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Through Confidential - 秘密をスルーする耳

works.


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thema.

「生活×アート・エンタテインメント」

本作品は”情動の揺さぶり”をテーマに、日常生活の中で生まれる「聞いた秘密を誰かに漏らしたい」「誰かの悪口を言いたい」という感情を揺さぶり、自らの行動を内省させるというものである。


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team.

stressors in life

髙田若葉、三河侑矢、松村一希
(札幌市立大学デザイン学部人間情報デザインコース)


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about.

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耳がついた壁(ボックス)があり、そこには、「秘密を教えてください/ Tell me a secret or bad-mouth.」と書かれたパネルがある。

耳に秘密を喋ると、音声が内部にあるマイクを通って、壁の中で動作しているprocessingによって録音が開始される。

音声が一定時間なくなると録音が停止し、耳の裏側の壁から音声が録音時より大きい音量で再生される。

その音声は、「その秘密を言った人の8人前から2人前までの7人」の音声からランダムで再生される。

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さらに、耳の裏側の壁には口がついていて、その上部に透明な壁がある。中では耳側から口側に向かって複数のカセットテープが動いている。

カセットテープは、工作用の小さいキャタピラに接着し、キャタピラ電池部分に「MaBeee」というスマホで操作可能な電池を使用して動作させた。

カセットテープは「録音」のシンボルとして、耳から入って録音された秘密が口へと段々流れていく様子を表現している。

これらは、秘密を言った人に「自分の言った秘密がいつか再生されてしまう恐怖」を感じて自分自身の行動を省みるよう促している。

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creation time.

2019年4月〜同年6月


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keywords.

・ インタラクションアート
・ メディアアート
・ 噂
・ 悪口
・ 秘密
・ 流れる
・ 我が身を省みる
・ 自己反芻


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definition.

「秘密をスルーする耳」

辞書では、それぞれの単語について以下のような意味が記載されている。

through:…を通って、…を貫いて、を通り過ぎて、…から、を突き破って、の中でも、を見抜いて、を通過して、を離れて

confidential:信任の厚い、腹心の、機密の、内々の、ないしょ事を打ち明ける、(内輪話をするような)親しげな、(…に)打ち解けて

このようなことから、タイトルを次のように定義した。

Through Confidential:秘密が耳を通りすぎて、本人から離れたところで広がる。


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concept.

「人の”秘密”は蜜の味」

この作品は「誰かの噂や悪口は人から人へと流れていってしまう」ことや、「自分の秘密であっても安易に人に言うと流される」などに対して、自己反芻を促すモノであり、コトである。

人に秘密を言うからには、その人を信頼しているから言うのだと思う。その分だけ、バラされるとショックである。だが、人の悪口とか秘密というものはなぜかバラしたくなる。人に言うことで、他人より情報を多く持っている優越感を得たり、マウンティングする、と言ったことができるから、バラしてしまうのであろう。でも、自分も人から聞いた秘密や悪口バラしているかも知れない。そういった秘密が人から人へと流れてゆく、流布される、というコトに着目したのが今回の作品である。

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人の秘密は、やはりみんな聞きたいものであるらしい。前述のようなマウンティングだったり、あるいは野次馬精神だったりするかもしれない。「人の不幸は蜜の味」と言うように、「人の秘密は蜜の味」と言うべきであろう。秘密は誰かに言いたくなってしまうもので、聞きたくなってしまうからこそ、すぐに広まってしまう。それを表すこと、体験してもらうことで、自分もこんな風に思われているのかなとか、自分もこういうことしてしまっているのかなと、無意識の中にある秘密を流布している我が身を顧みるのが、このthrough confidentialの考えである。

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story.

「秘密とカレー」

耳にこそっと、秘密を言ってしまうことは、例えるなら、お腹が空いている人の前で大盛りのカレーを食べるようなものだ。

食欲を我慢するという耐え難いこと、感情を逆撫でするような、そういった感情が先述のカレーの件には含まれている。それと同様に、誰かの秘密をこそっと言ってしまうことは、その秘密を信用して言ってくれた本人の感情を逆撫でしている。つまり、そのことをしてはいけない、ということをよりユーザーに知覚するために、誰かの秘密を大音量で再生する。あえて自分が言ったことを流すのではなく、誰かが言ったその秘密を流すことで、反面教師ではないが、自分が秘密を言ってしまったという行為について顧みてほしいということである。

ある調査では、全国の20代〜60代の男女1,362名に「ここだけの話と言われて聞いたことを他人に話したことがある人」は全体の24.8%で、約4人に1人が話してしまっていることがわかった。その調査の続きには、「ここだけの話をした人と絶交した」という話もあり、秘密を耳打ちすることは、とてもリスクのあることであり、自分が秘密を言ってしまったという行為について、誰しもが一度、顧みる必要があるのではないかと考える。


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process.

「噂や悪口は人から人へ流れる」

この作品が示すものは、「誰かの噂や悪口を言っていると自分のことも言いふらされることがある」ということであり、作品を通して我が身を顧みてもらい、「秘密は守ろう、悪口は言わないようにしよう」という意識を持たせるものことが最終的な目的である。

そのために、「噂や悪口は人から人へ流れる」ということを「音声が耳から口へ流れる」というように具現化することで、体験した人に我が身を顧みてもらえるのではないか、という点に至った。具現化することとした。

そこで、耳を入力(マイク)、口を出力(スピーカー)とし、音声はこの作品に触れる人に吹き込んでもらうことにした。また、「壁に耳あり、障子に目あり」という表現が世界各国にあることから、多くの人にわかりやすい形を考え、壁に耳が付いているヴィジュアルとした。

また、「耳に言ったことと口から再生される音声の関連性・象徴」として、音声の記録媒体であるカセットテープを使用した機構を設置し、自分が言ったその秘密も、いつ流れるかわからないということを表したり、秘密を言ってしまったことが、いずれ自分に回り回って返ってくるんじゃないか、といったことを想起させるような仕掛けを施した。

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experience flow.

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system flow.

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photos.

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member.

札幌市立大学デザイン学部人間情報デザインコースの3人。

三河 侑矢 (Yuya Mikawa)
札幌で生まれ、札幌で育ち、今も札幌に住んでいるという、生粋の札幌っ子。
イベント企画からグラフィックデザイン、エディトリアルにインタラクティブアート、最近はワークショップやフィールドワークまで、幅広く、とにかく実践的にやっちゃう何でも屋さん。
ライフワークは歌い手さんのライブ参戦に参戦することだが、ここ数年は満足にできてないのでそろそろライブ巡りの旅に出たい。
先日の日本デザイン学会秋季大会の学生プロポジションにてゼミ全員での共同研究「自然に対するアンテナに変化をもたらすデザイン」で優秀賞を受賞。
▶︎ ViViViT / ▶︎ Twitter
髙田 若葉 (Wakaba Takada)
映画と漫画と家族と旅行と夏と根暗の話とMVとアートっぽいものと散歩とアートと猫と面白い話と友達とにちゃんの怖い話とシャツとショートアニメと睡眠とフォーリーと麺類とスウェットと自分の名前とシュールとドライブに連れて行ってもらうこととTwitterと皮肉と外国の美少年と星新一と話が滑った後の空気とパーカーと赤と緑と青と黄色と靴下と肉とジンとかわいい雑貨と音楽と松本大洋と暖かい場所と海とかが好きです!
▶︎ Instagram
松村 一希 (Kazuki Matsumura)
北海道にいます。雪が嫌いじゃないので住みやすいです。ゲームが好きです。スマブラが好きです。スマブラをすこりましょう。ポケモンも好きです。内定をください。内定を。お金もください。


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information.

私たちが制作した「Through Confidential -秘密をスルーする耳-」がISCA2019(INTERNATIONAL STUDENTS CREATIVE AWARD 2019)のデジタルコンテンツ部門にノミネートされました!ありがとうございます!!

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ISCAとは?
ISCA(INTERNATIONAL STUDENTS CREATIVE AWARD)は、国内外の芸術系、情報メディア系の大学や大学院、専門学校の学生を対象にした国際的なアワードです。「国内映像コンテンツ部門」「海外映像コンテンツ部門」「デジタルコンテンツ部門」の3部門で作品を募集しています。
今年度のISCA2019には、国内から69校 242作品、海外から20ヶ国 260作品の応募がありました。ナレッジキャピタルは、若い感性、才能を育てることが未来を変える大きなカギになると思っています。ISCAは、その未来を担う若手アーティストを発掘、育成することを目指しています。

2019年11月29日・30日に、グランフロント大阪北館ナレッジキャピタルイベントラボにてノミネート作品の公開審査会が行われ、その場で実際に皆さんの御目に掛かることになりました。ぜひお近くの方はいらっしゃって頂けますと幸いです。

開催当日の詳細はこちらからご覧ください。
https://kc-i.jp/activity/award/isca/2019/program/

ノミネートということに満足することなく、展示当日に向けて、しっかりと準備に取り組んでいき、皆さんに万全の状態でこの「Through Confidential」をご覧いただけるよう、励んでいきます。当日は、我々の制作しました「Through Confidential」を通して、じっくりと自分を振り返ってみていただけますと幸いです。

何卒よろしくお願い致します。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。 皆さんから頂く「スキ」とか、コメントとかがとてもうれしいです。 なんだかもう少し頑張って生きることができそうです。 いただいたサポートは、毎日わたしが生きやすい世界になるために使います。 これからも、どうぞよろしくおねがいします。