三龍戦騎RPG復刻リプレイ 第11話「激突! アガニの海洋都市」第3章(終章)
衝突の危機! ガルナス帝国の海上基地に、制御不能となったウミアガニの巨大洋上都市マギケケルが今まさに衝突せんとしていた。ランコやシュンカはガルナス特使としてマギケケルに派遣されるが、交渉中にもかかわらず、ガルナス帝国海軍は砲撃を開始してしまう!
ランコたちは両種属の軍事衝突を防ぐことができるか?
ーー君よ、トモガミの声を聞け。
激突! アガニの海洋都市
第3章(終章)
【場面11:マギケケル中枢】
GM 艦隊に砲撃中止を要請するなら、海面に出て、手旗信号か何かで合図するしかないだろうね。無線機がないんだから。(←無茶苦茶を言うGM)
シュンカ その前に、行方不明になっている海天魂を見つけないと解決にならないぞ。
ランコ 海天魂の本体、つまり天魂球? というかマギケケルの中枢部に、何か龍魂の手がかりとなるような細胞組織か何か、ないやろか? その龍魂の波動を手がかりにして、探信儀(ソナー)のように海中探査をして海天魂を探せば……。
シュンカ すげーー。ランコの頭からそんな知的な案が(笑)。
GM ランコの知性の低さからすると、その案を思いつくには、知性判定、難易度17が必要だな(笑)。
ランコ 6ゾロじゃなきゃ無理だな~。(サイコロころころ)……って、出たー! 6ゾロ出ターーーー!!!
一同 えええええ!?
GM きっと恋秘歌の潜在意識にアクセスでもしたんだよ、きっとそうだ(笑)。
では、龍魂感知をしてみるわけだね。マギケケル内で海天魂の龍魂を探るのは、天魂である恋秘歌の仕事だろうな。ランコが奇跡的に思いついた案を参考にして、恋秘歌が龍魂で海天魂を探す、というかんじかな。
恋秘歌 わかりました。その龍魂感知の判定をする前に、私は「龍魂」が1しかないので、天華法「龍の息吹」を使いたいです。
GM 「龍の息吹」発動の難易度は10でいいよ。
恋秘歌たちは、洋上都市マギケケルの制御中枢へと移動する。神々しい巨大な神経組織のような植物の束が、中枢ケケルを貫いていた。
恋秘歌は、自らに龍魂能力を強化する天華法をかけたあと、龍魂の感覚をとぎすまし、中枢組織の意識を読み取ろうとする。判定の結果は……。
GM 恋秘歌は、龍魂の感知判定にも成功した。マギケケルの中枢は、なぜか、前方にあるガルガル城に感応してそちらを目指しているらしいことが感じとれた(笑)。
恋秘歌 「……あのー、あのグスクに反応があるみたいなんですけど……あそこに海天魂が居るみたいです」
シュンカ 「なにー! あの変態ガルナス城主、やはり海天魂を隠していたのか!?」
GM じゃ、とりあえず先ほどの議場ナカケケルへ戻るってことで。
【場面12:議場ナカケケル】
GM また砲撃だ。ケケルがびりびりと揺れる。
部下のアガニが駆け込んでくる。
「大変です! ガルガル城まで、あと10時間ほどで衝突します! しかも敵艦隊の砲撃が、また!」
女王レケル/GM 「フッ、この程度の攻撃など屁でもないわ」
シュンカ 女王アガニに、「今からあのグスクに行って、海天魂を取り返してくる。攻撃は少し待ってほしい」と言う。
女王レケル/GM 「いや、もういいから。今から直ちに、ダガンの奴らに対し、総攻撃をかけるぞ!」といって、部族長たちが次々と龍化しようとしている!!
ランコ えっちょっと待ちーなー!
シュンカ 待てーー!!
レケル/GM 「なんだ? 攻撃をやめろというのか。では、お前たち、あのダガン艦隊に呼びかけて、砲撃を中止させてみろ!」
【場面13:ダガン艦隊】
恋秘歌たちは、マギケケルの最上部にある植物組織の通信塔に登り、洋上に出た。
GM 水平線上に、何隻かのダガンの駆逐艦が艦隊をなしているのが見える。
恋秘歌 どうやってダガン艦隊に意思を伝えたらいいんでしょうね? 「燐光灯」の和魂二倍消費ぐらいで、強力な発光信号にできないですか?
GM 倍がけのルールは無いけど特例で、じゃ、難易度11で。将来的には、照明弾みたいな天華法を設定したほうがいいかな。
シュンカ くそー、ダガンめ、私たちがここにいるのに砲撃なんかしおって。戻ったら、殴るしかない。「このバカチンがー!!」って、殴るしかない。
のちに戦国鉄拳少女と呼ばれるようになるシュンカの殴り属性が開花した瞬間であった。
恋秘歌は、強化した「燐光灯」の発動に成功した。
天精花が、小さな細い腕を天に挙げる。天魂球が、しずしずと花弁をひらき、真昼の陽光よりなおまばゆい光の宝珠を、天に打ち上げた。
GM 上空にいた着弾観測用の水偵(水上偵察機)が、その光球に気づいたようだ。
ほどなくして、シュンカたちは気づく。沖合いの駆逐艦から、チカチカと発光信号が出されている。読み取れたかどうか、知性、難易度5で判定を。
シュンカ はい、15。
ランコ 難易度5か、そんなら、うちにもわかるでー!(サイコロを転がす)
GM ほほう。それで、結果はどう?
ランコ ……わからんかった。orz
一同 (笑)
GM その発光信号は、共榮圏で広く普及しているものだ。誰でもわかる簡単な符丁を使ってるんだけどね(笑)。
ランコ なんでわからんのやー!
シュンカ 「やはりダガンの艦隊か。では、我々がガルガル城から派遣された軍使であることを、ダガン艦隊に伝えてもらおう」
GM 「旧式の探照灯があった、コレをつかって信号を送れ」と、アガニが探照灯を手渡す。燐光灯の持続時間が切れたらこれで信号を送ればいい。
ダガン駆逐艦の発光信号/GM チカチカ。『我々は、城主殿より、アガニの巣を砲撃するよう指令を受けたものである。10時間前に』
シュンカ 10時間前って……我々が出発する前ではないか。
駆逐艦の信号/GM 『……アッ、今、砲撃中止の命令が届いたなり。なに、特使があのマギケケルに乗っているだとー!? それは大変!』
どうやら、城主が取消命令を出すのを忘れていたようだ(笑)。
ランコ あのアホーー!!
駆逐艦/GM 『砲撃は中止する。しかし、海上封鎖はこのまま続行する。貴殿らの航海に幸あれ』
ランコ なんやそれ!
シュンカ 「……殴る。城主、戻ったら絶対、殴る」と、発光信号を送っておこう。カシャカシャ。
GM ということで、海上封鎖は続く。マギケケルの進路上に、駆逐艦が一列に並んで、妨害している。
恋秘歌 とりあえず、城主のところに戻って報告するしかないかもしれませんね。
ランコ 駆逐艦も、まさかマギケケルに本当に体当たりされるまで海上封鎖はせんやろ。そや、駆逐艦に乗せてもらって、グスクに戻ればええんとちゃうか?
駆逐艦/GM 『我々はあくまでガルガル城を死守するため、海の藻屑となろうともこの封鎖線を死守するものである。それが海の防人としての使命なり!』ということで、ここを動く気はないようだ。
シュンカ 『その覚悟あっぱれ!! 三龍大社で会おう!』
ランコ 三騎長、そらもうええから!! 関係ないやん!!
下っ端アガニ/GM 「大変、大変! 議場が大荒れだよ! みんな龍化しようとしてる、止めておくれよ!」
【場面14:ダガン艦隊/旗艦・艦橋】
艦隊司令ダガンは、古びたダガン海軍の制帽を目深に被りなおした。たくましい壮年の爬虫人類である。
艦橋の耐爆窓の外に、深緑の巨大なる浮遊列島――マギケケルが迫ってきている。それは、どこか非現実的なまでに、午後の陽光を、のどかに跳ね返して輝いていた。
一見、それは動いていないようにすら見えた。
しかし、その生きた列島の最先端部に目をやると、それは確かに、白波を蹴立て、自分たちの艦隊をめがけてきていることが分かる。
その白波だけでも、この二千トン級のちっぽけな駆逐艦を呑みこむのに十分なほどの波高だろう。あまりに浮遊列島が巨大すぎ、目に付かないだけだ。
「司令。このままですと、あと4分ほどで、接近物体とわが艦は衝突します」
航海長が報告するその声は、訓練どおりに落ち着いていた。艦隊司令は、満足げに頷く。暫し、機関部の唸りを耳に入れたあとで、おもむろに、司令は応えた。
「我らの使命は、この海域の海上封鎖である。城主殿の厳命は、海の防人として、断固守らねばならぬ。全艦に通達。各艦、現座標を死守せよ。アガニどもに、ダガンの誇りと、鍛えた操艦技術をみせてやるのだ」
【場面15:龍化の宴】
ランコたちが議場ケケルにまた戻ると、興奮したウミアガニたちが、今にも龍化せんばかりに騒ぎ立てていた!
族長アガニ1/GM 「議長! わたしゃ龍化するッシャー!」
族長アガニ2/GM 「おらも龍化するだーー!!」
シュンカ 「そうだッ! わたしも龍化するぞーー!!」
ランコ ってシュンカ三騎長ーーーッ!?
龍化によりトモガミと融合し、〈アラガミ〉となったアラガミ師やアガニの戦力は、ちょっとしたゴジラやガメラなどの怪獣に近い。
アラガミは、通常の(火弾属性)装甲を貫通する熱線を吐き、音速の砲弾に対して回避判定が可能であり、電磁シールドで防御すらできる。ほぼ通常兵器は通用しない。
それが集団で現出したら、すさまじい軍事衝突になることは明白なのであった。
GM じゃあ、説得してこの場を鎮めるなら、三点先取の交渉判定かな。100人もの激昂したウミアガニが相手だから、大変だよ。
ランコ 「ここはやっぱ三騎長が説得やな。うち、アホやし」
シュンカ 「それは知っているッ!」
ランコ 「断言されるとめっちゃ傷つくわあ……(泣)」
シュンカは、「戦火」に咆哮させ、威嚇して鎮めようとする。だが、判定に失敗。百人の怒号の前には、効果はなかった。
「ううっ……戦火、我らは無力だ……」
そこで、「知性」の高い恋秘歌に交渉を任せよう、という流れになった。
恋秘歌 「砲撃は止めたんだから、いま攻撃すると、逆に危険ですよ」と言ってみます。サイコロを振るのが怖いです……10.
GM うーん、群集の怒号の迫力に気おされていて、効果はなかったみたいだ。マギケケルがガルガル城に激突するまで、残り8時間になったぞ!
ウミアガニの群れ/GM 「総攻撃だ! 総攻撃だ! ウオオオオオオ!!」
シュンカ 「うおおおおおおお!!」
ランコ ってシュンカ殿もいっしょになってるぅうう!?
恋秘歌はたじたじとなりながら、小さな身体で精一杯、交渉を試みる。しかしダイス目が悪く、また失敗してしまう。
ウミアガニの群れ/GM ますます群集が興奮している。ウミアガニ側が一点先取した。「ウオオオオオ!」
シュンカ そしてシュンカもより興奮し、「うおおおおおお!!!」
ランコ あかんあかん!!
女王/GM 「うーん、やっぱり総攻撃かなー」
シュンカ 海天魂があのグスクに居るから我々が取り返してくる、と提案すれば鎮まるのでは?
恋秘歌 しかし、我々が出て行くとダガン艦隊が動いちゃうかもしれないし、海天魂の居場所を言うと、このウミアガニたちが一斉に動き始めるおそれもあるし……(苦悩)。
ウミアガニの群れ/GM 「りゅ・う・か!」「龍化!」「龍化!!」
シュンカ 「龍化! 龍化! 龍化ッ!」場の熱気に乗せられてしまっている(笑)。
戦火/GM その隣で、戦火も「モガーーー!!」と吼えている(笑)。
ランコ ちょっと待てーー!
シュンカ これ、武魂が貯まるんじゃないか?(笑)
恋秘歌 もう止めるんじゃなくて、このまま一斉に攻め込んだ方がいい気がしてきた……。まあ、とりあえず、海天魂の居場所は言わず、「私たちに任せてください」と。
この判定は成功した。少しだけ場が鎮まる。
ウミアガニの群れ/GM 「なるほどそれは任せてみる価値があるかもしれん」「ひそひそ」
シュンカ 「いや! 龍化! 龍化だッ!!」
ランコ 三騎長ォーーー!? 落ち着けーー!!
GM そのとき。マギケケルの外壁に、鋼鉄がぶつかるガリガリという激しい音が響く。
兵卒アガニが、「女王陛下! ガルナス艦隊が、わがケケルに衝突しました!」
ランコ 「奴ら! ホンマに逃げんかったんか!」
女王/GM 「武人として天晴れな最期じゃ!」
兵卒アガニ/GM 何かがひしゃげるような、くぐもった金属音が響く。「圧壊、沈没音。ダガン艦隊は壊滅状態のようです。いける……! 女王陛下! 艦隊も撃沈できたのです、このままガルガル城も撃沈できまっせ!!」
シュンカ 「海に散った武人たちの魂のためにも、我らも龍化だーーッ!!」
恋秘歌 あのー、シュンカに眠りの種を打ち込んでいいですか(笑)。
「かれらが沈んだのは、わたしたちに戦いをさせないため。かれらの犠牲を無にしてはいけません!」
GM いまの説得は良かった。ボーナス+1で交渉判定をしてね。
……合計14? では次の説得は、うまく行った。あと一押し! 衝突まであと7時間!
恋秘歌 うーん、どう説得したらいいんでしょうね。「玄武」が向こうにあることを言って脅すというのも……危険な気がしますしねえ。
群集アガニ/GM 悩んでいると、また群集が騒然としてきますが!
【場面16:最終兵器あらわる】
さすがに、100人もの怒れるウミアガニを相手に説得をするのは手間取った。そうこうしているうちにさらに時間がたち、衝突まで、残り5時間をきってしまう!
兵卒アガニ/GM 「女王陛下! 進路上の海岸線に、巨大な四脚の戦艦のようなものが視認されました!」
ランコ 「玄武」やー! あかん!!
シュンカ シュンカは、そのことに気づいた。
「敵には大戦力がある! ならばここで龍化するしかないッ!!」(笑)
GM おまい、交渉を手伝う気、ないだろ……。
正直、シュンカのRPはパーティプレイとしてはどうなんだろうと思うGMであったが、面白いので、生温かく見守るのだった。
兵卒アガニ/GM 「見張り員より報告! 敵・蘇龍戦艦の主砲塔が旋回、我が方を指向! 照準されています!」
ここで交渉をきめないと危ないかもね。ランコたちも手伝うってことで、ボーナス+2でいいよ。
恋秘歌 これ以上、考えるのは無理な気がしてきました……。「玄武」やらメイやらを敵に回すとまずい、というかんじで、戦略的な主張をしてみます。
兵卒アガニ/GM 「敵戦艦より発光信号! 『ワレこれより砲撃せんとす。特使は直ちにマギケケルより退避されたし。ちなみにあと30秒ぐらいで』」
ランコ 早すぎやー!
さらにウミアガニ相手に交渉が行われるが、失敗!
そこで、無線を借り、「玄武」と交渉し、とりあえず砲撃を中止させよう、ということになった。シュンカは、玄武艦長レアに無線をつないでもらう。
シュンカ 「あー、レア殿。我々はまだ逃げていないから、撃たんでくれ」
ランコ 軽っ。
玄武艦長・レア/GM 『ひよっ!? でも、城主から発砲命令が出てるんですひよ』
シュンカ 「城主が発砲命令を出していようと、私は発砲を許可していないッ!」
レア/GM 『ちょ、なんの権限があって!? ねえ砲雷長、どうしたらいいひよ? うちの機刃衆はネ、ガルナス帝國から補助金もらっちゃったから、断るわけにはいかないひよ』
シュンカ 「このアラガミ師・綺羅シュンカの言うことがきけんかーッ!」
GM 一方、アガニ群集もおさえきれなくなっているんだが、どうする? 恋秘歌?
恋秘歌 うーん、うーん。煽るのにいい技能はもっていても、なだめるための技能がない……。
玄武の砲雷長/GM 『レア艦長、自分は、城主殿の命令を守ります。もう待てません、どいてください! 砲戦用意! 第壱および第二砲塔、マギケケルに照準。撃ち方はじめー!』
シュンカ ええええー!
ランコ 撃ちよったで!?
GM この議場の壁に、外部からの映像が投影される。兵卒アガニが言う、「砲撃発砲炎を視認! この距離だと、着弾まで30秒!」
女王/GM 「おのれ、ダガンめ!」
恋秘歌 もう、感情にまかせて突っ込んだほうがいいですかね(笑)。
「わたしが樹神形態となるので、ほかの者たちも、龍化して後につづけ!」……達成値15になりました。
GM 判定成功、アガニたちをうまく煽った(笑)。
女王が、「よし、総員、龍化せよ!」「龍化!」「龍化だーッ!」
「敵の砲弾を迎撃するぞ!!」
GM 凄いことになってきたけど、シュンカたちはどうするの?
シュンカ いま、レアを無線で怒鳴っている。
「貴様ァーッ、この綺羅一族に宣戦布告するというのかーッ!?」
レア/GM 『ごめんひよ、部下が勝手に発砲しちゃったっぴょーー!!』
シュンカ 「レア殿、覚えておけよー! 戻ったら、殴るッ!!」
レア/GM 『うわーっ! 砲雷長、勝手に撃つなんてひどいよーー!!』
シュンカ 「砲雷長も、殴るッ!! むしろ乗員のメイを全員、殴るーーッッ!!!」
なんだろうな、この展開。遠い目で見守るGMであった。
【場面17:砲弾邀撃戦】
GM まあそのなんだ、ウミアガニたちが一斉に龍化しようとして、場はものすごい龍魂の高まりに覆われる。全員、(1Dをふって)……凄いっ、「龍魂の呼応」で、武魂+6していいよ。おっと、あと着弾まで15秒!
シュンカ よし! 龍化して、砲弾を迎撃するか! 通信機は叩きつけるようにして切る。「レア殿ォオオオッ!!」
ランコ・恋秘歌 お、恐ろしい……。
兵卒アガニ/GM 「空中を音速より速く飛翔する砲弾を、迎撃できるのか!?」
シュンカ 「アラガミ師のちから! 見るがいい!」龍化する!
遙か昔、宇宙空間で光の砲火を交えたアラガミの眷属にとって、大気圏内を飛翔する砲弾など、迎撃は容易いことであった。
GM シュンカと「戦火」が、輝く素粒子となって、一体のアラガミとして再構成される。龍化完了! この場面だけ見るとカッコイイんだが、その前の煽りがね~(笑)。
砲弾迎撃の難易度は15。3セットづつ砲弾が落下してくるから、3回、迎撃判定をしてもらおう。
シュンカ 難易度15か、厳しいなあ。
GM 洋上まで出て行く猶予はないので、もう議場ケケルの天井をブチ抜いて、迎撃するしかないな。
「玄武」の主砲塔はそれぞれ砲身が三連装、それが三基ある。一発あたり1トンをこえる巨大砲弾が、3発づつの集団となって、合計9発、落下してくるぞ。高度一万メートルの上空から!
シュンカ う、出目が悪い。合計で8……。
アラガミと化したシュンカが、顎を開き、空の彼方へと白熱の光束を三連射! だが、その粒子ビームは、砲弾を捉えそこねた!
実はこのとき、キズナレベル値を判定値に加算するのを忘れていたのである。
シュンカ あああ。全弾、迎撃に失敗した!
GM ウミアガニたちも、閃光を放ち、次々と龍化した。
巨大なワニ型のアラガミが、熱線を上空に発射!
(判定)……1回だけ成功、3発の砲弾が、上空で撃破された! 上空に巨大な火球が広がる!
女王アガニ/GM 「残りの砲弾が着弾するぞ! 総員、退避!」
恋秘歌 樹神化したら、ぎりぎりで、種子弾で迎撃できますか?
GM ううん、樹神はアラガミみたいなものだから、樹神化していれば、迎撃出来る気もするけど、どうなんかなあ? 樹神になっても天魂の質量じたいは変化しないからなあ。
少し難しめに、目標値16で成功したら、迎撃できたことにしよう。
恋秘歌 樹神化します。
GM 議場は大混乱だな。あちこちでアラガミが天井をぶちぬいて熱線を撃ちまくってるわ、天魂がいきなり巨大な植物竜に変身するわ(笑)。
恋秘歌 徹甲種子弾を発射。出目が11、キズナレベル値なども足して、合計20です!
GM 落下してきた砲弾を、着弾寸前に、種子弾で迎撃した! 先頭の砲弾に命中させ、残りの2発も誘爆、眼前の空中で大爆発がまきおこる! 熱い爆風が押しよせる!
シュンカ 凄いな。
GM 残り3発の砲弾が、マギケケルに着弾! 爆発がおこり、大破孔が開き、大量の海水が、滝のように流れ込んでくる。
「うわーーー!」「ぎゃーーー!」
もう、ケケル内部は大混乱だ! マギケケル自体は巨大だから、沈むほどではないが。
シュンカ このままじゃ細かいことができないから、龍化を解く。手近な船を借りてグスクに戻って、海天魂を探そう。
GM アガニの群集は、洪水に流されて、頭を冷やしたようだ。
「総攻撃は、あやつらが戻るまで待つとしよう」
【場面18:ガルガル城】
シュンカたちは、高速艇を借り、急ぎガルガル城へと戻った!
GM グスクの司令室にかけこむと、若いダガンが、「おお君たち戻ったか。いやー、砲撃中止命令が間に合わなかったようで、すまなかったネ。ハッハッハッ」と朗らかに笑っている。
シュンカ 怒りを押し殺した声で、「ダドン殿。貴公、海天魂を知っているな?」
GM そういえば出撃する前に、ゴラス領主にこのことを報告しておいたんだったね。ちょうどそのとき、領主から伝令のダガンが遣わされてきた。「綺羅どの、ゴラス領主からお返事の書簡です」
シュンカ おっ、この件について、領主から何か返事が?
GM 手渡された手紙をひろげてみると、
「人魚のような天魂といえば、関係はないと思うが、何日か前に、領民がそのような天魂を献上してきたことがあった。研究用にということで、ダドン・ゴゴ城主にその天魂は引き渡された」と、書いてある。
恋秘歌 おのれかー!
シュンカ (笑顔)ダドン殿。殴る★
ダドン/GM 「えっ、いやこれは……。ちい、おのれあの領主めがー!」
シュンカ 「ここに書いてあることは事実だな?」
ダドン/GM 「ま、まあ、事実といえば事実かもしれないね。しかしそれは、あくまで研究のために、やむをえず捕獲したものでね、重傷を負っていたから治療する必要もあったしねえ。いま、このグスクの集中治療室にかくまってあるのです」
恋秘歌 「……選択肢は2つです。
1、海天魂をわたしたちに引き渡す。
2、このグスクをマギケケルにぶつけて、そのまま沈める。
さあどっちだ?」
ダドン/GM 「くっ!!」交渉、知性で判定してね。
恋秘歌 あっ、1ゾロです。
ダドン/GM 「ハハハ、海天魂は渡せませんナァ!」
シュンカ 説得しよう。
「集中治療室はどこかな? 教えたまえ! このままだと、ウミアガニとの全面戦争だぞ! それも、貴様の独りよがりの欲望のためにな!」
ダドン/GM 「欲望とは何だ! わたしは、純粋に、海天魂を助けようと……」
シュンカ 「さっき、我々が海天魂の話をしたとき、貴公はその事実を隠したな! それこそが、欲望のあらわれだッ!」ドドン!(効果音)
ダドン/GM 「仕方がない、ついてきたまえ」
集中治療室に連れて行くと、培養槽のなかに、傷ついた人魚のような海天魂が浮かんでいる。動けないほどの重傷ではない。会話をするなら、恋秘歌かな。かなり言語が違うけど、なんとか意思疎通は出来る。
恋秘歌 これこれこういう事態でして。
海天魂/GM 水槽の中から、静かに口を開く。
「成る程、大変ですね。今からわたしがケケルに戻っても、加速したケケルを停止させることはできません。
でも、実は……こういう事態にそなえて、マギケケルには、わたししか知らない非常用の破壊弁が装備されているのです。それを皆さんで開放してくだされば、マギケケルをばらばらに分離させることができる。そうすれば、どちらにも被害が生じないですむでしょう」
シュンカ 「なるほど! では今すぐマギケケルに行くぞ!」
ダドン/GM 「あのー。ところで私は、どうすればよいのかな?」
シュンカ 「ダドン殿には、これをくれてやろう!」ゴッ!! 殴る。
ダドン/GM 「はうあーーーーッ!!?」吹っ飛ばされた(笑)。
【場面19:激突寸前のマギケケル】
GM 君たちは、手近なシンテツ船を借りて、マギケケルに戻った。もう衝突まで3時間ほどしかない。
グスクの目と鼻の先に、巨大な列島のごときマギケケルが迫っている。その上部には、先ほどの被弾による火災が発生しているようだが、ケケルの進行速度に変化はない。
アガニの群れ/GM 「おお!」「本当に戻ってきた!」「信頼していいようじゃな!」どうやら、総攻撃の流れは回避されたようだ。
シュンカ 女王アガニに、急いで事情を説明して、さっそく破壊弁の切断作業にとりかかろう。
女王/GM 「そんなことをすれば、わたしの王国がばらばらになってしまうではないか!」
海天魂/GM いま、シュンカの腕に抱かれているのかな。ぴちぴちしながら、言う。「分離したケケルは、10年もすれば元に戻ります」
恋秘歌 「このまま双方の都市が衝突したら、両国のあいだで戦争が起きてしまいますよ!」
女王/GM 「……くっ、やむをえんな。破壊弁の開放作業を実行する。総員、かかれ!」
GM 開放弁は、あちこちに4箇所づつあって、合計20個。他のアガニたちも動員されるので、君たちの分担は4個だけだ。
ナカケケルをつなぐ巨大な植物組織の通路に、一部、破壊しやすい弁となった箇所があるのがわかる。「体」で破壊してもいいし、「知」で弁を開放してもいい。
周りでも女王にせきたてられて、他のウミアガニたちが開放作業を行っている。
シュンカ 「咥え投げ」で次々と連絡通路を破壊。一個目は失敗したけど、2、3個めの破壊は成功。
恋秘歌 こちらも、連絡通路を破壊しました。
GM 海水がドッと入ってきて押しよせるので、回避してくれ(笑)。
ともあれ、君たちの分担した箇所は、すべて分離に成功した。
全長10キロもある巨大なケケルが、次第に、ゆっくりと幾つかのナカケケルへと分離し、漂流していく。
ばらばらになったケケルは、それぞれ、海流にのって、まちまちな方角へと流されていく。
君たちは、女王といっしょに中枢ケケルに乗っている。女王は、心なしか涙ぐんでいる。
恋秘歌 どこかに流れ着いたら、そこからマギケケルに成長したりするのかな。
GM ……ところで、君らの乗ったナカケケルだけ、そのまま真っ直ぐ、まだガルガル城へと向かっている。このままだと衝突するぞ。
シュンカ さっき龍化を解除したばかりだから……。
GM まだ再龍化はできないね。龍化解除後だから、君たち二人とも、残り生命が1点しかないしね。
恋秘歌 むしろよくその状態でマギケケルに戻りましたね……。さっきの濁流は危なかった。
シュンカ そうだ、「玄武」に連絡して、砲撃で進路をそらしてもらおう。「レア殿! 先ほどの無作法の借りを返してもらうぞ。ケケル本体には当てないよう、至近弾で軌道をそらしてくれ! 当てるなよ!」
レア/GM 「ええっ!? 難しいなあ。砲雷長、射撃方位盤の修正に注意してくれよ。撃ち方はじめ!」
ふたたび、玄武の砲撃!
今度は、砲弾は無害にケケル付近の海水に着弾し、巨大な水柱を吹き上げたのであった。その余波を受け、ナカケケルの針路が変わった。
波を蹴立て、ゆっくりと、巨大な植物球が、ガルガル城の傍らを行き過ぎていく。
衝突は、回避されたのである。
GM ばらばらになったケケルは、それぞれ海流に乗って流されていく。これから、長い時間をかけて、回収が行われるのだろう。王国の再建は遠い道のりだ。
シュンカ 「レア殿、ぶじ成功したぞ。感謝する。殴るのは勘弁してやろう(笑)」
レア/GM 「偉そうだなあ。僕らにも、ダガンに逆らえない微妙な政治的事情があるんだからネ。そのへん、配慮してほしいよ、ひよひよ」
シュンカ うざいなコイツ。
女王アガニ/GM 「恋秘歌殿、シュンカ殿。そなたらのおかげで、なんとか戦争は回避できた。わがレケルケッテル王国の再建は一苦労だが、しかし、そなたらの活躍には、礼を言うぞ」と、深々と頭を下げる。
シュンカ 「形あるものいつかは壊れる。時間はかかるだろうが、王国が再生すると良いな」
女王/GM 「努力する。また何かの折には、我らウミアガニ、そなたらの力になるぞ」
GM ちなみに海天魂は、本来の制御中枢――大きな水槽のようなところに入って、ケケルの制御を再開したようだ。元気よく泳いでいる。
シュンカ 何か記念にもらえないかな。
女王/GM 30センチ(訳)ほどもある、虹色に光る大きな鱗のようなものをもってきて、渡してくれる。ずしりと重い。
「1000年ほど昔、われらの一族が、深みに棲むトオミ属と取引した折の記念の品だ。上級天魔の身体の一部らしい。此度、陸のものと海の我らとが和解に成功した証として、そなたたちに、もっていてもらいたい」
恋秘歌 ありがたくいただきながら、内心、ちょっとこれはヤバイんじゃないかな~、と思っています。
GM 未だに龍魂にぴりぴりくるような感触がある。
シュンカ なあに、あの玄武さえ起動させたんだからな。これぐらい大したことはない。
GM 駐屯地の宿舎にでも飾るのかな。夕焼けに、〈玄武〉の巨体が黒く浮かび上がっている。
シュンカ 領主の館に戻るとするか。
GM そうすると、ゴラス領主が、「いやー、今回はすまなかった。指揮系統が混乱していたようだ」
シュンカ 「天魂狂いの部下は使わないようにしてもらいたいものだな」
ゴラス領主/GM 「うむ、あれはもうクビだな(笑)」
シュンカ 「それと。アマミツヨの海には、どうもまだまだ、未知のことがらが多いようだ。あまり無茶な開発はしないほうがいいかもしれないな」
ゴラス/GM 「そうだな。海を我々ダガンのものと思っていたのは間違いだったかもしれぬ」
GM ちなみに、駆逐艦の部下たちは、あのあとアガニに助けられたらしい。君たちには、約束どおり、40万の報酬を渡してくれる。
ゴラス/GM 「ところで今回は、恋秘歌殿がいたおかげで、海天魂との交渉で助けられたな。また何かの折には、わが国のために働いてもらえるかな、恋秘歌どの?」
シュンカ 「領主どの。落ち着け」
恋秘歌 「特定の勢力に属すると、身動きがとりづらくなるから、それは避けたいですね」
ゴラス/GM 「いやいや、そう堅苦しいことではない。またウツロヒの折に、ここに寄ることがあれば、声をかけてくれ。力になるぞ」
GM ということで、君たちはお土産をたくさんもらって、ガルナス帝國から帰投した。経験点は30点だ。
【場面20:アカマツ百騎隊の御殿】
シュンカ 海城京に戻ったら、一応、アカマツ百騎長に報告しよう。
アカマツ/GM 「えっ、ウミアガニの王国に入ったのですか? 海天魂にも会ったの? それは凄いわ、海天魂を見ると寿命が延びるという言い伝えがあるのよ」
シュンカ 「まあ、その王国はバラバラになってしまったのですけどね!」
アカマツ/GM アカマツはそれを聞いて、ばったり倒れてしまった(笑)。
【場面21:ガルガル城 南西沖20キロ】
巨大な古代ワニ〈紅珊瑚〉が、ゲキに呼びかける唸り声が聞こえる。
巨大な古代鰐の背で、ランコは、我にかえった。
尾びれを軽くゆすって、考える。なぜ自分がここにいるのか。
見まわすと、一面、夜の大洋が静かに広がっている。〈紅珊瑚〉の横腹に、波が打ちよせる音だけが聞こえた。
〈玄武〉の砲弾がマギケケルに迫ったとき、ウミアガニとともに龍化したまでは、記憶にあるのだが……。
「つい、ウミアガニどもにのせられて龍化して、我を忘れとったわ。ってシュンカ、恋秘歌! なんでうちのこと放置するんやー!!」
アガニ少女の叫びは、南洋の星空に消えていった。
「激突! アガニの海洋都市」 おわり
清水三毛 2006.12.10.(元リプレイ作成日時)
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