三龍戦騎RPG復刻リプレイ 第11話「激突! アガニの海洋都市」第2章
ガルナス帝国領海で、海上基地が次々に撃沈される怪事件が頻発していた。調査のため派遣されたシュンカやランコらは、癖の強いガルナス・ダガン城主と面会し、海上基地におもむいて情報収集を開始するが……。
【場面6:渚にて】
GM 夕刻。君たちは、海上都市にある人工礁湖に移動した。こじんまりした綺麗な砂浜で、遠浅の渚が広がっている。
海水浴客もちらほら見かけられる。ダガンが多いようだ。沖合いをみると、海岸をかこむようにして、弧状の珊瑚礁がひろがっている。
シュンカ 「泳ぐとするか。幸い、水着はもってきているしな」でも、この世界の水着ってどんなものだろう?
GM 布でも巻いてるのかなあ。民族衣装っぽい水着ってことにしておくか。全裸だと絵にするとき困るし(笑)。
ランコ 「海なんてこのまま飛び込めばええやん。三騎長、いっしょに入るでー!」紅珊瑚といっしょに飛び込んでいます。
海水浴客/GM 「あっサカナ?」「魚だ」と、まわりのダガンが言う(笑)。
恋秘歌 じゃあ、私は、〈紅珊瑚〉に縄でもつけて、後ろにくっついて泳ごう。
海水浴客/GM 「大変だ、大鰐に小さき者がさらわれたぞ!」「助けるんだ!」勘違いしたダガンが、わらわら寄って来る(笑)。
などと騒いでいるうちに、夜となった。
海水浴客は去り、礁湖には、潮騒と南洋の風だけが残る。
夜光虫の蒼白い光粒が渚に打ち上げられるのを眺めながら、一同は、恋秘歌が野戦調理の腕を振るった焼き魚料理を楽しむのだった。
夜もふけて、ランコたちは、交替で歩哨に立つ。そして、シュンカの当直の時間となったが……。
GM おやおや、シュンカは警戒判定に完全に失敗しているね(笑)。
シュンカ なんでーー!?
GM 突如、押しよせた大波とともに、黒く巨大な何かが、モガーーー! といって、君と〈戦火〉に襲いかかってくる。
それに咥え取られたシュンカとトモガミは、そのまま海中にひきずりこまれた! シャチにさらわれるオタリアみたいな絵で(笑)。
シュンカは気づく、それはソウリュウ(蒼竜)だ。モササウルスだな。ウミトカゲ竜の仲間で、さして大きくはない、全長14メートルほどだ。
シュンカ でかいよ!!
シュンカは溺れ判定に成功、どうやら溺れなかった。次にシュンカは、噛みつき攻撃に対する防御判定を行う。しかし、失敗!
シュンカ ああああああ!
GM シュンカと〈戦火〉は、ソウリュウの顎にくわえられて、ボギボギボギ~っと、海中でカミカミされて振り回されてる(笑)。他の人たちも、水の音で気づいたことにしよう。
シュンカ ……よし、装甲でダメージは防いだぞ。
ランコ 三騎長を助けに行く!
シュンカ 91式爆雷を、零距離で撃てるかなあ。
ランコ なんやその漢らしい戦い方(汗)。
シュンカ いや、「最低」発射距離があるから、至近距離では撃てないな。カダンヒトデを発射しよう。誘導弾だから、「砲術」技能じゃなくて、「騎乗誘導弾」技能を使うんだな。
GM ムシオニのミサイルって、水中で撃てるのか。無理っぽいけど、まあ咥えられている状態だから、弾頭を爆発させることは出来る、ということにしよう。自分も巻き込まれるけど(笑)、爆風ダメージは「対人」属性だから、影響ないっぽいね。
生体兵器「火弾ヒトデ」は、短射程ミサイル発射器型のムシオニである。
推進システムは、おそらく(大気を取り込む必要があるジェットエンジンではなく)ロケットモーターであり、その推進剤に酸化剤も含まれているだろう。水の抵抗はあるものの、多少は水中でも推進するかもしれない。
このように、ルールブックに書かれていないことは、柔軟に解釈してセッションを進めるのがお勧めだ。(編者注)
シュンカ (ダイスを転がして)判定成功。
GM 至近距離で発射された生体誘導弾が炸裂! ランコと恋秘歌は、夜の海が白く光り、爆裂して水柱がドドドド……と吹き上がるのを見た!
ランコ 三騎長どのーっ!!
GM いかん、水中戦闘ルールだから、シュンカは全判定値が二分の一になるんだった。忘れてたけど、以後よろしく。
……誘導弾の炸裂によってかなりの深手を負ったようで、ソウリュウはその場を離れていく。一匹目は、戦場から離脱した。
ランコ まだ他にもおるんか!
GM 二頭め、三頭めのソウリュウの巨体が、岸に居る恋秘歌とランコに襲いかかってくるぞ。
恋秘歌 ソウリュウの背中に誰か乗っていますか?
GM ウミアガニ女性が騎乗しているよ。さて、戦闘ターンだが……奇襲が終わったから本当は主導権判定をするのだが、まあ面倒だから、こちらから攻撃するってことで。(←なんていい加減な)
ランコ 「恋秘歌さんがやばいんちゃうか!?」敵の攻撃は「体」で受け止めよう。
ソウリュウの攻撃! しかしランコの巨大ワニは、ソウリュウの牙をその巨躯で弾き返した!
ランコ 「オラー! 効かへんでー!」
GM ちょうど、君の古代ワニとソウリュウは、同じぐらいの大きさだからな(汗)。
恋秘歌 私は、「重力制御」で上空に逃げよう。
GM もう一頭のソウリュウが襲いかかってくる。「重力制御」の前に、回避判定してね。14で攻撃!
恋秘歌 12、失敗しました。トモガミの装甲で(ダイスを振る)……8点ふせぎました。
GM それは完全に防いだ。
シュンカ 私は1ターン使って、水から上がる。「わたしは無事ダー!!」
恋秘歌 天華法「眠りの種」で攻撃します。
GM 難易度10でいいかな。暗いので攻撃判定値にマイナス2の修正がかかる。
恋秘歌 13、命中しました。
GM 睡眠薬を含んだ種子弾が、轟然と恋秘歌の天魂球から発射された! 命中! 抵抗して……うむ、効いてきたようだ。眠気を催したのか、ふらふらとそのソウリュウは沖合いに退却していく。(シナリオ展開の都合上、即効性とはしなかったようである)
ランコ ネッセンヒラツメガニを装備しとるけど、射撃戦をやるっちゅう思考がないんで(笑)、殴りにいくわ。14。
GM 17で防御! 強力な尻尾で防いだ!
次ターン、ソウリュウの噛みつきが命中し、ランコのトモガミは4点の最終ダメージを受ける。装甲が以外と薄かったようだ。
シュンカ 爆雷を投射するか!!
ランコ えっちょっと、いまウチは海の中にいるんやけど!! 巻き込まれるわー!!(遊戯者発言)
シュンカ うむぅ、それじゃ撃てぬなぁ。
GM 撃ちたいのかね? じゃ、「根性」難易度12で判定してね。
シュンカ 合計15、成功。
GM 君は、ランコを巻き込んででも爆雷を撃とうとしたが、なんとか自制した(笑)。
シュンカ じゃあ、岸辺で脚をばちゃばちゃやって、敵を威嚇しよう(笑)。あとは任せた!
その威嚇判定がなぜか成功し、最後の一頭が逃げ出していった。
紅珊瑚の背にまたがり、ランコが追撃する! だが、機動力は、敵ソウリュウのほうが上だった。追撃判定に失敗し、ランコはふりきられてしまう。
GM 敵の姿は、沖合いのほうへ消えていく。
ランコ 「なんやこの腰抜けがーー! ●●●●ついとんのかー!!」
GM いやついてないだろ。ランコも(汗)。
身内セッションなので、やや品性を欠く会話がなされている。
ランコ しゃーない。さっき「眠りの種」を食らった敵は、そのへんに浮いてるやろ? そいつをつかまえて、岸に運ぶわ。
GM なるほど。沖合いで浮いている敵ソウリュウが見つかった。岸まで運ぶんだね。
シュンカ よし、じゃあそいつを起こそう。ぺちぺち。
GM 外見は二十歳ぐらい。ランコより大分色っぽいウミアガニ女性だ。目を覚ました。
シュンカ 「名を名乗れ!」
GM えーと、超音波で何か言ってますが(笑)。
ランコ うちが通訳したる。
GM 知性か? 魅力でもいいや、ランコだけ、難易度10で。
ランコ ……ぐわ失敗した。「なんやコイツ、わけわからんこといっとるわ。アホなんちゃうかー?」
言葉が通じないので、恋秘歌たちは、砂浜に絵を描いたりして尋問をした。どういうわけか、恋秘歌が、聞きかじった? アガニ語の知識もあって、捕虜から事情をききだすことに成功する。
捕虜アガニ/GM 「このグスクは、我がマギケケルの針路上にある。だから、壊さないといけないんだ」というようなことを言っている。
シュンカ なんだって?
GM 「マギケケル」というのは、ウミアガニの巣だ。「海天魂」が創り出した巨大な植物組織の集合体で、海中を浮遊しているらしい。そこに、何千何万というウミアガニが住んでいる。
このガルナスの実験都市に、それが向かってきている……というんだ。現在、マギケケルの進路変更は出来ないらしい。
恋秘歌 ウルトラセブンに似た話がありましたね(笑)。
鋭い指摘である。
シュンカ よし、ダドン・ゴゴ殿に報告しよう。
GM キズナ判定をどうぞ。修正なしでいいや。
恋秘歌に2点、ほかのふたりには一点づつ武魂が入った。今回は、うまくトモガミの世話を出来たようである。
【場面7:ダドン・ゴゴ城主の執務室】
シュンカ 「……と、いうわけです。まあ、そこのサカナ娘は肝心なときに通訳できなかったのだが(笑)」
恋秘歌 「なぜかわたしが聞き出しました」
ダドン・ゴゴ/GM 「なるほどー。いやいやいや。流石だなぁ。良いなあ。そういう頭の良い天魂は、イイ! イイですなぁ~!! どうかねチミ、私の屋敷で働いてみないカイ!?」
シュンカ 「はいはい。落ち着け」
ゴゴ/GM 「……そういえば数日前に、ウミアガニがどうのと言ってきた怪しい男がいましたよ。とりあえず警務隊に命じて投獄しておいたんですが、何か関係があるかもしれませんですナァ」
シュンカ 「その人物に話を聞きたい」
GM その前に、だいぶ夜もふけてきたので、オヤスミということで。実験都市なので、粗末な宿舎だ。ただし、恋秘歌だけ、やけに豪華な天魂宿舎を割り当てられた(笑)。一晩で「和魂」は全回復、「生命」は一点づつ回復する。
ランコ 「なんやこの寝床。竜小屋かいな?」
宿舎の天魂/GM 恋秘歌に、「あらあら。新入りさんね」などと、ここに務めているらしい天魂たちが話しかけてくる(笑)。
恋秘歌 ここの城主はアホだから、天魂に利用されてるんでしょうね。
GM そうかもね。将来的には、このグスクも、海上実験都市なのに、いつのまにか宇宙開発用に改装されたりするかもしれない(笑)。「君がそういうならいいよハァハァ」みたいな(笑)。
【場面8:海から来た男】
GM 翌朝。ダドン・ゴゴの手配で、その不審人物が収監されている牢獄へと君たちは案内された。ヨナバル・リョウ、38歳の三龍人男性だ。がっちりした身体の男性で、無精ひげなど生えている。
「わ、わたしは何故逮捕されているんだ! わたしはウミアガニの妻をもつ者だ。海からここに上がってきたら、いきなり逮捕されたんだ!」
恋秘歌 ウミアガニの妻!? よく捕食されなかったなあ。
ヨナバル/GM 「いやあ、漁に出て遭難したとき、妻に助けられて見初められてネェ(笑)」
ランコ 「ウミアガニのことなら、同じアガニのランコちゃんにまかしとき!」
マギケケルについて知っているかどうか判定を! ……失敗したあ。
シュンカ 「あー、ランコ殿はもういいから。下がっておれ」(笑)
ランコ ううッ、アガニなのに(泣)。
シュンカ 例の、マギケケルとやらについて質問する。
ヨナバル/GM 「おお、それそれ。その件について、ウミアガニの特使としてここに派遣されたのだが……」
シュンカ 「ダドン殿は、貴殿を特使扱いしてくれなかったということか(笑)」
ヨナバル/GM 「全く、ここのダガンはもうダメぽ。アガニ側としては交渉する気がないので、こっそり、わたしが個人的にここまでやってきたというのに」
シュンカたちは、詳しく話を聞いた。
男は、「レケルケッテル王国」から来たという。このグスクに迫りつつある、マギケケルの国家名である。
マギケケルの全長は、10キロにも及ぶ。最近、その針路を変更できなくなるという事故が生じてしまったのだという。
そのため、針路上にあるガルガル城との衝突の危険が生じたわけである。
ヨナバル/GM 「そもそも何故、マギケケルの針路が変更できなくなったのかという点だが、マギケケル制御用の『海天魂』が、なにものかにさらわれてしまったのが原因らしい」
シュンカ 「ここの城主にかッ!?(笑)」
ヨナバル/GM 「海天魂というのがマギケケルの中枢システムなのだが、五日前、海底火山の爆発があってね。その余波で、ケケルから海天魂が吹き飛ばされてしまったんだ。『あーれー』って(笑)」
シュンカ 「あーれーって……」
ヨナバル/GM 「そこで、わたしからの提案なのだが! ちょっと前に、ほかの実験都市を撃沈した我がマギケケルは、このグスクからおよそ15キロ(訳)の距離にまで迫っているんだ。このままでは、あと一日で、お互いに正面衝突してしまう!」
ランコ 「めっちゃ時間ないやんけ! 今まで、何をのんびりしてたんやー!」
ヨナバル/GM 「逮捕されてたから何も出来なかったんだッ!! ……それでだな、もしも、マギケケルと、このグスクが衝突した場合、双方に被害が生じてしまうだろう? そこで、このグスクには、自沈してもらいたいんだ」
恋秘歌 ええ~~!?
ランコ 「あかんがなーー!!」
ヨナバル/GM 「そこを何とか曲げて!!」
ランコ 「ムリむり! 無理だって!」
ヨナバル/GM 「そうディスカねぇ……」
ランコ ディスカじゃねーー!!
シュンカ 「一応、城主に話はしてみるか」
ヨナバル/GM 「城主に頼んでもダメなら、我々のマギケケル〈レケルケッテル王国〉に来て、直接、ウミアガニと話をつけてもらいたい。或いは、海天魂を探し出して、もとの中枢組織に戻せば、マギケケルをまた制御できるようになると思うのだが……」
ランコ 「そや! 恋秘歌ちゃんがダドン・ゴゴ城主に頼んで、行方不明になった海天魂を探してもらったらどうや!?」
シュンカ 「しかし、あと一日しかないぞ。しかも、ダガンが、海天魂にも萌えるかどうか分からんぞ」
ランコ 「天魂なら何でも萌えるんちゃうんか? 海天魂って、どんな外見しとるんや?」
ヨナバル/GM 「基本的に、5歳ぐらいの三龍人幼女を模した人形で、人魚のような形態ですね」
ランコ 「それなら大丈夫! 5、6歳なら何でも萌えるやろ!!」(ダガンがひどい言われようだ……)
シュンカ 「もうこうなったら、五族共和の精神にもとづいて、マギケケルも海上基地も爆破したらどうだ!? 幸い〈玄武〉なんてのも配備されているし! 喧嘩両成敗!」
ヨナバル/GM 「ちょw そんなww」
このあとしばらく、ダガンが人魚幼女に萌えるかどうかという、不毛な議論が続いた。
【場面9:城主ダドン・ゴゴの執務室】
シュンカ とにかく、ダドン城主に話をしに行く。「ダドン殿ッ!! 海天魂は好きかッ!?」
ダドン・ゴゴ/GM 「なっ? ナニを言ってるんだね、いきなり?」
ランコ 「シュンカはん、直球すぎー!!」
シュンカ 「とにかくそういうわけだから、この海上基地を自沈させてほしい!!」
ゴゴ/GM 「駄目ですな!」
シュンカ 「何故だッ!?」
ゴゴ/GM 「当たり前だ! そのようなウミアガニの巣など、我が海軍の艦隊をもって粉砕してくれるわッ!!」
シュンカ 「しかし、そんなことをすれば、ウミアガニと戦争になるぞ」
ゴゴ/GM 「ふふん、あんなサカナなど、我が艦隊によって一蹴してくれるわ!」と、自信満々の様子だ。
ランコ サカナやないっ!
シュンカ 「……そもそもこのグスク、そんなに重要なのか?(笑)」
ゴゴ/GM あー、それは城主の逆鱗に触れた。
「なっ! こ、このボクが配属されるほどの部署なんだから、重要に決まっているー!!」
シュンカ 「なんだ、そのような理由でか(藁)」
ゴゴ/GM 「『そのような』とは何だ貴様ー!!」
恋秘歌 ……海天魂には興味がなさそうですねえ。聞き出してもしょうがないかな。
ランコ 話にならへんようやから、牢屋からあの男を出してもらって、ウミアガニ側と話を進めたほうがええんちゃう? そんな近距離までマギケケルが接近してるなら、船ですぐ行けるやろ。
【場面10:レケルケッテル王国】
ゴゴ城主と話しても埒が開かないと判断したシュンカ一同は、ついに、ウミアガニの王国へと乗りこむ。
制御不能になって接近してきているというマギケケル――〈レケルケッテル王国〉へは、船で数十分も行くと、すぐ到着する。
群青の水平線のむこうに、緑色の島が見えてきた。
緑の繊維で編まれた巨大な球体で、それだけでも小さな島ほどもある、植物組織の塊であった。
先頭の島の後ろにもいくつもの巨大な「島」が浮かび、水平線の彼方にまで連なっている。
南洋の水蒸気にけぶる遠くの「島々」の頂上部、洋上高くに、透明で翡翠の色をした巨大な三角帆が林立していた。
星覇王国の大紅樹林にも負けぬ威容を誇る、巨大帆の森であった。
「この先頭の小島がレケルケッテル王国の入り口で、関所になってるんだ。中にはアガニの港がある」
ヨナバルが言う。
眼前に迫る緑の球体の中ほどに、巨大な穴があいていた。
船が内部に入る。日差しが陰った。
巨大な植物組織で出来た建物が、いくつも建ちならんでいるのが見える。球体の天頂は、半透明になっていて、緑色を帯びた陽光が、斜めに差し込んできている。
内部にも海水が満ち、半水没式になっているようだった。潮の香りが濃厚に鼻を突く。
シュンカ ウミアガニの王国を見たウツロヒなど、そうそう居ないだろうな!
ランコ 「凄いわ、初めてみるわ。なんやこれ?」カベとか触ってみたり。なんかエコっぽいわ(笑)。
GM さすがカワアガニ、マギケケルは初めてか。そして、その巨大な植物の球体のなかに、キノコのように、それぞれの住居が林立している。
構造としては、実は巨大なだけで、ランコももっているケケル(半水没式移動住居)と、そんなに変わらないんだけどね。
そして、こういう一つづつの「島」――〈ナカケケル〉は、それぞれが直径500メートルぐらいあり、浮力調整ケケル、中枢ケケル、倉庫ケケル、たくさんの居住区、海洋放牧ケケル、水軍ケケルなどに機能分化している。そういうナカケケルが20個ほど連結されて、全長10キロのマギケケルを構成している。
海洋生体都市〈マギケケル〉模式図(推定)
全長:約10km
個別ナカケケル全長:約500m
ー【港・浮力調整ナカケケル】【浮力調整ナカケケル】ー(海面)ー
【議場ナカケケル】【謁見用ナカケケル】
【倉庫ナカケケル】【倉庫ナカケケル】
【海洋放牧ナカケケル(浅海域生態系仕様)】
【中枢ナカケケル】【倉庫ナカケケル】
【居住区ナカケケル1】【居住区ナカケケル2】【居住区ナカケケル3】【居住区ナカケケル4】【居住区ナカケケル5】【居住区ナカケケル6】 【(上同)】【(上同)】
【海洋放牧ナカケケル(深海域生態系仕様)】
【水軍ナカケケル】
【温度差発電ナカケケル深層部】
シュンカ よし、まずは代表者に会いにいこう。
GM では、ヨナバルが話を通したということで、女王のいる謁見ナカケケルへと君たちは案内される。
このマギケケルの代表者は、レケルというウミアガニの女王だ。
外観は二十代ぐらいで色っぽい。しかし、尊大かつ凶暴そうな雰囲気をただよわせている。身体ががっちりしている。ヨナバルが通訳するということで、事情を説明する。
レケル/GM 「なるほど事情はわかった。実は、マギケケルは動力推進も可能でな。その準備をしていたところに、海底火山の爆発を受け、海天魂がどこかへ吹き飛ばされてしまったのだ。まぁとにかく、ダガンのグスクとやらには、自沈してほしいものだな!」
シュンカ 「しかし、たとえ目の前のガルガル城を自沈させたとしても、そのまま直進していけば、陸地に激突してしまうぞ」
レケル/GM 「二回激突するよりも一回だけのほうがマシであろ?」
シュンカ 「……なるほど、それもそうか」
ランコ 「ちゃうわー!」
シュンカ 「実は、ダガンのほうは、自分たちのグスクを自沈させるつもりはないと言っているんだが」
レケル/GM 「全く、陸の連中はわがままだな。どうやら、我が軍を敵にまわしたいとみえる。見ものだぞお、われらの王国水軍がいっせいに龍化する様はな!」
ランコ ナニコレ、この力押しの交渉……。
レケル/GM 「ところで。今からこの件に関して、部族長が集まっての大会議がある。陸の連中の代弁者ということなら、おぬしらにも来てもらわねばな。いまから議場ケケルまで来てもらえるか」
GM ということで、君たちは、水中の連絡通路を通って、議場ケケルへと移動する。トモガミもみんなついてきているってことでいい。
議場にいくと、広い会議場に、100人ぐらいのウミアガニの族長が集まっている。みな強そうで、熟練の戦士といったかんじのアガニ風の戦闘装束をまとっている。なんかプレデターみたいな(笑)。
ランコ こいつらにボコられたら確実に殺されるわ……。
レケル/GM 天井からは、淡い光が差し込んできている。それを浴びながら、議長席についたレケルが、族長たちに宣言する。
「皆の衆、よく集まってくれた。今日の議題は、我々の邪魔をするガルガル城とかいうダガン海上基地への対処だ。陸の連中は、どうやら自沈するつもりはないらしい。
我らの力を思い知らせてやるのだ。全員で龍化し、奴らのグスクとやらに、総攻撃をかけるのだ!!」といって、超音波の叫びを上げる。
聴衆/GM 総立ちになって、「ウオオオオ!」と賛同の雄たけびをあげ、ヒレを激しく打っている。議場ケケルがその怒号を受けて震えてすらいるようだ。
シュンカ もう会議になってねー。
部族長アガニたち/GM 「そもそも、我らが海天魂レッケルメッケル様が見つからないのは、ガルナスが攫っていったからじゃないのか!」
「そうだそうだ!」
「陸のヤツらを殲滅するのだ!」
「ウオオオオ!!」
シュンカ 熱気に押されたシュンカも、「ウオオオオ!!」と叫んでいる。
ランコ 駄目やんかー! なんやこのおかしな空気はーー!!
シュンカ このままでは全面戦争に突入しそうな勢いだな!
GM そのとき、遠くから、火砲の砲撃音が轟くのが聞こえる。
恋秘歌 !? これはマズイですよ!
ランコ オイオイオイ!
GM しばらくして、着弾の爆発音がすぐ近くに聞こえ、ズシズシーン、とケケルが揺れる。
天井の細胞壁に、少しヒビが入ったようだ。海水が滴ってくる。
「女王様! 陸のヤツらが攻撃してきたようです!!」
レケル/GM 「この程度の砲撃、大したことはないな」
シュンカ なんだってー! うかつに城主に報告したのが不味かったか。我々がここにいるのを知っているくせに砲撃してくるとは、どういうことだ!?
ランコ 砲撃中止の連絡はできへんか!?
GM 特に申請がなかったから、無線機なんぞ持ってきてないな(笑)。
ランコ 最悪やー!
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