大学”を期間限定開校。50の新たなデザイン領域を知る、講義プログラム公開
東京ミッドタウン・デザインハブ第94回企画展「Tama Design University」12月1日(水)〜12月26日(日) 会期中は講義プログラムを毎日開催。聴講無料。


▼講義一覧HP


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■テーマ
仕組みデザイン「社会活動のデザインとは?」

ひとつ前の秋元さんの講義でも触れられていた、おてらおやつクラブの事例紹介です。活動を推進されているお坊さんお二人が、NTTデータと博報堂出身ということで、お二人の経験が存分に活かされた仕組みなのだと感じました。

おてらおやつクラブのご紹介

おてらおやつクラブは、お寺の余りがちなおそなえものを、貧困家庭におすそわけする、という双方にとってメリットのある活動とのこと。

現在、

支援活動 47都道府県
参加寺院 1,727ヵ寺
支援団体 568団体
こども数 21,000人(のべ) 

にまで広がる大きな活動となっていて、お菓子だけでなく、お米、野菜、マスクなど様々なおすそわけがされているそうです。

主に母子家庭向けで、対象者の生活水準や子供の人数、受け取った方からの実際のお声などいろいろご紹介いただきました。

直接支援対象世帯も2019年→2020年にかけて大きく増加しているそうです。

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2020年度インパクトレポートより

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2021年8月直接支援家庭向け調査報告書より

現在は、主食となる「おこめ」を連日・即日で優先的に配慮して送るようにしているそう。

また、支援世帯が増えることによって生じていたおすそわけの下記課題を

1. お母さんのメアドエラー
2. 発送業務の増大・複雑化
3. 個人情報に配慮

メール→LINE連絡に変更、メルカリから匿名配送などITプラットフォームと連動することによって、地域寺院からの配送や、事務局負荷も軽減しながら推進しているとのこと。

最近は、支援させてくれてありがとう、という声も届くようになっているようです。

0→1から1→100の活動へ

松島さんの活動を立ち上げた部分が0→1だとすると、1→100の広げていく部分を、博報堂出身の福井さんが担ったそうです。

どういう風に行ったかというと、
僧侶による慈悲の実践活動

非営利組織によるソーシャルデザイン活動

と見立ての変更をすることによって、2018年度のグッドデザイン大賞を受賞し、中国、台湾など海外からも注目を集めることに成功したようです。

また、寄付収入の割合やコンプライアンスなど厳正な基準を満たす必要がある認定NPO法人を取得することによって(認定は全NPOの2%)、多くの人に分かりやすくリターンがある、ふるさと納税を実施することができる、などのメリットを享受するようにしたそうです。

認定NPO法人は、政教分離が前提だそうで、取得する時点で仏教普及の意図を手放したとのこと。

また、フローの活動は見えにくいので、送った件数だけでなく、総重量やイベントの回数など、様々な活動内容を可視化していくことも重要だとおっしゃっていました。

今後

おてらおやつクラブのパーパスは、
たよってうれしい、たよられてうれしい。

であり、力になりたいと思う人々の利他心(他人を想う心)の善意の受け皿で「助けて」と「助けたい」をつなぐプラットフォームへ、今後なっていきたいとのことでした。


■所感
とても心温まる事例でした。単純な仕組みの構築だけでなく、人の感情に配慮したり、ホームページのUXが分かりやすく洗練されていたり、新しい寄付のあり方をトライしてたり、インパクトレポートや実態調査など詳細に実態を開示していたり、素晴らしいの一言です。

改めて、デザインの活用先は多岐にわたると感じました。


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