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三龍戦騎RPG復刻リプレイ 第11話「激突! アガニの海洋都市」第1章

 銀河の彼方にある惑星アマミツヨ。そこでは、恐竜、獣人、機械生物などが地球人の子孫と共存していた。七大種属の共和のため、少年少女「ウツロヒ」は、乗騎「トモガミ」とともに冒険の旅に出る。
 ーー君よ、トモガミの声を聞け。

激突! アガニの海洋都市


 GM・脚本 清水三毛

 2005年9月24日、某所公民館にて遊戯。
 参加者は、清水三毛のほか、K氏、W氏、L氏。なおこのときの遊戯規則は、三龍戦騎RPG試製三ニ型ルールブックではなく、旧版によっている。

【序】


 夜の海は、退屈なものだ。

 当直の若いダガンは、代わり映えのしない電探画像をぼんやりと眺めながら、爬虫人類特有の硬質の顎から、吐息をもらした。
 すりきれた作業衣からのぞく背の棘列も、心なしか、退屈さにしおれているようだ。

 分厚い「第七○○回萌芽祭」目録の頁を繰りながら、形ばかりの定時報告をいれる。萌芽祭は、好き者のダガンたちが、自作の同人誌をもちよって開催する催しである。

「ダルゴダ城(ぐすく)より送信す。二三○○、定時連絡。掘削機構、機関部、司令塔、居住区、全区画異常なし。陸の連中、聞いておるか? 此度の萌芽祭は、東・の・八○あたりが注目株と思われる。良い天魂をそろえていそうなり。以上、送信終了」

 陸上の同僚が応じた。

『海洋調査局、受信せり。萌芽祭にうつつを抜かすも良いが、任期切れまで、給料分きちっと勤め上げられたし。以上』

 電子機器がならぶ制御卓には、もううんざりだった。窓に目をやると、凪いだ底鉄海の水平線が広がっている。
 微かに鋼鉄の櫓がきしむ音が波音にまぎれている。墨を流したような洋上に、〈崩月〉が幾つかの銀の光道を投げかけていた。

 ガルナス帝國レンガルナ沖に、その海上基地は在った。ガルナス帝國海底開発の最先端を行く、洋上科学基地である。この海域は、さして船舶の往来もないし、科学者たちもこの時間は床についている。当直係官が退屈するのも無理はなかった。

 少し、眠っていたようだった。職務規定には反するが、技術屋の多いこの職場では、誰も堅苦しいことは言わない。夜間当直では特にそうだった。以前など、私用の天魂をもちこみ、夜通し戯れていたダガンも居たほどだ。もっとも、その男は流石に更迭されたらしいが。

 電探画像の端に、光点が映った。鱗に覆われた瞼をなかば閉じながら、ダガンはそれを見た。

 電子装置の故障ではないようだ。

 光点は一直線に、この海上基地を目指している。すぐに大きくなっていき、画像の半分を覆うほどになってもまだ、拡大をつづけた。

 同僚を無線電話で叩き起こし、画像を確認させる。にわかに司令室は慌しくなった。

「こやつ何ものぞ。ファーグニル戦艦にしても大に過ぎるなり」

「信じられぬ、この反射像から察するに、島ほどもありそうじゃ。警告無線! 共通周波数で呼びかけよ! 霧笛鳴らせ!」

「探照灯、照射! 発光信号も使え!」

 監視塔から放たれた探照灯の光束が、接近してくる物体を捉えた。そう遠くない海上で、探照灯が照らし出した物体はしかし、あまりに巨大で、その全体像すら把握できない。丸い光の像がその表面に浮かび上がったのみだ。

 誰かが非常配置の釦を押した。警報とともに、赤色警告灯が司令室に輝く。

「接近物体より応答なし! 進路、変更なし! 完全に衝突針路であるぞ!」

「なんとしたことぞ。局長に緊急連絡、総員離城の許可を申請――」

 当直ダガンは、ふたたび窓の外を見、絶句。

 探照灯の光束が交錯する中、水平線ばかりか、視野そのものをうめつくすようにして、巨大で、黒々とした何かが、急速に膨れ上がっている。それは夜空までも覆いつくし、〈崩月〉をも呑みこんだ。救命艇を出しても、もう間にあわないことを、彼は悟った。

 白波を吹き上げ、物体は、ガルナスの洋上基地を踏み潰した。

 通信塔の鉄骨が吹き飛び、居住区の支柱が次々にへし折れ、鋼鉄製の頑丈な基地全体が、飴細工のようにひしゃげ、火花を散らし、爆発の火炎柱を天空に突き上げた。瞬時に残骸と化した基地は、物体の下に消え、波間に沈む。

 静かな夜の海が戻った。

 そこにはもう、ダガンたちの声は無い。


 

三龍戦騎RPGリプレイ第11話 激突! アガニの海洋都市


【登場人物(PC)】


 ランコ(通称)
 本名は***(表記できない超音波言語)ソ・セレレ。おなじみ、カワアガニの見習い商人の少女。
 肉体派で、トモガミも頑丈なので近距離戦闘が得意である。単純な性格で、日用品を売りつけようとしていつも失敗する。パワーパフガールズに例えるならバターカップ的立ち位置。
 前回レベル2に成長、キズナを2に。タッキオオワニ(古代鰐。サルコスクス)の「紅珊瑚」に騎乗する。遊戯者はW氏。

 綺羅シュンカ
 おなじみ、アラガミ師の少女。短気で不器用。重傷者を人工呼吸しようとして軽く殺してしまうほど不器用。パワパフに例えるならバターカップ的立ち位置。あれバターカップが二人……。
 この時点でレベル4。ヒメテイリュウ(ナノティラヌス)の「戦火」に騎乗する見習い軍人。遊戯者はL氏。

 藤原恋秘歌
 ふじわらのれんひか。おなじみ、上品だけど同人趣味のある天魂。トモガミは「雪華」種。
 今回、レベル4に成長。交渉が得意。「政治屋」「養蜂」技能(趣味技能)を取ったりした。直接的な戦闘能力が低いあたりバブルス的といえるであろう。遊戯者はK氏。(なお、成長ルールは旧版によっているため、試製三ニ型ルールとは異なる)

 

夕焼けのタッキリュウ(バリオニクス) 画:清水三毛 本編とは無関係です


【場面1:依頼】



GM では、セッションをはじめよう。
 生活費は……まぁ前回から一週間ぐらいたったということで、5万リン減らしておいてね。
 ええと、恋秘歌って、直接、アカマツ百騎長に会ったことはないんだよね。じゃあ、キヨミさんの縁かなにかで、アカマツ百騎長からの仕事をうけることになるのかな。ともあれ、平日は、みんな帝国軍で働いている、ということにしておこう。

ランコ ランコは商人なのに……。

アカマツ百騎長/GM 「ガルナス・ダガンから、ちょっとした調査の依頼が来ています。行ってくれませんか?」

恋秘歌 ガルナスかー。天魂に群がってきますね(笑)。

GM いやそれは保護欲のあらわれであって、そんな変態みたいに言わないでよ(笑)。

アカマツ/GM 「ところでシュンカさん。先日の、レンガ海域での発掘戦艦騒動ですけどね! ガルナス帝國から報告が来てますよ~。メイの戦略兵器を復活させちゃったそうですね。ああいうことを勝手にされると困るんですよ! わが国の政治的立場というものがありますからね!」

シュンカ げっ。前回の蘇龍戦艦〈玄武〉の騒動がバレてる!?
「あ、あれは依頼だったもので、その……」

 交渉判定でごまかすシュンカだが。

シュンカ あっ、判定失敗。

アカマツ/GM 「罰として減給です」給料が-5万リンされる(笑)。

シュンカ 「ひいいい~」

アカマツ/GM 「ウツロヒ宿の仕事は怪しげな依頼もあるので、注意しなきゃね」

ランコ 「ところで、今回の任務は報酬おいくらで?」

アカマツ/GM 「それは先方にでも聞いてください(笑)。レンガルナ領主じきじきの依頼だったので、断りきれなかったんです(笑)。わたしの一存で、ガルナス帝国との関係を悪くするわけにはいきませんし。あ、ぶっちゃけこれは命令なんで、拒否できませんよ♪」

恋秘歌 報酬を現地にいってから交渉するなんて……。

シュンカ 「ああ、あの人か。ダル・ゴラス領主だったかな。クイナがあの領主に龍魂術をかけたら、それがバレて、営倉にぶちこまれたんだよね(笑)」

ランコ 「よく生きて帰りよったなー」

アカマツ/GM 「ランコさんも、ガルナス帝国の領主とコネができるなら、今後の商売に好都合でしょう。がんばってください。領主様とコネができるなんて、良いことですよ」

ランコ 「アカマツはんの言うとおりや! 行くでー!」(拒否する交渉判定に失敗した)

シュンカ 「うーん。あんな戦略兵器を掘り起こしたのは、各国との軍事均衡上、まずかったかなあ」

GM/アカマツ 「ファーグニル側にも何らかの反応を引き起こすかもしれませんね」

シュンカ 「われながら、なんて凄いモノを掘り起こしてしまったんだッ!」

GM そんな潮干狩りみたいなノリで軽く言うな(笑)。

ランコ クイナはんが今ここにおらんのは、もしや営倉に入れられとるせいちゃうか?(笑)

GM/アカマツ 「あ、ところで、ガルナス・メイから招待状が来ていますよ。レグ……なんとか・レアさんからです。
『このたび、わたくし、蘇龍戦艦の艦長に任命されました。〈玄武〉の修復も完了し、公開試射を行いますので、お世話になった皆さんをご招待いたしたく存じます』」

シュンカ 「それは名誉なことだな!」あのときの依頼者のガルナス・メイか。玄武の持ち主ではないか。

GM しかし、よくよく手紙を読むと……あの蘇龍戦艦〈玄武〉は、ガルナス帝国の圧力を受けたらしく、ダガンの支配地域であるレンガルナ市の防衛用に配備されてしまったようだ。レアもそこに居る。

シュンカ 「なるほど、あそこはファーグニルもほど近い海域だしな。レア殿も苦労されているようだ。こうなれば行かねばなるまいな」

ランコ ランコは余裕で丸め込まれているので、ついていきます。「アカマツさーん、紅珊瑚のエサを支給してくれると嬉しいんやけど?」

GM 恐竜や古代ワニのトモガミは、基本的に出撃する前に、駐屯地で食いだめさせていく形になる。必要経費は出してくれるしね。

恋秘歌 それにしても、なんとなく心配ですね……。

 このあと開幕のキズナ判定。各自に武魂1点がたまった。一同は、普通に、トモガミとともにシンテツ貨物船に乗り、目的海域を目指すのであった。

場面1 おわり

【場面2:船上】


GM レンガルナ海域まで、船で三日といったところだね。

ランコ 船に同乗している乗客に、品物を売りつけてみようかいな。うちは商売のことしか考えてないんや。

GM 知性、魅力、どちらで販売交渉の判定をするかな?

ランコ 僅かでも値が高い魅力に決まってるやん。魅力2だ、いえーい(笑)。ランコちゃんの魅力にめろめろになりや! ……あ、判定失敗(笑)。

乗客1/GM 「なんか、変なカワアガニ娘がいますねー」

乗客2/GM 「いやぁ困ったものです。サカナは海で泳いでろってかんじですなあ」

乗客3/GM 「ここの酒保(しゅほ)のほうが品揃えがいいですなぁ~」

ランコ 「な、なんやなんや! うちも生活がかかってるんや、買うてやー!」

シュンカ ……他人のフリをしよう(笑)。


場面2 おわり

【場面3:レンガルナ市】



GM レンガルナ市に到着したので、君らは、トモガミとともに、船を降りる。
 レンガルナは海辺にあるガルナス帝国の街で、やや中華風というかタイ風というか、原色のごてごてした木造の塔などが林立している。賑やかな街だ。天魂をはべらせた爬虫人類が歩いていたりする。シュンカは一週間ほど前に来たばかりだが。

シュンカ 「前回は予約ナシで領主に会いに行ったから大変だったな(笑)」(「ぼくの発掘戦艦」参照)


 一同は、依頼者であるという領主に会いに行く。ダル・ゴラスというダガンである。


GM シュンカはこの前も来たね。大きな屋敷で、中では天魂がたくさん侍従を務めている。

ランコ あちこちの廊下に、天魂球が浮遊しとるわー。

ダル・ゴラス領主/GM 例の、屈強な老ダガンが、謁見の間に現れる。豪華なダガン装束をまとっている。
「おう、久しぶりだな綺羅シュンカ殿。君たちがガルナス・メイの戦略兵器を復活させてくれたおかげで、色々と不都合でな。困るのだよ」

シュンカ 「そのようなことはない! まあ、メイの依頼を受けたのは事実だが!」

ゴラス/GM 「おや、そちらの天魂殿は、我が屋敷で働きたいのかね!?(ハァハァ)」

シュンカ 「ゴラス殿、落ち着いていただきたい! それにそもそも、先の行動は、領主殿の許可をいただいてのことだったのだからな」

ゴラス/GM 「むう、そうであったな……ふむ、まあいい。まずは、昼餉など召し上がっていただこうか」
 豪華なダガン料理が、巨大な机に並べられる。辛そうだが美味しそうだ。

シュンカ やっぱり、箸で食べてるんだろうな。

ランコ 手づかみで食べてよーっと。


カワアガニ少女、ビノカッチャ(三龍戦騎まんが版に登場する)


GM 品のないカワアガニに、周りはひそかにドン引き(笑)。

シュンカ シュンカとしては、もう注意はしないことにしよう。

恋秘歌 美味しい。料理法を教えてもらわなきゃ。

 ほどなくして、ゴラス領主は、本題を切り出した。

ゴラス/GM 「ここの沖合いに、ガルガル城(ぐすく)という海上実験都市があってな……」
 大きさはおよそ3キロメートル四方(訳)。ガルナス帝國による海上調査を行っている。ガルナス帝國の海上植民計画の要となる、重要な施設だ。いちおう行政組織法上、レンガルナ市に属していることになっているため、ガルガル城での揉め事は、ゴラス領主の管轄となっているらしい。
「……その、ガルガル城で、近頃、ウミアガニとおもわれる海賊による襲撃が相次いでおってな。ちょっとばかり、その海賊どもをこらしめてやってほしいのだ」

シュンカ 「それは、〈玄武〉の一件とは関係ないのか?」

ゴラス/GM 「うむ、そう思うがな。まあ、〈玄武〉については、わしの職権で、この街の防衛用に実戦配備させたわけだが。目の届くところに置いておかないと不安だ。メイどもにあんな兵器を自由に扱われては、色々と不都合だからな」

シュンカ そうだろうな。

ゴラス/GM 「目撃情報によると、ウミアガニ海賊の勢力はほんの数人ていどらしい。しかし、すでに三つもの海上基地が撃沈されておってな……」

ランコ・恋秘歌 げ、撃沈っっ!?

ゴラス/GM 「撃沈されたダルゴダ城やリュグ・ダンバ城は、50メートル(訳)程度の小型の実験都市だったんだがな。ウミアガニは龍化することもあるし……」

シュンカ まだガルナス語の単位は設定されてないらしい(笑)。

ゴラス/GM いやこれは分かりやすくするためわざわざ訳してあげているのさ(笑)。
「しかし、この帝國直轄領である海域で、海賊が狼藉をはたらくことは今までなかったのだ。背後関係も含め、調査してほしい」

シュンカ 「ほんとに〈玄武〉の復活とは関係ないのかな?」

恋秘歌 「貴方が悪いのですー!(笑)」

シュンカ 「そうか原因はわたしだったのか!! ならばここで腹を切ろう!」

ランコ ところで、カワアガニとウミアガニは仲が悪いのかな?

GM 商業的な流通はけっこうあるんだけどね。ウミアガニから見れば、「川の連中め、陸上人類に迎合しおってからに」という視点で見られ軽蔑されているフシはあるらしい。
 しかし、言葉すら余り通じない陸上人種に比べれば、カワアガニは、かなりウミアガニと意思疎通できる。


カワアガニ属。龍化能力をもつ者をマブイモチと呼ぶ。カワアガニのマブイモチは、蛟鮫女(こうこうめ)と呼ばれる。


シュンカ ウミアガニも共榮圏では普通に人権が認められてるから、いきなり撃ち殺すわけにもいかないよな。

GM そうだね。そもそも、これだけ多種多様な種属がいる星なので、外見だけで「バケモノ」だと即断して攻撃したりするのは、とてもマズイ。

ランコ ガルナス帝國なんだから、強い竜撃士に戦わせるわけにはいかないの?

GM 竜撃士というのは支配階級の戦士で、そう数が多いわけじゃないから。相手が相手だけに、ただ小銃なんかで武装しただけの普通のダガンよりは、ウツロヒでもアラガミ師をぶつけたほうがいいんだろう。
 それと、費用対効果の面でも、ウツロヒに処理させたほうが良いだろう、という配慮が働いているっぽい。

ゴラス/GM 「襲撃はたいてい夜だ。それでじゃな、ガルガル城には、人工の礁湖(イノー)があってな。人工礁湖というのは要するに、珊瑚礁に囲まれた遠浅の人工砂浜だ。海水浴もできる。おそらくそこが狙われるだろうから、その礁湖の警戒にあたってほしいのだ」

シュンカ 「ほう。すると領主どのは、その砂浜で多数の天魂(幼女型)をはべらせておるというわけか。なかなか領主どのも好きだなあ(笑)」

ゴラス/GM 「オイ衛兵。チョットこの無礼なアラガミ師を営倉にブチこんでおいてくれ。」

シュンカ 「なな何故だーー!? 私は何も悪いことは言っていないーー!!」

ゴラス/GM 「ま、それは戯言だが。ガルガル城には、ダドン・ゴゴ城主がいるから、彼に話を聞くがよい。彼の天魂道楽はちと病的だから、わしは深く関わりたくないンだがな(笑)」

恋秘歌 「ええーっ、そんな人に会うんですか? 不安ですね」

ランコ 「そのダドン・ゴゴ城主とかいうダガン、その趣味のせいで左遷されて海の上に飛ばされたんちゃうか(汗)。恋秘歌ちゃんも気をつけないと危ないで~」

シュンカ 「恋秘歌どの。自分の身は自分で守るのだぞ」

恋秘歌 「いや出来れば守ってほしいんですが!!」

シュンカ 「それにしても、領主どのが、病的な天魂道楽と言うからには、かなりのモノだな」

ゴラス/GM 「何か言ったかねキミ!?」


ランコさん


ランコ 「あ、ちょっとこの料理、〈紅珊瑚〉のお土産に包んでもらえんか?」

ゴラス/GM 眉をひそめて、「おい給仕、何かつつんでやってくれ」

天魂/GM 「わかりまちた」


天魂の端末人形、天精花(ラフ)


シュンカ 「それにしても、水中戦闘が予想されるが、戦力の全てをランコ殿だけに頼るというのは不安だな。そういえば、報酬は?」

ゴラス/GM 「ひとり20万リンでどうだ?」

シュンカ 「なに、ひとり200万だと!?」

ゴラス/GM 「20万!!」値上げするなら交渉判定だなー。

 シュンカは、交渉判定をして大成功。報酬を50万リンまで値上げしてもらった。

GM そうだ、ガルガル城に行く前に、「玄武」の公開試射実験にも招待されてたんだったな。時間のつごうで、まずはそちらからかな。


場面3 おわり

【場面4:玄武】



GM 改めてみると、巨大な蘇龍戦艦だ。レンガルナの港に接舷している。およそ300メートルもの四脚亀型蘇龍機で、長大な首と、入り組んだ艦上構造物、連装砲塔がはるか頭上に突き出しているのが、市内からでも見えるほどだ。港に行くと、山のように聳えてみえる。

シュンカ 「見ろ二人とも。あれが、先日わたしが掘り出したモノだ。あれをわたしが動かしたんだぞお(笑)」(「ぼくの発掘戦艦」参照)

GM 岸壁に行くと、ダガンやメイの群集が集まっていて賑やかだ。ひよひよ、ひよひよと、メイの群れがなにやら物資の積み込み作業をしている。

シュンカ 「あの中にレア殿がいるのかな。わからんな、どれも同じに見える(笑)」

GM 特別に君らは、〈玄武〉の艦橋に招待された。レアが君たちを出迎える。
「ひよひよ、あのときはお世話になったヒヨ。どうですか綺羅シュンカさんは、特別に、甲板の上で主砲発射を見学されては? まあ爆風で死にますが(藁)」

シュンカ 「ファーグニルに撃ちこんでやれ!」

レア/GM 「んー、戦略級の蘇龍戦艦を起動して、ついにこうして試射実験まで行える。われながら、大した手柄だナァ~~。あほなアラガミ師とかをうまく使って、われながら見事な腕だったひよ」

シュンカ 「ななんだとー! そこになおれ、この骨ガラ生物がッ!!」

GM 艦橋だけでも、甲板から10階建てビルぐらいの高さがある。第一主砲塔、第二主砲塔を見下ろす位置なので、よく見える。
「主砲、射撃用意ー!」
 砲塔が、ゆっくりと沖合いに向けて旋回していき……「撃ち方はじめ!」
 砲撃判定は成功。無事、主砲が斉射される。
 すさまじい閃光と衝撃で、一瞬、艦橋が真っ白な光に満たされる。数十秒後、巨大な水柱が水平線の向こうに立ち並ぶ。

ランコ 「はあ、すごいもんやな~」

レア/GM 「どうです、今では使いどころのない、この46サンチ砲!」(笑)

シュンカ 「うむ、やはり大艦巨砲は良いナァ! この迫力がな!」

レア/GM 「本当の主砲は熱核流撃砲で、いま撃ったほうは電子妨害下で接近戦に使う副砲なんですけどね」
 (注:副砲は無誘導の火砲なので、ミサイルとは異なり、電子妨害の影響を受けない)

ランコ 熱核って……凄いやん……。

レア/GM 「亜光速まで加速した重金属粒子を目標に叩きつけ、熱核爆発を生じさせるという、素晴らしい主砲なのですよ、ひよひよ。しかしこれは、領主様の許可がないと射撃できないんですよ」

シュンカ 「なんだ、それはつまらんな!」

恋秘歌 「それは危険ですって(笑)。ところで招待客はどのような?」

GM 招待客は、ダガンとの政治関係に配慮してか、やはりダガンの将官なんかが多い。勲章をいっぱい下げた屈強な爬虫人類が、肩に天精花をちょこんと乗せてたりするわけだ。
「これはなかなかの火力ですナ」「やはりメイに与えるのは勿体無い」等とヒソヒソ。

ランコ その会話内容だけなら真面目なのに、肩に天精花を乗せてるのがなあ。


場面4 おわり

【場面5:ガルガル城】



GM 見学も終わり、君たちは、海上実験都市・ガルガル城(ぐすく)へ向かう。着いたころは夕刻になっている。
 大きさは三キロ四方もある。巨大な、海にうかぶ研究施設だ。ところどころ中華風な木造の装飾が施されている。乗組員ダガンは、2,000人もいるらしい。ガルナスは、科学力が進んでいるようだね。

三龍共榮圏の海(イメージ)


 司令室に行くと、ここの城主ダドン・ゴゴが君らを出迎える。若いダガン青年で、背中のトゲなんかも鋭い。そして……その部屋には、あちこちに瓶詰めにされた天魂が(笑)。

恋秘歌 ひいい。

ゴゴ/GM 「おお、はじめまして。この天精花たちは、天魂たちが使い終わったものをもらいうけたもので、決して違法なものではないよ。ハァハァ……」

ランコ なんか言い訳っぽいんですけどー!!

シュンカ 見かけがかなり違法っぽいのだがーー!!

ゴゴ/GM 「おおそちらの方が恋秘歌さんですか。領主殿からお話はお伺いしておりますよハァハァ」

ランコ ハァハァやめれ。

恋秘歌 「あの、三騎長は綺羅シュンカ様なので、お話はそちらとしてくださいっ」

GM ゴゴから話を聞くと、目新しいことはない。ただ、彼が無能っぽいことが分かっただけだった。
「海賊どもが襲ってくる目的? そんなの、ただ破壊するだけに決まってるじゃないですか。アガニなんて、しょせんは、馬鹿でアホで粗野で……」

ランコ 「なんやとーー! うちのどこがアホなんやーー!!」

シュンカ 「まあそこは否定できないが。」

ランコ 「三騎長ー!?」

ゴゴ/GM 「特に何かを奪われているわけではないが、既に我々の実験櫓が三基も撃沈されているから、それなりの対応が必要かと思いましてね。費用の安いウツロヒのアラガミ師を……おっと、これは失敬」

恋秘歌 破壊方法は?

ゴゴ/GM 「夜半に大型のトモガミをともなって現れ、力任せに施設を破壊していきます。何かを探しているのかもしれません。じゃあ、さっそく君たちは現場であるイノー(礁湖)の警備にあたってもらい、恋秘歌さんはわたしの手元にどうぞハァハァ」

ランコ 「あかんあかん!」

GM そうだ、環境が変わったから、白亜紀前期・海洋でキズナ判定してね。

 恋秘歌だけが判定に成功し、武魂1点を取得。
 ランコのトモガミ〈紅珊瑚〉は、キズナ判定に失敗し、何故か暴走。となりにいた恋秘歌を10メートルばかり吹き飛ばして、気絶させた。

 などと、ひと騒動あったが、とりあえずシュンカたちは、襲撃が予想されるという人工礁湖で警備にあたることとなった。


つづく

 

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