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実は子どもより大人の方がわかってない!?メディア情報リテラシー

メディア情報リテラシーを広めるための活動をしている、と教育関係者に言うと、「子どもはよくわかっていないから大切ですよね」と言われることがあります。
でも打合せをしたり、実際に学校で子ども向けに授業をさせていただくと、「私も知らなかったことがたくさんあって勉強になりました」と大人から言っていただくことも多いです。実は大人もよくわかっていない、それがメディア情報リテラシーなのだと思います。
それはインターネットの発達によって、大人が子どもの時にはなかった情報収集経路ができたことや、大人がこのことについて学ぶ機会がなく、日々「なんとなく使用している」からなのだと思います。


日本人は他国の人よりメディア情報リテラシーについて知らない

総務省が出している「情報通信白書 令和5年度版」に興味深いデータがあります。

情報通信白書 令和5年度版 P35

「検索結果やSNS等で表示される情報がパーソナライズされていることへの認識の有無」という項目では、日本人は他国(米国・ドイツ・中国)の方と比べて断トツで知っている人が少ないという結果になっています。また、「サービスの提供側がみてほしいアカウントやコンテンツが提示される場合があることへの認識の有無」も同様に断トツの最下位という結果でした。
これは私が実際に色いろな方とお話しをする中で感じている通りの結果ですが、こうして数値化され他国との差を見ると非常に残念な結果だと感じます。

実は子どもより大人の方が分かっていない

また、同じ調査の「SNS等で自分の考え方に近い意見や情報が表示されやすいことに対する認識の有無」の項目では、上記で挙げた2項目同様に日本は圧倒的に認識している人が少ないことがわかります。でもその中でも興味深いのは、日本人の年齢別の結果です。調査結果によると、調査対象の一番若い年齢層である20代が一番認識しており、年齢層が上がるごとに認識している割合が少なくなっていることがわかります。つまり「大人」の方が認識していないのです。

情報通信白書 令和5年度版 P36

もしかしたら、「たまたま」この項目について大人が認識していないだけなのではないか、と思われるかもしれませんが、これは基礎中の基礎の項目なので、これを認識していないとすると、これ以外のことを認識していると考えることは難しいと思われます。

なぜ大人は認識していないのか

ではなぜ大人は認識していないのでしょうか。それは単に学ぶ機会も考える機会もないからだと推察します。
内閣府の「令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」の内容で興味深い項目がありました。この調査は「メディア情報リテラシー」についてではなく「情報モラル」に関する調査ではありますが、「情報モラル」での結果は「メディア情報リテラシー」と置き換えても似た結果になる可能性が高いのではないかと思います。(特に学校現場では「情報モラル」と「メディア情報リテラシー」がセットで語られることが多いです)。

まず、小学生から高校生の保護者(3,276人)の中で「青少年に不適切なサイト(出会い系サイトやアダルトサイトなど)やネットいじめの問題など、インターネットの危険性について、これまで説明を受けたり学んだりしたことがありますか」の回答の中で、「説明を受けたり学んだりしたことがある」が74.4%でした。

令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 P180

「説明を受けたり学んだりしたことがある」74.4%の人の中で、「説明を受けたり学んだりした機会として、あてはまるものをすべて選択」の結果が以下の通りです。上位2項目は学校から提供される受動的な情報であることがわかります。

令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 P182

つまり、大人である保護者は学校からの情報提供がないと、この分野の情報には接することが少ないということも言えるでしょう。これは「メディア情報リテラシー」の分野も同じではないかと思います。
そして私の感覚では、「情報モラル」についての指導をしている学校は多くても、「メディア情報リテラシー」について授業などで取り組んだり、保護者に対してアプローチをしている学校は限られている印象があります。これも「メディア情報リテラシー」の認知が拡がらない原因の一つではないかと考えます。このことから、学校が率先して生徒へはもちろんのこと、保護者へもお伝えする意義が大きいと考えます。

問題は認識しないと問題にならないのが問題だ

私は大人がメディア情報リテラシーについて認識していないことを責めるつもりは全くありません。それはある意味で仕方のないことのようにも思います。なんとなくインターネットを使用していて、大きなトラブルに巻き込まれない限りは、特にインターネットの仕組みや情報について考えることはしないでしょうし、誰かと話題にすることもないと想像できるからです。

そもそも、このような社会全体の人に影響する事象や問題は、インターネット普及以前であれば、ふとした時に新聞、雑誌、テレビなどを通じて認識する機会があったように思います。しかし現在は、インターネットでパーソナライズ化された情報ばかりを取得しています。そうすると、問題に触れ認識するタイミングがありません。問題を認識していないので、インターネットで検索をすることもないでしょう。もし仮に検索しようとしても検索ワードが思い浮かばないかもしれません。
そして大変皮肉なことに、これこそが調査の設問になっていた「検索結果やSNS等で表示される情報がパーソナライズされていることへの認識の有無」の回答結果に繋がってくるのです。

ではどうしたら良いのか。それは学ぶ必要性を知っている人が機会を設けて伝えていくしかありません。

弊社インフォハントでは、小学1年生から、リタイアした高齢の方まで幅広くメディア情報リテラシーをお伝えする授業・ワークショップ・講演を行っています。この統計を確認したことで、ますます幅広い年齢の方にお伝えする意義を感じています。気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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